2023-01-01から1年間の記事一覧

・第III相ATTLAS / KCSG-LU19-04試験・・・EGFR / ALK-TKI後のABCP療法はつまるところどうなのか

EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対し、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬使用後に病勢進行に至った際、有望な治療選択肢の一つにアテゾリズマブ+ベバシズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル併用療法、いわゆるABCP療法(IMpower150療法)があります。 …

・第III相ACHILLES / TORG1834試験・・・uncommon EGFR変異陽性肺がんに対するアファチニブ

いわゆるEGFR uncommon変異に対する一次治療として、アファチニブが良さそうですよ、という報告です。 この事実自体は、以前から知られていました。 oitahaiganpractice.hatenablog.com しかし、EGFR uncommon変異にはEGFR-TKIよりもプラチナ併用化学療法か…

・第III相MALIPOSA-2試験・・・進行EGFR肺がん二次治療におけるamivantamab+lazertinib+化学療法

MALIPOSA試験はEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんの一次治療をどうするか、という筋立てでした。 今回のMALOPOSA-2試験は、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんに対し、一次治療でオシメルチニブを使用して病勢進行に陥った後、二次治療をどうするか、とい…

・第III相MALIPOSA試験・・・進行EGFR肺がん一次治療におけるamivantamabとlazertinibの有効性

2023年の欧州臨床腫瘍学会年次総会では、EGFRとMETに対する二重特異性モノクローナル抗体であるamivantamabの話題が多かったようです。 今回は、EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対し、amivantamabと第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるlazertin…

・QT間隔延長とtorsade de pointes(トルサード・ド・ポアンツ、多型性心室頻拍)

今日は肺がん診療とは直接関係のない、でも現代の肺がん薬物療法に関わる方には是非とも共有していただきたい、最近の私自身の辛い経験を記します。 この件に自分なりの気持ちの整理をつけるまで、診療実務以外のことに手を付ける気分になれませんでした。 …

・第III相LIBRETTO-431試験・・・RET肺がんにセルペルカチニブが有効なのは間違いないけれど・・・

RET肺がんの義父がセルペルカチニブを使い始めたのが2021年のクリスマス。 もうすぐ丸2年を迎えようとしています。 これまで過敏症症状、下肢深部静脈血栓からの重症肺血栓塞栓症合併などに悩まされました。 無増悪生存中、とはいきませんが、それでも2020年…

・第III相PAPILLON試験・・・EGFRエクソン20挿入変異陽性非小細胞肺がんに対するamivantamab+カルボプラチン+ペメトレキセド

EGFRとMETに対する二重特異性モノクローナル抗体であるamivantamab、カルボプラチン+ペメトレキセドと併用することでEGFRエクソン20挿入変異陽性進行非小細胞肺がんの初回治療としての有効性が第III相PAPILLON試験で証明されました。amivantamabを上乗せす…

・第II相DeLLphi-301試験・・・BiTE抗体のtarlatamabと肺小細胞がん

日本臨床腫瘍学会が認定するがん薬物療法専門医。 メイワ・・・いや、アリガタイことに、専門医は5年に1回の頻度で資格更新の試験を受けることになっていて、今回も一所懸命勉強しました。 そのため、完全にブログの更新を止めていました。 私のようなデキが…

・周術期治療にまつわる現場の四方山話

街中で、金木犀の馥郁たる香りが漂い始めました。 1年の中でも、私が最も好きな時期のひとつです。 先日、切除可能非小細胞肺がんに対する周術期がん薬物療法のセミナーを視聴していて、興味深い話題があったので、感想を交えて書き残します。 術前ニボルマ…

・KEYNOTE-671試験についてのインタビューから

II期、III期の非小細胞肺がん患者さんに対する周術期治療について検証したKEYNOTE-671試験について、興味深いインタビューがwebinerとして公開されていましたので、視聴しました。随分と意訳してしまいましたが、内容を簡単にまとめておきます。聞き手も話し…

・第III相JIPANG試験、5年間追跡結果

II-IIIA期の非小細胞肺がん手術成績を向上させる取り組みは、単なる術後補助化学療法から術前・術後に免疫チェックポイントやオシメルチニブを絡めた周術期治療へと幅を広げようとしています。 術後補助療法としてのシスプラチン+ペメトレキセド(PemP)併…

・第II相HERTHENA-Lung01試験・・・TKI、PBC後のEGFR遺伝子変異陽性肺がんに対するHER3-DXd

HER3をターゲットとした抗体薬物複合体、HER3-DXdの有効性と安全性を検証するHERTHENA-Lung01試験とHERTHENA-Lung02試験。 今回は、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬、プラチナ併用化学療法のいずれもやり終えたあとのEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者さ…

・第IV相IMbrella A試験・・・IMpower133試験の長期追跡結果

進展型小細胞肺がん患者さんを対象に、アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド併用療法の有効性を証明した第III相IMpower133試験。 旧ブログでは幾度となく取り上げましたが、我が国で適用できるようになってからもう4年も経過したのですね。 早いもの…

・CheckMate227試験 6年間追跡調査結果

CheckMate227試験については、過去随分と記事を残して来ました。 今回は6年追跡調査結果です。 ニボルマブ+イピリムマブ併用療法による6年生存割合は16-22%とのこと。 5年生存割合は20-25%でしたから、この1年間でも3-4%の変化があるようです。 Six-year Su…

・第II相Atezo-Brain試験・・・脳転移合併肺がんに対するアテゾリズマブ+カルボプラチン+ペメトレキセド

明らかな脳転移があって、何らかの神経症状を伴っている進行非小細胞肺がんの患者さんに対し、抗けいれん薬や高用量のステロイド(デキサメサゾン最高4mg/日、プレドニゾロン換算で40mg/日)を使いながら、あえて全脳照射や定位脳照射よりもアテゾリズマブ+…

・胞巣状軟部肉腫(Alveolar Soft Part Sarcoma)とアテゾリズマブ

Alveolar Soft Part Sarcoma・・・。 肺がん診療に携わっている専門医ですら、その大半はこの病名を耳にしたこともないのではないでしょうか。 15年前、たくさんの胸部悪性腫瘍が集まる修行先に身を置いていた2年間でも、この腫瘍に接したのはわずかに1回き…

・米国食品医薬品局 PralsetinibをRET融合遺伝子陽性非小細胞肺がん治療薬として通常承認

RET肺がんの義父がセルペルカチニブを服用し始めてから、1年9ヶ月が過ぎました。 食欲不振、血圧上昇、過敏症、ネフローゼ症候群などさまざま有害事象に見舞われました。 病勢はひいきめに言って小康状態(SD)です。 最近では肺血栓塞栓症を合併して重症呼…

・EGFR遺伝子変異陽性局所進行非小細胞肺がんに対する化学放射線療法後の取り扱い

2022年08月の適応拡大により、EGFR遺伝子変異陽性切除可能非小細胞肺がんに対し、病理病期II期以降なら術後補助療法としてオシメルチニブが使用可能になりました。 タグリッソ錠40mg/タグリッソ錠80mg (pmda.go.jp) 臨床試験による裏付けはないものの、同じ…

・第III相FLAURA2試験・・・EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対する、オシメルチニブ+ペメトレキセド+プラチナ併用療法

オシメルチニブ単剤療法は、EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者さんの初回治療として本当にベストなのか。 以前、そうした切り口で記事を書きました。 oitahaiganpractice.hatenablog.com 無増悪生存期間中央値、全生存期間中央値はオシメルチニブ単…

・第III相Neotorch試験・・・toripalimabとプラチナ併用化学療法による周術期(術前・術後)補助療法

免疫チェックポイント阻害薬による周術期治療シリーズ、いったんトリを飾るのは中国発のNeotorch試験です。 他の試験と比べると治療の組み立てが少しユニークで、免疫チェックポイント阻害薬+プラチナ併用化学療法を術前に3コース、術後に1コース行い、その…

・第III相AEGEAN試験・・・デュルバルマブとプラチナ併用化学療法による周術期(術前・術後)補助療法

ペンブロリズマブ、ニボルマブに加えて、デュルバルマブによる周術期治療の有用性についてもAEGEAN試験で検証されています。 ペンブロリズマブのKEYNOTE-671試験と比肩する規模で行われた第III相臨床試験で、両試験共に5年、10年といった長期治療成績がどの…

・第II相NADIM-II試験・・・ニボルマブ周術期(術前・術後)補助療法

KEYNOTE-671試験と比較すると規模は小さいランダム化第II相試験ながらも、III期の患者さんに絞って、化学療法はカルボプラチン+パクリタキセル併用療法に絞って行われたNADIM II試験。 術前・術後にニボルマブを併用する試験治療群においてはN2患者さんが72…

・第III相KEYNOTE-671試験・・・ペンブロリズマブとプラチナ併用化学療法による周術期(術前・術後)補助療法

これまでのところ、肺がん領域における2023年最大のトピックスは、「免疫チェックポイント阻害薬による周術期補助療法」でしょうね。 今回取り上げるKEYNOTE-671試験のほか、AEGEAN試験、Neotorch試験、NADIM II試験と目白押しです。 5年、10年と追跡しない…

・第III相IPSOS試験・・・PS不良、高齢の進行非小細胞肺がんに対するアテゾリズマブ一次治療

PS不良、高齢、背景疾患といった理由でプラチナ併用化学療法が使えない進行非小細胞肺がん患者さんに対して、アテゾリズマブ単剤療法の生存期間延長効果を検証した第III相IPSOS試験。 目を瞠るほどの結果を残したわけではありませんが、生存期間を延長して、…

・重症市中肺炎治療とヒドロコルチゾン

肺がん診療とは直接関係のない話なのですが、肺炎治療後のリハビリ目的で転院して来られる患者さんの治療経過を見ていると、抗菌薬にステロイドを併用されている方がずいぶん増えたなあという印象を受けます。 今回取り上げる論文の影響もあるのかもしれませ…

・トラスツズマブデルクステカン(T-DXd)、HER2変異陽性非小細胞肺がん適用承認

2023年08月23日付で、トラスツズマブデルクステカン(T-DXd)が「がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対して使用可能となりました。 肺がん領域ではじめて適用される抗体薬物複合体、ということに…

・KRAS G12C遺伝子変異陽性固形がん(非小細胞肺がんを含む)に対するdivarasibの第I相試験

KRAS G12C遺伝子変異陽性非小細胞肺がんに対して、我が国ではソトラシブを使用できますが、ほかにも開発中の薬があります。 今回はdivarasibを取り上げます。 まだ薬としての安全性を確認するための第I相臨床試験段階での報告ですが、安全性に大きな問題はな…

・お盆に親族が集まるということ

1年ちょっとの膵がんとの闘病期間を経て、6月下旬に叔父が亡くなりました。 大学病院の腫瘍内科でがん薬物療法を受けていたのですが、自宅で身動きが取れなくなって、私の勤め先に救急搬送されてきました。 各種検査データから多臓器不全の状態にあり、CTで…

・EGFRエクソン20挿入変異に対する、zipalertinibの第I / IIa相試験

EGFRエクソン20挿入変異陽性肺がんに対する治療開発は、有効性を高める目的だけではなく、副作用を軽減する目的でも進められているんですね。 使用量が多いほど効果が高まる一方で、副作用も増強するという内容は、どちらかというと分子標的薬というより殺細…

・第II相WU-KONG6試験・・・EGFRエクソン20挿入変異での奏効割合60.8%

EGFRエクソン20挿入変異に対するsunvozertinibの治療開発について、新たな報告です。 2022年の米国臨床腫瘍学会では、第I相試験段階での報告が行われていました。 そのころに作成した以下の過去記事で、sunvozertinibがどういった種類のお薬なのか詳しく触れ…