2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

・巨大髄膜種と重症肺化膿症

世間はCoVID-19による行動制限なしの、久しぶりの大型連休初日です。 私はといえば、朝な夕なに入院担当患者さんがお亡くなりになり、哀しい連休初日になりました。 重症肺炎で人工呼吸管理中の超高齢患者さんを抱えているので、もとより今年の大型連休はな…

・「PRiME-R」と電子カルテ入力支援システム「CyberOncology」

以前、電子カルテ内に蓄積されたデータをリアルワールドデータ(RWD=実地診療データ)として利用するための仕組みのひとつとして、国立がん研究センター中央病院で「Double Jump」というシステムの開発が進んでいると書いたことがあります。 oitahaiganprac…

・NTRK融合遺伝子陽性肺がんに対するエヌトレクチニブ

NTRK融合遺伝子陽性がんに対するエヌトレクチニブについて、きちんとした記事を残していなかったことに最近気付きました。 備忘録として論文要約を書き残しておきます。 極めてまれな遺伝子異常ではありますが、見つかれば一発逆転もあり得ます。 Entrectini…

・直近1年間の振り返り・・・第62回日本呼吸器学会総会より

2022年、第62回日本呼吸器学会総会の内容を、暇を見つけてオンライン参加して閲覧していました。 腫瘍部会の年次集会において、この1年の出来事の振り返りと題した発表がありましたので、ざっと触れておきます。 ・ADAURA試験 IB-IIIA期のEGFR遺伝子変異陽性…

・NTRK融合遺伝子陽性固形がん(肺がんを含む)に対するラロトレクチニブ

2021年3月23日に製造販売承認、2021年05月19日に薬価収載、2021年07月07日に発売されたラロトレクチニブ。 対象疾患は「NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌」であり、肺がんを含む多彩ながんが治療対象です。 NTRK陽性肺がんにはまだお目にかかったこと…

・PD-L1発現が高いと、EGFR阻害薬の治療はやりにくい

最近はあまり耳にしなくなりましたが、以前よく用いられた言い回しで、 「オンコジーン・アディクション」 というものがありました。 敢えて日本語に訳すなら、 「がん遺伝子に対する中毒性」 とでもなるところでしょうか。 EGFRにせよALKにせよ、あるいはそ…

・受診先が消えるということ

新型コロナウイルス感染症流行の影響か、はたまた全く別の要因か、近隣医療機関の体制が目まぐるしく変わっています。 新型コロナウイルス感染症流行が始まったその年、近隣の緩和ケア病棟が閉鎖されたとき、記事を書きました。 oitahaiganpractice.hatenabl…

・肺がん内科治療の進歩・・・第119回日本内科学会総会・講演会より

今年の日本内科学会総会にオンライン参加し、表題の教育講演を聴講しました。 進行非小細胞肺がんについて、EGFR遺伝子変異陽性サブグループとドライバー遺伝子変異陰性サブグループの治療に関する考え方がコンパクトにまとめられていて、頭の中を整理するの…

・新型コロナウイルスワクチンによる免疫学的肺炎

新型コロナウイルス感染症の患者さんを診療していると、血液検査結果はそれほど大したことないのに、高い熱が続き、CTをとってみると淡いながらも肺炎像があった、ということをしばしば経験します。 1週間を超えて症状が続く患者さんには、抗ウイルス薬より…

・術前(Neoadjuvant)療法としての複合免疫療法

切除可能非小細胞肺がんの術前薬物療法というのは、ギリギリ切除可能かな、という患者さんに対する術前化学放射線療法をときどき行うくらいで、遍く行うような代物ではありませんでした。 しかし、CheckMate-816試験の結果を受けて、遠からず我が国でも、少…

・Ruminococcus属とAkkermansia属

以下のNEOSTAR試験の項で、腸管内のRuminococcus属とAkkermansia属の増加が治療有効性と相関があると触れました。 oitahaiganpractice.hatenablog.com Ruminococcus? Akkermansia? 私が従事する呼吸器内科という診療科は、日頃から肺炎患者さんを診療して…

・術前ニボルマブ+イピリムマブ併用療法・・・ランダム化第II相NEOSTAR試験のおさらい

切除可能非小細胞肺がん患者さんを対象に、ニボルマブ+イピリムマブ術前併用療法の有用性を検証した第II相NEOSTAR試験。 oitahaiganpractice.hatenablog.com 2019年の米国臨床腫瘍学会で取り上げられた際に一度触れましたが、論文化されていましたので改め…

・がん治療を続けながら入院リハビリをするということ

私の今の勤務先では月単位で入院リハビリができるので、呼吸器疾患を背景に持つ患者さんの入院リハビリ依頼が頻繁に持ち込まれます。 前立腺がんや婦人科がんの化学療法の合間に1-2週間転院リハビリができないか、といったような依頼が来たこともありますが…

・新型コロナウイルス感染症の治療は、いつまで全額公費で賄うのか

新型コロナウイルス感染症の治療をしていて、いつも思うことがあります。 新型コロナウイルス感染症治療薬を積極的に使うべきなのか。 対症療法と酸素投与、ステロイドで凌ぐべきなのか。 切り口を変えると、外国資本が提供する高額医療をするべきか、あるい…

・ORCHARD試験におけるモジュール4は無効中止:デュルバルマブ+ペメトレキセド+カルボプラチン併用療法の中間解析結果

EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対し、一次治療としてオシメルチニブを使った後に病勢進行したあと、再生検の結果に応じて異なる治療を提供するORCHARD試験。 今回は、治療標的となり得る異常が見つからなかった患者さんに対するデュルバルマブ+ペ…

・RET肺がんに対するセルペルカチニブ・・・LIBRETTO-001試験の最新データ

RET融合遺伝子陽性既治療(プラチナ併用化学療法を含む3レジメン)進行肺腺がんの義父が、セルペルカチニブを飲み始めて3ヶ月以上経過しました。 滑り出しはよかったものの、退院したとたんに過敏反応にさいなまれましたが、担当医の適切なご対応により現在…

・EGFRエクソン20陽性肺がんに対するAmivantamabで進行が止まることの意義

第II相臨床試験では奏効割合が主要評価項目とされることが多く、腫瘍がそれほど縮小せず、またそれほど増大もしない、病勢安定という状態についてはあまり注目されません。 今回の報告は、病勢安定にもちゃんと意味があるんだよ、ということを示しています。…

・EGFRエクソン20挿入変異に対するAmivantamab

EGFRエクソン20挿入変異という厄介なEGFR遺伝子変異があります。 今回取り上げる論文によると、その特徴は以下の通りです。 ・EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの中では、3番目に頻度が多い(多く見積もってEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの12%) ・多様…

・HER2エクソン20挿入変異陽性非小細胞肺がんに対するpoziotinib

poziotinibについては過去に何度か触れました。 oitahaiganpractice.hatenablog.com oitahaiganpractice.hatenablog.com 2021年の欧州臨床腫瘍学会では、EGFRエクソン20挿入変異ではなく、HER2エクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がんに対して、poziotinib…

・EGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がんに対するMobocertinib(TAK-788)再び

Mobocertinib(TAK-788)に最初に触れたのは、2019年の米国臨床腫瘍学会の発表に際してでした。 oitahaiganpractice.hatenablog.com このときは、第I / II相試験の段階で、参加した患者さんの総数は28人と限られていました。 今回は100人規模まで患者さんの…

・EGFRエクソン20挿入変異とTAK-788

EGFR遺伝子変異のうち約6%を占めるとされるEGFRエクソン20挿入変異は、EGFR遺伝子変異とはいいながら、実際にはEGFR遺伝子変異陰性とほぼ同義でした。 EGFRチロシンキナーゼ阻害薬の効果がほぼ期待できないからです。 2019年の米国臨床腫瘍学会で、EGFRエク…

・EGFRエクソン20挿入変異とpoziotinib・・・ZENITH20試験コホート1の中間解析

EGFR遺伝子エクソン20挿入変異に対するpoziotinibの治療効果に関する報告です。 奏効割合はEGFRチロシンキナーゼ前治療歴がある患者さんでは7%、ない患者さんでは17%。 無増悪生存期間は4ヶ月です。 既存のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬よりは優れているのか…

・NeoADAURA前哨戦その2・・・第II相NEOS試験

どの分野においてもそうですが、肺がん治療開発の分野においても中国のプレゼンスは目覚ましいものがあります。 既知の治療薬を用いた中国発の臨床試験結果が増えたな、というのが数年前までの印象でしたが、ここ最近は続々と中国で開発された新薬とそれに関…

・ペンブロリズマブによる術後補助療法 KEYNOTE-091試験

EGFR遺伝子変異陰性の外科切除可能非小細胞肺がん患者さんにおける、周術期の治療がいよいよ混沌としてきました。 CheckMate-816試験に基づいて、術前にニボルマブ+化学療法を行うのがいいのか。 IMpower-010試験に基づいて、術後化学療法を行った後にアテ…

・新型コロナウイルス感染症、第7波の幕は開いたのか

3連休。 春休み。 卒業式。 お花見。 入学。 就職。 よい季節ですね。 新型コロナウイルス感染の管理をする者にとっては、どれをとっても感染拡大のリスクにしか見えませんけれども。 2022年に入ってから、私の職場周辺の医療環境は壊滅的な打撃を受け…