・新型コロナウイルス感染症の治療は、いつまで全額公費で賄うのか

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 新型コロナウイルス感染症の治療をしていて、いつも思うことがあります。

 新型コロナウイルス感染症治療薬を積極的に使うべきなのか。

 対症療法と酸素投与、ステロイドで凌ぐべきなのか。

 切り口を変えると、外国資本が提供する高額医療をするべきか、あるいは安価な治療で済ませるか、という議論になります。

 足元の治療成績を見る限り、前者でも後者でも、さほど大きな違いはないような気がします。

 

 ラゲブリオ(モルヌピラビル)は日本国内では薬価が定められていませんが、例えばベトナム企業の製品は1錠44-63円で、1日8錠・5日分とすると全体として1,760-2,520円かかります。個人輸入のサイトを見ると、10,000円前後と記載されていることが多いようです。

 ゼビュディ(ソトロビマブ)も日本国内では薬価が定められていませんが、米国では2,220-2,400$(1$=125円として280,000-300,000円)といった価格のようです。

 ベクルリー(レムデシビル)は薬価が定められています。1回の治療で約380,000円の価格です。

 ちなみに、解熱鎮痛薬のカロナールは1錠200mgを10錠で300円程度、1回2錠服用なので、1日3回10日間服用しても1,800円くらいです。

 代表的なステロイド薬であるデキサメサゾンは、1錠わずか5.7円です。 

 したがって、コストの面ではどう考えてもカロナール+デキサメサゾンが国庫に対して優しいです。

 

 新型コロナウイルスワクチンが普及し、複数の治療薬も開発され、新型コロナウイルス感染症はインフルエンザ並みに治療体系が整った疾患になったと考えていいでしょう。

 そろそろ、治療費全額公費負担の看板は下ろし、保険診療で対応する時期が来たように思います。

 感染して治療が必要となった場合にはそれなりの自己負担が求められることで、感染予防を目指す各自の行動変容につながるのではないでしょうか。