2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

上乗せすることで毒性が軽減される抗腫瘍薬:Plinabulin

いわゆる「抗がん薬」=「殺細胞性抗腫瘍薬」の話題は、このところすっかり寂れた。 そんな中、面白い薬の話題が届いた。 二次治療でドセタキセルと併用したところ、奏効持続期間が延長し、好中球減少の毒性は軽減されたとのこと。 上乗せしたことにより、毒…

Pembrolizumab二次治療後の5年生存割合は25%以上?!

3年未満しか追跡調査できていない臨床試験の結果から、5年生存割合を類推する、というのは、やや眉唾にも思える。 しかし、免疫チェックポイント阻害薬で治療した患者の生存曲線を見ると、初期には曲線が急速に低下し、その後にX軸とほぼ平行に走るプラトー…

PD-L1評価と、LC-SCRUM-IBIS

「検体不足」と題して、PD-L1発現状態の評価がうまく出来なかったことに触れたが、上司からコメントを頂いた。 http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e890923.html 「そういう場合はLC-SCRUM-IBISを利用するといいよ。検体の中の癌細胞数が100個未満で…

進行非小細胞肺がんで治療を受けなかったら

進行肺がんの診断がついても、積極的な治療を受けない患者さんは少なからず存在する。 積極的な治療を受けなかった患者さんのデータは、学会発表や論文ではあまり出てこない。 面白くないからだ。 しかし、臨床の現場で、治療をするかしないかの議論を患者さ…

EGFR遺伝子変異による抗PD-1/PD-L1抗体の効果予測

ドライバー遺伝子変異陽性の患者では、できるだけ免疫チェックポイント阻害薬の使用を後回しにしたい、という根拠のひとつを示す論文。 抗PD-1/PD-L1抗体使用後にEGFR阻害薬やALK阻害薬を使用すると、間質性肺炎などの強い毒性が現れる可能性が高い、という…

検体不足

PD-L1免疫染色の結果を待っていたところ、SRLの担当者から連絡が入った。 当院で保管していた経気管支肺生検の組織パラフィンブロックを全て提出したが、どれを切り出しても評価可能な腫瘍組織が見つからなかったので、「判定不能」で結果を返す、とのこと。…

進展型小細胞肺癌とベバシツマブ

進展型小細胞がんに対するシスプラチン+エトポシド+ベバシズマブ併用療法の是非。 ベバシズマブ維持療法までこぎつけたら有意に予後改善・・・つまり、治療期間中に悪化しなければ予後改善・・・そりゃそうでしょ。 Italian Trial Adds Bevacizumab to Cis…

第I世代EGFR阻害薬のメタ解析

世界に先駆けてgefitinibが我が国の臨床現場に持ち込まれたのが2002年。 あと半年で、15周年を迎える。 薬剤性間質性肺炎の問題、特定の遺伝子異常が効果予測因子となる、耐性化とその克服戦略など、EGFR阻害薬はいろいろな意味で肺がん診療を大きく回天した…

2016

2016年の年頭に、この1年は肺がん診療にとっては大きな転換点となるだろう、と記した気がする。 はたしてその通りになった。 TNM分類が改訂されたとか、肺癌取り扱い規約が改訂されたとか、そういったやや本質から離れた話題はこの際、措く。 今日、米国臨床…

早速PD-L1検査

患者さんの情報収集能力というのは本当に恐るべきもので、キートルーダやPD-L1抗体検査が使用可能になったばかりの2017年2月15日、早速患者さんから問い合わせが来た。 「うそでしょ!」 という感じ。 もっとも、患者さんやご家族にとってみれば、 「いつや…

あっぱれ、IUNO試験

分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の話題が目白押しで、化学療法の話題にはすっかり地味な領域になってしまった。 しかし、少なくとも初回治療においては、EGFR-TKIの対象となるのが腺癌の30%=非小細胞肺癌の15%、ALK-TKIの対象となるのが腺癌の5%=非…

日本肺癌学会のアンケート調査

日本肺癌学会から、2017年2月13日付で以下のようなアンケートが来た。 アンケートに答えながら、設問を見て、本ブログを続けるべきかやめるべきか真剣に悩んでいる。 本ブログは広告目的はなく、(私見は織り込んでいるかもしれないが)故意にゆがめた情報も…

免疫チェックポイント阻害薬と使用制限

日本臨床腫瘍学会、日本肺癌学会からメールが送られてきた。 以下の内容に関するものだった。 ニボルマブ、ペンブロリズマブの使用に関するかなり踏み込んだ内容だ。 使用医師の制限については、専門医資格などは求められていない。 ペンブロリズマブの薬価…

国立がん研究センター東病院での気管支鏡・クライオプローブ見学

2月2日(木)、1日お休みをとって国立がん研究センター東病院に伺った。 どこに行くにしても、大分からだと時間がかかる。 当日のスケジュールを振り返ると、 午前5時:起床 午前5時40分:出発 午前5時55分:空港バス乗車 午前7時45分:大分空港発 午前9時過…

ceritinibによるALK陽性肺がんの一次治療

ALK陽性進行肺癌に対するceritinibの一次治療が、化学療法に対して無増悪生存期間を有意に延長することが報告された。 これで、ALK陽性進行肺癌の一次治療としてエビデンスを有する薬が3種類になった。 J-ALEX試験の結果が報告されてから1年もたたない。 個…

なんとわが身にも!

ここ数年、知人が肺がんの手術を受けたとか、CTを撮ったらたまたま肺の結節影を指摘されたとか、そういった話を聞くことが多くなった。 相談を受けてアドバイスをする、といったことは本当にしばしばだ。 2017年になったとたんにひどい風邪を引いて、その後…