今回は、「SPIKES」の「K」を扱います。
「SPIKES」の「K」は、「Knowledge」から来ています。
準備を重ねて、いよいよ患者さんに悪い知らせを伝える段階です。
「S」「P」「I」での内容を踏まえて、過不足なく医療情報を患者さんに伝えます。
言うまでもありませんが、医学用語をかみ砕いて、受け入れやすい言葉を使わなければなりません。
時には図版なども必要でしょう。
そして大切なのは、お互いに後から参照できるような記録を残すことです。
勤め先の診療記録は電子カルテ化されていますが、私は未だに手書きの資料を面談中に作って、署名をしています。
あまり上手な字や絵は書けませんが、せめて誰でも読めるようにと丁寧に書くようにしています。
手書きの方が「あたたかみ」がある説明文書が出来ます。
説明文書作成後、電子カルテにスキャンして保存し、コピーを患者さんもしくはご家族に渡すようにしています。
説明の内容は、複雑になることもあります。
ですから、一定の内容を話し終えたら、その都度小休止を入れて、患者さんやご家族の疲労や理解度を確認するのも大切な作業です。
「ここまでで何かご不明な点はございませんか」など声をかける配慮が欲しいものです。
悪い知らせを伝えると患者さん、ご家族の心理的な苦痛が大きく、ときに面談の継続が難しくなることもあります。
そんな意味で、「K」の段階は次の「E」の段階と一体といっても良いのかも知れません。