・第III相CheckMate816試験の最終生存期間解析結果

Overall Survival with Neoadjuvant Nivolumab plus Chemotherapy in Lung Cancer Patrick M. Forde et al.N Engl J Med. 2025 Jun 2. doi: 10.1056/NEJMoa2502931. Online ahead of print. 背景: 第III相臨床試験において、切除可能な非小細胞肺がん患者に…

・Reiwa研究のサブセット解析から・・・オシメルチニブ初回治療後、その他のEGFR-TKIでrechallenge治療をしたら

EGFRチロシンキナーゼ阻害薬のrechallenge治療に関する研究をもう1件。 EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対してオシメルチニブを使用し、中止したのちにEGFR-TKIを用いて治療するにあたり、オシメルチニブ以外のEGFR-TKIを用いたらどうか、という検討…

・Osi-risk TORG-TG2101試験・・・オシメルチニブ投与中止後のEGFR-TKI再投与とその安全性について

今年ももうすぐ終わりですね。 振り返ってみれば、あまり筆が進まない1年でした。 理由は様々です。 ・有望だと報告される治療があまりに多すぎて、どれから手を付けていいかわからない ・免疫チェックポイント阻害薬関連では、近年周術期や局所進行期に関す…

・MET増幅によるオシメルチニブ耐性化後EGFR肺がんに対するテポチニブ+オシメルチニブ併用療法

論文本文の解釈にてこずって、記事にするまでにずいぶん時間がかかってしまいました。 それでも、先々も振り返ってじっくり考える価値のある内容だと感じましたので、どうにかここまでこぎつけました。 EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対し、オシメ…

・第III相JCOG1914試験・・・高齢局所進行非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ナブパクリタキセル毎週併用療法+同時併用根治的胸部放射線照射

切除不能局所進行非小細胞肺がんは、根治を目指しうる、治療開発の意義がとても大きな病状のひとつです。 近年の周術期薬物療法の発展に伴い、手術を絡めた治療選択の幅が広がったとはいえ、化学放射線療法の重要性が色褪せることはありません。 手術に耐え…

・第III相WJTOG0105試験・・・我が国における局所進行非小細胞肺がんに対する化学放射線療法開発の一里塚

近年、局所進行非小細胞肺がんに対する治療開発が大きく花開いていますが、振り返ってみると化学放射線療法に関する我が国の重要な知見は、2010年前後に集中していました。 今回紹介する第III相WJTOG0105試験は、統計学的には有意義な結果が得られなかったの…

・オシメルチニブに術前補助療法としての意義はあるのか

EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんに対して、 1 進行期 2 根治切除後の術後補助療法 3 局所進行期の化学放射線療法後地固め療法 として、着々とその立ち位置を築いてきたオシメルチニブ、今回は術前補助療法としての意義があるのか、という報告です。 近…

・臨床腫瘍医の燃え尽き症候群とキャリア満足度

先日、知人から「肺がん診療がうまく行かなくて落ち込むことがある」との相談を受けました。 無理もないです。 治療が格段に進歩したとはいえ、それがうまく行かず、短期間に担当患者さんが亡くなってしまうことも少なくありません。 だからこそ、肺がんはが…

・第III相HARMONi-2試験・・・PD-1とVEGFに対する二重特異性抗体ivonescimabのインパクト

二重特異性抗体は様々な分野で進んでいるようです。 EGFRの領域ではEGFRとMETに対する二重特異性抗体であるアミバンタマブの話題が盛り上がっています。 今回取り上げるのは、PD-1とVEGFに対する二重特異性抗体であるivonescimabの話題です。 こうした新しい…

・第III相LIBRETTO-431試験の東アジアサブグループ解析結果

RET融合遺伝子陽性進行肺腺がんに蝕まれた義父が最後の望みとしてセルペルカチニブを飲み始めてから、あと一週間で1,000日を数えます。 いろいろと紆余曲折があり、ときには肺血栓塞栓症を合併して厳しい呼吸状態に陥ったこともありましたが、肺がんと共存し…

・第III相PALOMA-3試験・・・Amivantamabの皮下注射は有効か

2024/09/02付で、アミバンタマブ(商品名ライブリバント点滴静注用)が厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会で審議され、以下の条件で承認了承されました。 「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対し、カルボプラ…

・第III相KRYSTAL-12試験・・・KRAS G12C変異陽性進行非小細胞肺がん二次治療におけるAdagrasib

KRAS G12C陽性進行非小細胞肺がんに対する分子標的薬として、既にソトラシブが使えますが、さて今回扱うadagrasibは新たな治療選択肢としての地位を築くことができるでしょうか。 今回のKRYSTAL-12試験が主要評価項目であるPFSの延長を達成したことで、世に…

・第III相ADRIATIC試験・・・限局型小細胞肺がんに対する化学放射線療法後のデュルバルマブ

アドリア海と聞くと、「紅の豚」を思い浮かべるのは、私だけでしょうか。 ポルコ・ロッソの「飛べない豚は、ただの豚だ」というセリフはあまりにも有名ですね。 もっとも、飛べる豚も木に登れる豚も、私は見たことはありません。 第III相ADRIATIC試験におい…

・早期緩和ケア導入が生存期間を延長する、ということ

リモート診療での早期緩和ケア導入、という話題が今年の米国臨床腫瘍学会で取り上げられていましたので、その大前提である早期緩和ケア導入について、前提となる臨床試験を取り上げます。 発表当時は、早期に緩和ケアを導入するだけで生存期間中央値が3ヶ月…

・第III相Reach-PC試験・・・肺がん患者に対する、遠隔診療による早期緩和ケアは有効か

ある日、実家の近所を散歩していたら、お寺の入り口にこんな標語が掲げられていました。 素直に愚痴をこぼせる環境はかけがえがない、ということなのでしょうか。 がん治療に限らず、どんな病気の患者さん・ご家族も、もちろん日常生活のどんな場面であって…

・第III相METIS試験・・・ドライバー遺伝子変異のない進行非小細胞肺がんの脳転移に対するTTFields療法

約1年前、「腫瘍治療電場」という馴染みのない治療法が、進行非小細胞肺がん患者さんの生存期間を延長したという話題を取り上げました。 oitahaiganpractice.hatenablog.com 失礼ながら、眉唾もんだなあと感じながら記事を書いたのですが、脳腫瘍の一種であ…

・第III相LAURA試験・・・EGFR遺伝子変異陽性局所進行非小細胞肺がんに対する化学放射線療法後のオシメルチニブ地固め療法

進行期の単剤治療、進行期の化学療法併用治療、術後補助治療。 EGFR遺伝子変異陽性肺がんに対する治療薬として、オシメルチニブは着々とその応用範囲を広げてきました。 そして今回は局所進行期における維持療法としての意義も示されました。 局所進行非小細…

・第III相RESILIENT試験・・・リポソーム化イリノテカンによる進展型小細胞肺がん二次治療

肺がん診療を10年、20年と続けている我が国の医師なら、イリノテカンという薬には誰もが一定の想いを秘めているのではないでしょうか。 シスプラチン+イリノテカン併用療法が進展型小細胞肺がんの生存期間を延長したJCOG9511試験は、我が国の小細胞がん治療…

・第II相LOGiK2004試験・・・未治療の脳転移合併進行非小細胞肺がんに対するニボルマブ+イピリムマブ+プラチナ併用化学療法

脳転移合併未治療進行非小細胞肺がん患者さんに対してニボルマブ+イピリムマブ+プラチナ併用化学療法を行った際、脳転移巣縮小効果はどうか、という点を検証したLoGIK2004試験。 脳転移巣への奏効割合は50%と良好だったようですが、JCOG2007試験の結果を踏…

・E7389-LF(liposomal eribulin)+ニボルマブ併用療法第II相試験の既治療進展型小細胞肺がんコホート解析結果

肺がん領域ではなかなか出番がないeribulinですが、そのリポソーム化製剤であるE7389-LFをニボルマブと併用し、進展型小細胞肺がんの二次治療として活かせないかという取り組みが行われているようです。 E7389-LFの開発を進めているのはエーザイ株式会社で、…

・Ⅳ期肺非小細胞がんの過去20年間の著明な生存期間の改善・・・国立がん研究センター中央病院の調査から

国立がん研究センター中央病院から、直近20年間でどの程度進行非小細胞肺がん患者さんの寿命が延びたのか、というデータです。 生存期間中央値が約10ヶ月から25ヶ月に、2.5倍になったというのはインパクトがあります。 2,000年代初頭と言えば、まだパクリタ…

・ALK陽性進行肺がんに対するアレクチニブの効果・・・国立がん研究センター中央病院の調査から

進行・再発ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がんに対してアレクチニブを使用する前提で、どんな背景がある人は慎重に経過観察しなければならないか、という話題です。脳転移よりも肝転移の方が予後不良であること、40代以上よりも40代未満の患者さんの方が予後不…

・HER2遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんの脳転移に対するT-DXdの有効性

T-DXdが脳転移に対しても有効だとする報告です。 従来、血液脳関門があるため、分子量の大きな薬物は脳転移には効果を及ぼしにくい、という推測が為されていましたが、ベバシズマブや免疫チェックポイント阻害薬を含めて抗体医薬は一定程度中枢神経系病変に…

・第II相TROPION-Lung05試験・・・ドライバー遺伝子変異陽性既治療進行非小細胞肺がんに対するDato-DXd

分子標的薬、プラチナ併用化学療法施行後に病勢進行したドライバー遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者を対象に、Dato-DXdの有効性と安全性を検討したTROPION-05試験についての報告です。 治験参加期間中央値15.2ヶ月、という数字が出てきました。 全体と…

・B7 homolog 3を標的とした抗体薬物複合体ifinatamab deruxtecan(I-DXd)と小細胞肺がん

デルクステカン(DXd)をペイロードとした抗体薬物複合体の臨床開発が花盛りです。 今回とりあげたI-DXdの早期臨床試験結果は複数のがん種を対象としたものでしたが、学会では小細胞肺がんに焦点が当てられていました。 I-DXdについて、現在は以下の臨床試験…

・METエクソン14スキップ変異陽性非小細胞肺がんに対するテポチニブ療法の市販後調査

2年前の日本臨床腫瘍学会総会にあわせて、以下のような記事を書きました。 oitahaiganpractice.hatenablog.com 今回は市販後臨床調査結果の報告ですので、より実地臨床を反映した、臨床試験よりも現場の感覚に近い結果が得られているのではないでしょうか。 …

・オシメルチニブ使用後、C797S変異が見つかった人の特徴は?

C797S耐性変異は、第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬が開発された早々からよく取り上げられてきた変異です。 本変異をターゲットにした治療開発もずっと進められているはずですが、なかなか実用化されません。 今回の報告は、C797S耐性変異陽性患者は、 …

・FLAURA2の日本人サブグループ解析、2回目中間解析

EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対するオシメルチニブ+ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法の意義を検証した第III相FLAURA2試験。 主要評価項目の無増悪生存期間は既に目標を達成しており、以下のごとく報告されています。 oitahaiganpractice.ha…

・オリゴ転移について

先日、日本内科学会雑誌を読んでいたら、オリゴ転移状態の非小細胞肺がんに対する局所治療のことが書かれていました。 内科医すべてを対象に書かれた文章ですから、肺がん診療に直接携わる呼吸器内科医、呼吸器外科医、腫瘍内科医、放射線治療医のみならず、…

・第II相UNICORN試験・・・uncommonEGFR変異に対するオシメルチニブ

EGFRエクソン19欠失、エクソン20挿入、エクソン21L858R点変異以外の、いわゆるuncommon EGFR変異に対するオシメルチニブは果たして有効なのか。 UNICORN試験は単アーム第II相試験なので結論めいたことは言えませんが、治療選択肢の一つに数えてよさそうです…