・SPIKESのI

 今回は「SPIKES」の「I」を扱います。

 

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 「I」は「Invitation」の頭文字です。

 「Invitation」=「招待」?

 患者さんから、ご自宅にでも招待されるんでしょうか。

 それとも、医療従事者が患者さんをどこかに招待するんでしょうか。

 どっちもピンと来ませんよね。

 

 この段階は、これから始まる面談に対して、患者さんが何を期待しているのかを明らかにする段階です。

 患者さんは、何を知りたがっているのか。

 どこまで知りたがっているのか。

 あるいは、知りたくないのか。

 それを知ろうと試みるための段階です。

 

 悪い知らせを伝えることは、医療従事者にとってもつらく、勇気がいることです。

 あとで後悔や反省をすることなんて、しょっちゅうです。

 困ったことに、世の中には「5年生存割合」やら、「期待できる余命」といった数字が、目安とはいえあります。

 良くも悪くも、熱心な医療従事者ほど、これらのデータをしっかり頭の中に入れています。

 

 分かっていることを全て伝えると、患者さんの中にはそれだけで生きる力を失う方もいます。

 そうかと思えば、残った人生を有意義に生きようと、前向きに好きなことをする方もいます。

 それらを面談前に予見することはできません。

 でも、患者さんがどういった説明を望んでいるのか、事前に尋ねておくことはできます。

 そうしておいた方が、面談がスムーズに運びます。

 

 医療情報の伝達にも、需要と供給のバランスが大切です。

 供給不足も過多もいけません。

 医療従事者には、このバランスをとろうと努力する責務があります。

 

 「S」「P」「I」で、事前準備は終了です。

 ここから、本来の病状説明に入っていきます。