2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

liquid biopsyの妥当性を検証する前向き試験

いわゆるliquid biopsyの妥当性に関する論文報告があったようです。 要約に目を通してみると、 ・進行非小細胞・非扁平上皮癌の遺伝子変異検索に関する限り、EGFR Ex.19およびEx.21変異検出については組織検体を用いた検査と遜色ない ・採血した日から遺伝子…

PD-L1発現を見るための検査

既に非小細胞肺癌で承認されたニボルマブは年間3000−4000万円、近い将来承認されるであろうペンブロリズマブは年間1億円の薬価がかかります。 このうち90%以上は国民全体が税金や借金として負担します。 それだけに、治療効果予測因子を開発し、不要な使用…

BRAF変異を有する非小細胞肺癌とdabrafenib

原発性肺がんにおいて、ALK遺伝子再構成、ROS1遺伝子再構成、RET遺伝子再構成など、希少な遺伝子異常がさまざま報告されています。 BRAF V600E変異もそういった希少な遺伝子異常のひとつです。 今回は、このBRAF変異に対するdabrafenibの報告です。 EGFR遺伝…

肝転移と放射線治療

肺がんには転移しやすい場所があります。 いつも講義で学生に伝えていますが、 ・肺(原発巣以外の別の部分へ) ・肝臓 ・副腎 ・骨 ・脳 というのが好発部位です。 これらのうち、よく緩和的な放射線治療の対象となるのは、神経症状の出やすい脳や、痛みの…

悪性胸膜中皮腫に対するリステリア免疫療法

こちらも、ELCC2016から。 うわさには聞いていましたが、悪性胸膜中皮腫に対するリステリア免疫療法の結果が報告されたようです。 全く新しい治療概念です。 生きた病原菌を患者さんに注射するなんて、さらにそのあとに引き続いて感染症の増悪を招く恐れのあ…

updated AURA study results for 1st and 2nd line setting

肺がんのブログとはまったく関係ありませんが、現在熊本を中心として九州中部で大規模な群発地震が発生しています。 以前から、別府湾から九重・阿蘇を通って熊本に抜ける線に沿って火山や活断層が集中しており、この地域を中心とした大きな地震が起きる可能…

EGFR-TKI耐性化の3つのパターン

これも出典不明の学会メモから。 内容は簡潔ですが、耐性化後の経過をよく言い表していると思います。 ・EGFR-TKI耐性化後の3パターン 1)あっという間に増悪(dramatic progression) 2)ゆっくりと増悪(gradually progression) 3)局所的に増悪(loca…

Nivolumabと多剤併用のphase I

たしか、2014年7月の日本臨床腫瘍学会総会で、国立がん研究センターの神田先生が話しておられた内容だと思います。 Nivolumab関連の第I相試験。 1st line ? CDDP+GEM+Nivolumab→maintenance Nivolumab, n=6 ? CDDP+PEM+Nivolumab→maintenance (Nivolumab+PEM…

NSCLC個別化医療時代の気管支鏡診断

<NSCLC個別化医療時代の気管支鏡診断> 2015年11月26日、日本肺癌学会総会 東京都済生会中央病院 笹田真滋先生 ・AZD9291, CO1686などの第3世代EGFR阻害薬が登場し、再生検の必要性が増してきた。 ・再生検の論文報告 Kuiper et al, Oncology 2014 Yu et al…

免疫チェックポイント阻害薬の安全性と応用

<免疫チェックポイント阻害薬の安全性と応用> 2016年4月9日 日本呼吸器学会総会 宮城県立がんセンター 前門戸 仁先生 ・docetaxelと比較して、Nivolumabは有害事象の頻度自体は少ない all grade: 86% vs 58% >grade 3: 55%vs 7% ・Ipilimumabでは、時系列…

免疫チェックポイント阻害薬の有効性と評価

<免疫チェックポイント阻害薬の有効性と評価> 2016年4月9日、日本呼吸器学会総会 がん研有明病院 西尾誠人先生 ・免疫チェックポイント阻害薬開発の歴史を概観(どの演者の発表でも頻出) ・抗原提示の際のc0-stimulatory factor CD28, OX40, GITR, CD137,…

免疫チェックポイント阻害薬の基礎的開発

<免疫チェックポイント阻害薬の基礎的開発> 2016年4月9日、日本呼吸器学会総会 国立がん研究センター 吉村清先生 ・・・遅刻しちゃったので、途中から。 ・driver antigenよりcommon antigenのmutationがある方が免疫チェックポイント阻害薬は有効 Snyder …

がん免疫のABC

<がん免疫のABC> 2015年11月28日、日本肺癌学会総会 西岡安彦先生 ・免疫システムの分類 自然免疫 NK細胞 NKT細胞 γδT細胞 獲得免疫 抗体・液性免疫 CTL、細胞性免疫 ・2000年から2005年の基礎研究報告では、担がんマウスにおける獲得免疫の重要性が強調さ…

・OncoPrimeによるドライバー遺伝子変異探索

<OncoPrimeから見た肺癌診療におけるClinical Sequence> 2016年4月8日、日本呼吸器学会総会、京都大学 武藤学先生 ・日常臨床としてのクリニカル・シーケンスの対象 原発不明癌 希少癌 標準治療不応の進行・再発癌 ・OncoPrimeのイメージ http://www.mki.c…

肺がんに対するPrecision Medicine

<肺がんに対するPrecision Medicine> 2016年4月8日、日本呼吸器学会総会、国立がん研究センター中央病院 堀之内秀仁先生 ・Human genome Project Rubin et al, Nature 2015 genome information for 14,000 persons, but there are many defect of clinical…

EGFR-TKI耐性NSCLCに対する治療戦略

<EGFR-TKI耐性NSCLCに対する治療戦略> 2016年4月8日、日本呼吸器学会総会 ・AZD9291: 1st in human studyからわずか3年で製造承認にこぎつけている ・用量は80mgを1日1回、減量時は40mgを1日1回 ・AZD9291の日本人におけるデータ AURA studyのphase II exp…

EGFR-TKIの耐性機序と第3世代EGFR-TKI

<EGFR-TKIの耐性機序と第3世代EGFR-TKI> 2016年4月8日、日本呼吸器学会総会 光冨 徹哉先生 ・各EGFR-TKIに関連したpivotal study gefitinib: NEJ002, WJOG3405 erlotinib: OPTIMAL, EURTAC afatinib: LUX-Lung3, LUX-Lung 6 ・EGFR-TKI感受性と二次耐性の…

utilize ICIs

<Finding how to best utilize the immune checkpoint inhibitors> 2016年4月8日、国立がん研究センター中央病院 後藤 悌先生 うわさには聞いていましたが、恐るべきプレゼンテーション能力です。 Native English presentationです。 講演の内容よりも、そ…

Immuno-Oncology in Lung Cancer

<Immuno-Oncology in Lung Cancer> Giuseppe Giaccone MD. ・Johnson et al, ASCO 2013, NSCLC and genetic mutation ・PD-1 inhibitors: Nivolumab, Pembrolizumab, etc. ・PD-L1 inhibitors: Atezorizumab, Durvalumab, avelumab, etc. ・Tumor immunolo…

2016年4月8日 日本呼吸器学会総会 高感度EGFR変異検査

<Highly sensitive detection of EGFR mutation in NSCLC> 岩間 映二先生、九州大学 ・Kohno et al, Cancer Sci 2013: 初回診断時のdriver mutation内訳 ・Yu et al, Clin Cancer Res 2014: 再生検時の耐性二次変異の内訳 ・各EGFR遺伝子変異検出法の感度 …

2016年4月8日 日本呼吸器学会総会 biomarker

<Clinical and Reseach Applications of Biomarkers in Lung Cancer> David CL Lam, Department of Medicine, University of Hong Kong ・Cancer Biomarkers→Diagnosis, Therapeutics, Prognosis estimation ・History 2004 EGFR-TKIとEGFR mutation 2005 …

2016年4月8日 日本呼吸器学会総会 Update in Lung Cancer

<Update in Lung Cancer> Dr Kwun Fong, Prince Charles Hospital and University of Queensland School of Medicine, Australia 非常に駆け足の講演でほとんどついていけませんでしたが、キーワードだけ羅列します。 ・History 2000 neoadjuvant chemothe…

新聞記事から

土日祝日と学会出張中は、暇を見て日本経済新聞を読むことにしています。 昨日、今日の記事には、医薬品関係の記事が多かったのでちょっと扱っておきます。 ・薬価、割高なら下げ(2016年4月7日朝刊) 厚生労働省は2018年度から、高額な薬について価格の算定…

もう一度、免疫チェックポイント阻害薬使用時の効果判定について

nivolumabが非小細胞肺癌に使えるようになって3ヶ月を超えましたが、大分でも裾野が広がりつつあるようです。 患者さんも、どの担当医の先生方も、不測の有害事象におびえながらも勇気を持って使用されていることでしょう。 幸い、大分県内で深刻な有害事象…

2015年11月27日 日本肺癌学会総会

<進行期非小細胞肺がん、EGFR遺伝子変異陽性、長期生存のための薬剤選択> 2015年11月27日、日本肺癌学会総会にて ・POLARSTAR study Yoshioka et al, Lung Cancer 2014 ・ASCO Abstract #8074, from Dana Faber Institute Erlotinib full dose vs Erlotini…

2015年7月18日 Companion診断薬について

<Companion診断薬について> ・体外診断薬(in vitro diagnostic device, IVD) ・自家製試薬(laboratory developed test, LDT) ・Reseach Use Only(RUO) ・Investigational Use Only(IUO) ・CrizotinibのCompanion診断薬:Vysis ALK FISH kit ・Alec…

2015年7月18日 LC-scrum教育講演(日本臨床腫瘍学会総会)

年度が改まり、机の上を整理していたら、学会で見聞きした内容のメモが大量に出てきました。 このまま捨てるわけにもいかないので、ブログに残すことにしました。 しばらくの間、下調べもなしで書きなぐりますので、気にしないでください。 <LC-scrum教育講…