・CoVIDいまだ健在なり

今日はがんとは関係ない話題です。 ここ1週間くらい、CoVIDに翻弄されています。 訪問診療先の患者さんが発症したかと思えば、週半ばから病棟クラスターが拡大し、自分の担当する入院患者さんだけでも水曜日に2人、金曜日に1人、土曜日に1人、今日は3人が発…

・QT間隔延長とtorsade de pointes(トルサード・ド・ポアンツ、多型性心室頻拍)

今日は肺がん診療とは直接関係のない、でも現代の肺がん薬物療法に関わる方には是非とも共有していただきたい、最近の私自身の辛い経験を記します。 この件に自分なりの気持ちの整理をつけるまで、診療実務以外のことに手を付ける気分になれませんでした。 …

・重症市中肺炎治療とヒドロコルチゾン

肺がん診療とは直接関係のない話なのですが、肺炎治療後のリハビリ目的で転院して来られる患者さんの治療経過を見ていると、抗菌薬にステロイドを併用されている方がずいぶん増えたなあという印象を受けます。 今回取り上げる論文の影響もあるのかもしれませ…

・「コロナ患者の呼吸器を2分間停止・・・」の記事、問題点は?

ウェブサイト上に以下のような記事があり、いろいろと考えさせられてしまいました。 進行肺がんの診療ばかりしていると人工呼吸管理に携わること、意識することは少ないのですが、一般診療を行う呼吸器内科医としては他人ごとではありません。 医師と患者の…

・B型肝炎ウイルス感染者と免疫チェックポイント阻害薬

HBV感染既往のある患者さん、HBVキャリアの患者さんから、がん薬物療法への影響について質問がありました。 過去に記事として扱ったことがあります。 oitahaiganpractice.hatenablog.com 要は定期的にモニタリングしながら、核酸アナログ(エンテカビル)を…

・50%糖液を用いた難治性気胸に対する胸膜癒着術・・・一筋縄ではいきません

「社会にも研究にも、いわゆる「流れ」というものがあって、その流れにはいつも目を配っておかないといけないよ」 とは、私に肺がんの病理学を手ほどきしてくださった恩師が、私にたくさん授けてくださった至言のひとつです。 その当時、術後補助療法の有効…

・AI・・・Autopsy Imaging, 死亡時画像診断

AIといわれて誰もが思い浮かべるのは、Artificial Intelligence、いわゆる「人工知能」ですよね。 日常会話の中で、新聞報道で、ニュースで、ソーシャルメディア上で、AIという言葉を耳にしない日はありません。 しかし、今日の話題は「人工知能」ではなく「…

・気管支カメラが先か、胃カメラが先か

気管支カメラと胃カメラの両方を試みなければならないことがときにあります。 患者さんが口から血をはきだしているとき、それがどこから来ているのか知りたいときです。 口の中か。 鼻からか。 喉からか。 気管・気管支からか。 あるいは食道や胃、十二指腸…

・内視鏡的大腸ポリープ粘膜切除術と人生初の日帰り入院

8月下旬、CTとともに胃カメラ、大腸カメラも併せて行いました。 胃カメラはともかく、大腸カメラは事前準備が大変です。 検査前日の夕食は素麺だけにして、食後に下剤を飲みます。 当日は朝5時起きで、起床後ただちに約2Lの下剤を飲み始めます。 この2Lを飲…

・3年ぶりの肺結節影経過観察

もう9月も終わりを迎えようとしています。 一昨年は義父が、昨年は実母の進行肺がんが、今年は母方の叔父の膵がんが発覚しました。 自分のことはそっちのけで親族のお世話をしていましたが、そろそろ自分の体も見ておかなきゃな、ということで、今年は3年ぶ…

・市販の新型コロナウイルス感染症抗原検査キットはどの程度信頼できるのか

新型コロナウイルス感染症診療は、患者数の増加とともに日に日に混迷の度合いを深めています。 どんなに本人や家族が希望しても、保健所が入院勧告すべき病状にない患者さんは、基本的に入院治療させてもらえないようです。 そうした事例があったため、所轄…

・新型コロナウイルス感染新規患者数は、期待を裏切らない

久し振りの記事にしては陳腐なタイトルだな、とお叱りを受けそうです。 それでも書きたくなります。 自粛もまん延防止措置も緊急事態宣言も何もないお盆が明けて、当たり前のように新型コロナウイルス感染新規患者数が増えました。 年末年始明け、3連休明け…

・新型コロナウイルスのオミクロン株と、斜陽の抗体医薬品

新型コロナウイルス感染症の勢いが止まらず、肺癌診療に思いを馳せる余裕が出てきません。 ちょっと前までは、抗体医薬品であるロナプリーブやゼビュディを早い段階で積極的に使うことで、治療開始の翌々日には患者さんが解熱して見通しが立つことが多かった…

・新型コロナウイルス感染症、7つめの波が打ち寄せる

新型コロナウイルス感染症の7つ目の波、なかなかに厄介です。 我が国における日々の新規感染患者数が世界のトップを走ることになるとは、少し前までは予想もしていませんでした。 大分県内の日々の新規感染患者数が2000人を超えることもまた、予想外でした。…

・バングラデシュの患者さんと

2022/06/01から入国制限が緩和されたためかどうかはわかりませんが、外国籍の患者さんを診療する機会がCoVID-19流行前に復しつつあります。 先日は中国籍の方が腹痛・腰痛でもだえ苦しみながら時間外外来にお越しになりました。 私は中国語ができませんし、…

・特発性肺線維症とPDE4阻害薬

呼吸器内科医という仕事をしていると、特発性肺線維症患者の診療は避けて通れません。 他院から相談を受けて、可能な治療はやりつくしたものの病状のコントロールが得られず、以後終末期まで管理してほしいという特発性肺線維症の患者さんの診療を引き受ける…

・外来診察中の小噺

悟りました。 ブログタイトルに沿った話をずっと続けるのは、私には無理なようです。 ときどき肺がんとは関係のない話題でつなぐことにしました。 褒められた話ではないのですが、私の外来診療は時間がかかります。 いつも知恵を絞って予約を組んでいるもの…

・受診先が消えるということ

新型コロナウイルス感染症流行の影響か、はたまた全く別の要因か、近隣医療機関の体制が目まぐるしく変わっています。 新型コロナウイルス感染症流行が始まったその年、近隣の緩和ケア病棟が閉鎖されたとき、記事を書きました。 oitahaiganpractice.hatenabl…

・新型コロナウイルスワクチンによる免疫学的肺炎

新型コロナウイルス感染症の患者さんを診療していると、血液検査結果はそれほど大したことないのに、高い熱が続き、CTをとってみると淡いながらも肺炎像があった、ということをしばしば経験します。 1週間を超えて症状が続く患者さんには、抗ウイルス薬より…

・新型コロナウイルス感染症の治療は、いつまで全額公費で賄うのか

新型コロナウイルス感染症の治療をしていて、いつも思うことがあります。 新型コロナウイルス感染症治療薬を積極的に使うべきなのか。 対症療法と酸素投与、ステロイドで凌ぐべきなのか。 切り口を変えると、外国資本が提供する高額医療をするべきか、あるい…

・新型コロナウイルス感染症、第7波の幕は開いたのか

3連休。 春休み。 卒業式。 お花見。 入学。 就職。 よい季節ですね。 新型コロナウイルス感染の管理をする者にとっては、どれをとっても感染拡大のリスクにしか見えませんけれども。 2022年に入ってから、私の職場周辺の医療環境は壊滅的な打撃を受け…

・J-SONIC試験・・・特発性肺線維症合併未治療進行非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ナブパクリタキセル+ニンテダニブ併用療法

間質性肺炎合併肺がんは、早期であれ進行期であれ、難しいテーマの一つであり続けています。 周術期に急性増悪を起こし、肺がんではなく間質性肺炎の悪化のために死亡するリスクがあり、呼吸器外科医は二の足を踏んでしまいます。 放射線治療後の放射線肺臓…

・新型コロナウイルスワクチン接種に関するがん関連3学会合同Q&A

標記の件について、日本臨床腫瘍学会からお知らせが来ていました。 「原則、接種」 と考えて良さそうです。 詳細は以下のリンクからご参照ください。 新型コロナウイルス感染症 関連情報 | お知らせ | 日本臨床腫瘍学会 (jsmo.or.jp)

・新型コロナウイルス感染症にかかったあと、ロナプリーブやゼビュディをつかったあとも、ワクチンを接種すべきか?

これは2020年4月某日の新型コロナウイルス国内新規感染者数の都道府県別状況です。 2022年2月現在と比較して、感染者数だけ見れば20分の1以下の水準ですが、緊急事態宣言発出前夜の雰囲気が見て取れます。 私も、ささやかながら新型コロナウイ…

・新型コロナウイルスワクチンの効果と考え方

この記事は、2021/10/04が初版です。 現在世界的に広がっているオミクロン株の感染爆発は、当時はその予兆すらありませんでした。 連日新規感染者数の記録が更新されている今日にあたり、学ぶべき点はないかと考え、一部書き加えて改めて掲載します。 新型コ…

・新型コロナウイルス オミクロン株感染とその後のウイルス排出期間

新型コロナウイルスのオミクロン株が猛威を奮っています。 ・・・猛威を奮っている、というのは言い過ぎかもしれません。 世界的にも、我が国でも、感染者数は爆発的に増加していますが、その一方で重症者や死亡者はほとんど増えていません。 2022/01/13に国…

・各種マスクによる新型コロナウイルス拡散予防効果

2022年01月05日、我が国でもいよいよ、オミクロン株による新型コロナウイルス感染流行の第6波が本格的に到来しました。 報道陣の質問に対して、大阪府の吉村知事が高らかに宣言していましたね。 共感します。 ワクチン接種がいきわたり、治療薬も様々使える…

・そろりと面会制限の限定解除・・・からの再制限

この記事の初版を書いたのは2021年11月13日だったのですが・・・。 2か月もたたないうちに再制限せざるを得なくなりました。 残念ですが仕方がないです。 これが「実証実験」の結果です。 人的交流、経済回転を優先するのは世界的な潮流です。 郷土…

・オミクロン襲来

冒頭に掲げたのは2021年10月16日の日本経済新聞からの抜粋です。 当時は新型コロナウイルスデルタ株の流行が収束しつつある頃でした。 1日あたりの新規感染者数は、米国で85000人弱、我が国で500人強となっています。 その他の記事には 「…

・新型コロナウイルス感染症における重症度と病床使用率

データと実態の乖離が世間の認識をミスリードすることは珍しいことではありませんが、標記の話題は極めて深刻です。 強い危機感を抱いています。 この話題について、朝日新聞デジタルの記事から引用すると、 ・厚生労働省の集計では、新型コロナの重症者は20…