C797S耐性変異は、第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬が開発された早々からよく取り上げられてきた変異です。 本変異をターゲットにした治療開発もずっと進められているはずですが、なかなか実用化されません。 今回の報告は、C797S耐性変異陽性患者は、 …
先日、日本内科学会雑誌を読んでいたら、オリゴ転移状態の非小細胞肺がんに対する局所治療のことが書かれていました。 内科医すべてを対象に書かれた文章ですから、肺がん診療に直接携わる呼吸器内科医、呼吸器外科医、腫瘍内科医、放射線治療医のみならず、…
実家の庭のサクランボの花が咲いていました。 サクラの開花も、もうすぐです。 母が最後のニボルマブ+イピリムマブ併用療法を受けたのが2021年05月でしたから、あと2ヶ月で3年を迎えます。 術前薬物療法について検証したCheckMate816試験、ニボルマブ+化学…
oitahaiganpractice.hatenablog.com KEYNOTE-671試験は、II-IIIB期の切除可能非小細胞肺がんにおける周術期ペンブロリズマブ+プラチナ併用化学療法の意義を検証する試験でした。 今回のCheckMate 77T試験は、IB-IIIB期の切除可能非小細胞肺がんにおける周術…
ALK陽性の進行非小細胞肺がんに対し、アレクチニブは極めて有効です。 有害事象も軽微ですし、肺がんのみならず、固形がん全般として俯瞰しても、治療効果と安全性がアレクチニブほど高いレベルで両立するがん薬物療法はそうそうありません。 当然、術後補助…
街中で、金木犀の馥郁たる香りが漂い始めました。 1年の中でも、私が最も好きな時期のひとつです。 先日、切除可能非小細胞肺がんに対する周術期がん薬物療法のセミナーを視聴していて、興味深い話題があったので、感想を交えて書き残します。 術前ニボルマ…
II期、III期の非小細胞肺がん患者さんに対する周術期治療について検証したKEYNOTE-671試験について、興味深いインタビューがwebinerとして公開されていましたので、視聴しました。随分と意訳してしまいましたが、内容を簡単にまとめておきます。聞き手も話し…
II-IIIA期の非小細胞肺がん手術成績を向上させる取り組みは、単なる術後補助化学療法から術前・術後に免疫チェックポイントやオシメルチニブを絡めた周術期治療へと幅を広げようとしています。 術後補助療法としてのシスプラチン+ペメトレキセド(PemP)併…
2022年08月の適応拡大により、EGFR遺伝子変異陽性切除可能非小細胞肺がんに対し、病理病期II期以降なら術後補助療法としてオシメルチニブが使用可能になりました。 タグリッソ錠40mg/タグリッソ錠80mg (pmda.go.jp) 臨床試験による裏付けはないものの、同じ…
免疫チェックポイント阻害薬による周術期治療シリーズ、いったんトリを飾るのは中国発のNeotorch試験です。 他の試験と比べると治療の組み立てが少しユニークで、免疫チェックポイント阻害薬+プラチナ併用化学療法を術前に3コース、術後に1コース行い、その…
ペンブロリズマブ、ニボルマブに加えて、デュルバルマブによる周術期治療の有用性についてもAEGEAN試験で検証されています。 ペンブロリズマブのKEYNOTE-671試験と比肩する規模で行われた第III相臨床試験で、両試験共に5年、10年といった長期治療成績がどの…
KEYNOTE-671試験と比較すると規模は小さいランダム化第II相試験ながらも、III期の患者さんに絞って、化学療法はカルボプラチン+パクリタキセル併用療法に絞って行われたNADIM II試験。 術前・術後にニボルマブを併用する試験治療群においてはN2患者さんが72…
これまでのところ、肺がん領域における2023年最大のトピックスは、「免疫チェックポイント阻害薬による周術期補助療法」でしょうね。 今回取り上げるKEYNOTE-671試験のほか、AEGEAN試験、Neotorch試験、NADIM II試験と目白押しです。 5年、10年と追跡しない…
免疫チェックポイント阻害薬の活躍の場は、着実に広がってきました。 ・進行非小細胞肺がんの単剤二次治療として ・進行非小細胞肺がんの単剤一次治療として ・進行非小細胞肺がんのプラチナ併用化学療法との併用一次治療として ・進行非小細胞肺がんのプラ…
肺がん患者さんの個別相談において、圧倒的多数を占めるのがEGFR遺伝子変異陽性の進行・再発非小細胞肺がんです。 正直なところ、ここまで相談が偏るとは思っていませんでした。 EGFR遺伝子変異をはじめとするドライバー遺伝子変異陽性肺がんでは、分子標的…
筍が旬を迎えていますね。 私はいつも頂いてばかりなのですが、竹林へ筍狩りに行かれる方のお話を伺うと、毎年毎年イノシシやモグラとの争奪戦なのだとか。 以前、切除可能非小細胞肺がんに対する術前ニボルマブ+イピリムマブ併用療法の有効性を検証したNEO…
EGFR遺伝子変異陽性完全切除後非小細胞肺がんに対する、オシメルチニブ術後補助療法の有効性を検証した第III相ADAURA試験。 約4年追跡調査後のデータが論文として公表されています。 圧倒的なオシメルチニブ優位のデータは、4年追跡調査後も不動のようです。…
病巣最大径が2cm以下でその充実性成分が全体の50%超、所属リンパ節転移を伴わない早期肺がんに対し、肺葉切除術に対してより切除範囲の少ない区域切除術の治療成績(無再発生存期間)が劣らないことを示したJCOG0802試験について、2022年の初めに紹介しまし…
いま、90代後半の進行肺がん患者さんを担当しています。 EGFR遺伝子変異陽性(エクソン19欠失変異)、がん性胸水を伴っています。 PSは3相当、一定の理解力はあり、日常会話は普通にこなせます。 さて、どうしたものか。 この患者さんとはまた別件で、他の診…
前回までの記事で見てきた通り、限局型肺小細胞がんの治療開発は停滞気味です。 一方、進展型肺小細胞がんには、アテゾリズマブやデュルバルマブといった抗PD-L1抗体に分類される免疫チェックポイント阻害薬をカルボプラチン+エトポシド併用療法と一緒に使…
前回の記事では、限局型肺小細胞がんに対するシスプラチン・エトポシド併用療法+同時併用加速過分割胸部放射線照射に関するエビデンスをおさらいしました。 それを踏まえての、今回の報告です。 限局型肺小細胞がんに対してシスプラチン・エトポシド併用療…
分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬の登場により、21世紀に入ってからの肺がん薬物療法は随分と様変わりしてきました・・・、という語り口ももはや陳腐化してきましたね。 21世紀もほぼ四半世紀を既に終えようとしており、「新世紀」とか「21世紀…
完全切除後EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者さんに対し、術後補助療法としてのオシメルチニブの意義を検証したADAURA試験。 2年間の追加追跡調査後の結果が報告されていました。 結果は揺るがず、オシメルチニブの高い治療効果を追認することとなりまし…
8月下旬、CTとともに胃カメラ、大腸カメラも併せて行いました。 胃カメラはともかく、大腸カメラは事前準備が大変です。 検査前日の夕食は素麺だけにして、食後に下剤を飲みます。 当日は朝5時起きで、起床後ただちに約2Lの下剤を飲み始めます。 この2Lを飲…
2022年08月24日付で、病理病期II-IIIA期のEGFR遺伝子変異陽性肺がん患者さんに対し、術後補助療法としてオシメルチニブが使用可能になりました。 アストラゼネカのタグリッソ、早期EGFR変異陽性肺がんの術後補助療法として適応拡大 (astrazeneca.co.jp) その…
冒頭に掲げたのは、私の母の胸部レントゲン写真です。 1枚目は放射線肺臓炎発症前、2枚目は放射線肺臓炎発症後です。 2枚目の写真では左肺門部から心陰影に隠れた左肺下葉にかけて放射線肺臓炎が出現しており、左横隔膜の不明瞭化や左肋骨横隔膜下区の鈍化(…
一足早く公表されたCheckMate-816試験に続き、IIIA期局所進行非小細胞肺がん患者さんを対象に術前ニボルマブ+カルボプラチン+パクリタキセル併用療法の有効性を検証する第II相NADIM試験の結果が公表されていました。 第II相試験のため、主要評価項目は生存…
企業のプレスリリースの段階で記事にして満足してしまっていたCheckMate-816試験ですが、切除可能非小細胞肺がんの術前治療としては初めて大規模ランダム化比較試験で統計学的有用性が示された点で、間違いなく肺がん治療の歴史の転換点です。 IIIA期非小細…
切除可能非小細胞肺がんの術前薬物療法というのは、ギリギリ切除可能かな、という患者さんに対する術前化学放射線療法をときどき行うくらいで、遍く行うような代物ではありませんでした。 しかし、CheckMate-816試験の結果を受けて、遠からず我が国でも、少…
切除可能非小細胞肺がん患者さんを対象に、ニボルマブ+イピリムマブ術前併用療法の有用性を検証した第II相NEOSTAR試験。 oitahaiganpractice.hatenablog.com 2019年の米国臨床腫瘍学会で取り上げられた際に一度触れましたが、論文化されていましたので改め…