・METエクソン14スキップ変異陽性肺がんに対するamivantamabの効果

 EGFRエクソン20挿入変異陽性肺がんに対する有効性が報告されているamivantamabですが、抗EGFR抗体としての側面に加え、抗MET抗体としての一面もまた持っています。

 METエクソン14スキップ変異陽性肺がんに対するamivantamabの効果もCHRYSALIS試験では検証されており、患者集積が50人規模まで進んでいるようです。

 MET阻害薬治療歴がなければ奏効割合50%程度、あれば20%程度という感じのようですね。

 amivantamab+MET阻害薬の併用療法ではより効果が期待できるのかもしれません。

 

 

 

Amivantamab in patients with NSCLC with MET exon 14 skipping mutation: Updated results from the CHRYSALIS study.

 

Matthew Krebs et al.

ASCO 2022, abst.#9008

DOI:10.1200/JCO.2022.40.16_suppl.9008

 

背景:

 amivantamabは完全ヒト型モノクローナル抗体二相性複合体で、EGFRとMETを標的分子としており、プラチナ併用化学療法前治療歴のあるEGFRエクソン20挿入変異陽性非小細胞肺がんの治療として認可されている。amivantamabはMETの阻害活性も持つことから、CHRYSALIS試験のMET-2コホートではMETエクソン14スキップ変異陽性の患者に対する検証を行っている。

 

方法:

 CHRYSALIS試験は進行非小細胞肺がん患者に対しamivantamabを投与する現在進行形の第I相用量漸増 / 拡大試験である。METエクソン14スキップ変異陽性で、標準治療後に病勢進行に至った、あるいは標準治療適用を受け入れなかった患者を対象に、amivantamab 1,050mg(体重<80kg)もしくは1,400mg(体重≧80kg)を、1コース目は毎週、2コース目以降は隔週で投与した。効果判定は各担当医により、RECIST ver1.1に基づいて行った。

 

結果:

 2021年12月2日までに、43人のMETエクソン14スキップ変異陽性患者がamivantamabを使用した。年齢中央値70歳(43-88)、58%は女性で、前治療歴の中央値は2レジメン(0-10)だった。MET阻害薬治療歴の内訳は、クリゾチニブ13人、カプマチニブ11人、テポチニブ5人、抗MET抗体1人だった。脳転移の病歴がある患者が23%を占めた。1回以上の効果判定を行った36人の患者において、追跡期間中央値は5.8ヶ月(0.3-15.8)、6人は前治療歴がなかった。MET阻害薬治療歴がない既治療患者は11人、MET阻害薬治療歴のある既治療患者は19人だった。全体の奏効割合は33%(前治療歴のない患者は50%(3/6)、MET阻害薬治療歴のない既治療患者は46%(5/11)、MET阻害薬治療歴のある既治療患者は21%(4/19))だった。奏効持続期間中央値は未到達(2.1-12.2ヶ月)で、全体の67%(8/13)は奏効持続期間が6ヶ月以上だった。12人の奏効患者中10人は奏効を維持したまま治療継続中(6.0-14.4ヶ月)であり、残る2人は治療開始から2ヶ月、12ヶ月時点で治療を中止した。有害事象の内容は既報と相違なかった。用量減量もしくは治療中止を要する治療関連有害事象を3人で認めた。

 

 なお、学会発表時点では2022年04月11日までに55人が参加し、年齢中央値70歳(43-88)、58%は女性で、前治療歴の中央値は2レジメン(0-10)だった。脳転移の病歴がある患者が18%を占めた。9人は前治療歴がなく、MET阻害薬治療歴がない既治療患者は18人、MET阻害薬治療歴がある既治療患者は28人だった。

 腫瘍縮小効果を評価可能だった46人において、全体の奏効割合は33%(前治療歴のない患者は57%(4/7)、MET阻害薬治療歴のない既治療患者は47%(7/15)、MET阻害薬治療歴のある既治療患者は17%(4/24))だった。15人の奏効患者中11人は奏効を維持したまま治療継続中で、全体の67%(10/15)は奏効持続期間が6ヶ月以上だった。
 全体の無増悪生存期間中央値は6.7ヶ月(95%信頼区間2.9-15.3)で、前治療歴ごとに見ると、前治療歴のない患者では未到達(95%信頼区間2.6ヶ月-未到達)、MET阻害薬治療歴のない既治療患者では8.3ヶ月(95%信頼区間1.5-15.3)、MET阻害薬治療歴のある既治療患者では4.2ヶ月(95%信頼区間2.9-未到達)だった。

 

結論:

 amivantamabはMET阻害薬治療歴のある患者を含むMETエクソン14スキップ変異陽性非小細胞肺がん患者集団に対し、抗腫瘍活性を示した。本臨床試験は現在も患者登録継続中である。

 

 

 

 関連記事です。

 EGFRエクソン20挿入変異に対するamivantamabの有効性について。

 

oitahaiganpractice.hatenablog.com

 

oitahaiganpractice.hatenablog.com

 

oitahaiganpractice.hatenablog.com