・甲状腺腫瘍で野口病院を受診

 左肺上葉結節影同様、甲状腺左葉にも何かがあることは2016年から分かっていました。

 とはいえ、甲状腺腫瘍ならよほど増大速度が速くない限りはしばらく経過観察でいいんじゃないかなあと高をくくっていました。

 今年は消化器内科の先生の検査オーダーで撮影したのですが、

 「甲状腺左葉の病変、ちょっと大きくなってますよ、先生」

 「そろそろ1回野口病院で調べてもらった方がいいんじゃないですか?」

とのご指摘を頂きました。

 確かに、撮影するたびに2mmずつくらい大きくなっているように見えます。

 2-3年に2mm程度の増大速度とは言え、今年のCTでは甲状腺左葉がほぼ腫瘍で置き換わっているようにすら見えます。

 確かにその通り、ということで、甲状腺診療において全国的に有名な別府市の野口病院を紹介受診することになりました。

 

 まずは電話で予約です。

 ホームページを参照して、電話でオペレーターの方に初診予約を依頼します。

 以下のような注意事項を教えてくださいました。

・受診1週間前から海産物を食べないこと

・できるだけ2日連続で受診できる日を選ぶこと

・午前7時45分(!)から受付開始、受付先着順でご案内

・遅くとも14-15時くらいまでには当日の診療は終わる

 

 そんなわけで、日程を選んで有給休暇を申請し、受診1週間前から臨戦態勢です。

 とはいえ、海産物を食べない、というのはなかなか徹底できません。

 味噌汁の出汁は基本的にカツオか昆布です。

 勤務先での食事には、当たり前のようにお魚や海藻類が出てきます。

 義父の定期外来受診付き添いのために妻が不在の日、子供と一緒に外食に行ったのですが、うっかり塩サバ定食を頼んでしまいました。

 味噌汁のワカメは取り除けても、塩サバ定食を頼んで塩サバを食べないわけには行きません。

 自分の不明を恥じるばかりです。

 

 いよいよ受診当日。

 ルーチンの朝筋トレは済ませました。

 ちゃんとシャワーを浴びました。

 ゴミ出しにも行きました。

 きっちり朝7時45分に病院入り口に辿り着いてみると・・・なんとそこにはたくさんの患者さんたちが既に受付の順番を待っていました。

 驚くべきことに、病院スタッフはみなさん完全に臨戦態勢です。

 この早い時間帯にも拘らず、着々と業務が進んでいきます。

 簡単にはまねできない、見習えない時間帯の業務風景です。

 野口病院の在り方を物語る一幕でした。

 

 病院の入り口で検温を受けます。

 最初に駐車券の処理を済ませるように指示を受けました。

 30番の番号札を持たされて、番号札で呼び出されるまで玄関先のロビーで待つように言われました。

 30分ほども待ったでしょうか。

 5人ずつ受付窓口に呼び出されて、受診理由や事務手続きが始まります。

 予め、初診申込表を病院ホームページからダウンロードして、必要事項を記入して紹介状とともに持参したので、この手続きはスムーズでした。

 誤字等がないかチェックをして、カルテ登録作業に30分ほどかかるので、予診担当の看護師から呼び出されるまで待合室に座って待つようにと、今度は158番の番号札を持たされました。

 果たして30分ほど経過して、予診担当の看護師さんから声がかかり、予診室に入りました。

 受診動機、既往歴、家族歴、身長測定、体重測定、血圧・脈拍測定等々を進めます。

 看護師予診が終わったら、今度は予診担当の医師からお話があるとのこと。

 いったん待合室に戻り、予診担当の医師から呼び出されるまで座って待つようにとのことでした。

 20分ほどもたったでしょうか。

 予診担当の医師から呼び出しがあり、また別の予診室に入りました。

 そこでは今日の予定について2-3分ほどの説明がありました。

 まず今日の診察担当医と会って話をして、その後各種検査を受けて、結果が出たら再度診察担当医から説明を受けて終わり、とのことです。

 それから診察担当医の診察室前の待合室で座って待つこと1時間程度。

 診察室に入り、簡単に甲状腺部分の触診だけを受けて、検査回りの開始です。

 臨床検査フロアは2階です。

 検尿をして、血液検査を受けて、大体30分くらい経過します。

 続いて超音波検査部門に移動します。

 最初に検査技師さんによる頸部超音波検査を受けて、一度退室します。

 しばらくして再度検査室に呼ばれて、今度は検査担当医により超音波ガイド下に穿刺吸引細胞診を受けました。

 局所麻酔はなし、十分な細胞が採れていなかったら後ほどお呼び出しして再度穿刺するかもしれません、とのこと。

 これは検査される方もプレッシャーですが、する方も同様にプレッシャーがかかるでしょうね。

 幸い、思っていたほどには痛くなく、細胞も十分に採れていたとのことでした。

 

 続いて、地下1階の放射線部門でレントゲン撮影です。

 私が受けたレントゲン撮影は、頸部の正面写真・左→右の側面写真だけでしたが、パンフレットを眺めているとなんとPET/CTやSPECTまで備えているというではないですか! 

 大分県内には大分大学医学部附属病院と大分尖端画像診断センターにしかPET/CTはないと思っていましたので、随分と驚きました。

 野口病院にPET/CTがあることは、あまり知られていないのではないでしょうか。

 

 以上の検査が終わったのはお昼前くらいでしたが、それから診察担当医の説明が始まるまでに1時間程度かかりました。

 穿刺吸引細胞診の所見が出そろうまで、どうしても時間がかかってしまうとのこと。

 これはやむを得ないことだと思います。

 そもそも、穿刺してから2時間程度で患者説明までこぎつけること自体が、驚異的なスピードです。

 結果報告書を参照したところ、細胞診検査技師の確認のみで病理診断医の確認はないためあくまで仮報告書ですが、受診する患者にとって、ほぼ半日で一通りの結果が確認でき、次の方針が定まるのは大変ありがたいことです。

 診察担当医によると、

・超音波で確認したところ、左甲状腺の下の方に最大径29mm程度の充実性結節があった

・穿刺して内容液を抜いてしまえばなくなるような代物ではなかった

・穿刺したところ、血性の吸引液が得られた

・細胞診の結果、悪性の所見は認めなかった

・結節性甲状腺腫という診断でいいだろう

・少しずつ大きくなってはいるので、1年に1回くらいは経過観察した方がいいだろう

・あんまり大きくなるようだったら、外科切除することもある

とのことでした。

 1年後に超音波検査で比較してもらうことにしました。

 

 かかった時間は7時45分から13時15分まで、計5時間30分。

 読書がはかどりました。

 時間はかかりましたが、半日で仮報告とはいえ病理診断までつくのは圧巻です。

 体表からアプローチしやすい甲状腺に特化した診療であること、創立から100年かけて練り上げられた業務効率化の賜物なのでしょう。

 自己負担額は11,000円強でした。