2018年09月21日、ALK阻害薬であるロルラチニブが内製造販売承認を取得した。
プレスリリースへのリンクを以下に示す。
https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2018/2018_09_21.html
使用条件は、
「ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」
となっており、ALK陽性肺がんで、ALKチロシンキナーゼ阻害薬の前治療歴を有することが前提だ。
満を持して、という印象だ。
耐性ALK肺がんに対する切り札、という位置づけで、これまで幾度となく取り上げてきた。
セリチニブ、アレクチニブ、未承認のBrigatinibといった薬剤での治療後に高頻度に出現するG1202R耐性変異に対し有効とされる、いまのところ唯一の薬。
出典:Gainor et al., Cancer Discov 6(10) 1118, 2016より改変
以下、製薬会社のパンフレットから抜粋。
前治療がクリゾチニブか、それ以外のALK阻害薬かで、効果に差が出ているのはやむを得ないだろう。
有害事象は、脂質異常症や中枢・末梢神経障害といったロルラチニブならではのものも見受けられる。
<ALK阻害薬の前治療歴がある患者全体でのロルラチニブの有効性>
<クリゾチニブ±化学療法の前治療歴のみがある患者でのロルラチニブの有効性>
<クリゾチニブ以外のALK阻害薬±化学療法の前治療歴のみがある患者でのロルラチニブの有効性>
<複数のALK阻害薬±化学療法の前治療歴がある患者でのロルラチニブの有効性>
<ロルラチニブによる有害事象>
薬価収載・販売までにはあと数カ月かかるだろうが、恐らくそれまでの間は、メーカーから倫理供給されるのではないだろうか。
・・・と高をくくっていたら、営業の方に確認したところ、今のところ倫理供給の話は出ていない、とのこと(2018年10月1日現在)。
他のALK阻害薬が使えなくなってしまった患者さんは、一度主治医に相談するといいだろう。
・lorlatinib phase I / II study
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e904815.html
・その後のLorlatinib:
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e913698.html
・Lorlatinib後のCrizotinib
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e833200.html
・ALK陽性肺がんにALK阻害薬が効かなくなったらどうするか
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e904813.html
・ROS1耐性変異
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e930157.html
・分子標的薬の最大効果を目指して
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/d2017-10-16.html
・Pembrolizumab単剤療法がプラチナ併用化学療法を凌駕、KEYNOTE-024(コメント欄の議論を参照)