2024-01-01から1年間の記事一覧

・METエクソン14スキップ変異陽性非小細胞肺がんに対するテポチニブ療法の市販後調査

2年前の日本臨床腫瘍学会総会にあわせて、以下のような記事を書きました。 oitahaiganpractice.hatenablog.com 今回は市販後臨床調査結果の報告ですので、より実地臨床を反映した、臨床試験よりも現場の感覚に近い結果が得られているのではないでしょうか。 …

・オシメルチニブ使用後、C797S変異が見つかった人の特徴は?

C797S耐性変異は、第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬が開発された早々からよく取り上げられてきた変異です。 本変異をターゲットにした治療開発もずっと進められているはずですが、なかなか実用化されません。 今回の報告は、C797S耐性変異陽性患者は、 …

・FLAURA2の日本人サブグループ解析、2回目中間解析

EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対するオシメルチニブ+ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法の意義を検証した第III相FLAURA2試験。 主要評価項目の無増悪生存期間は既に目標を達成しており、以下のごとく報告されています。 oitahaiganpractice.ha…

・オリゴ転移について

先日、日本内科学会雑誌を読んでいたら、オリゴ転移状態の非小細胞肺がんに対する局所治療のことが書かれていました。 内科医すべてを対象に書かれた文章ですから、肺がん診療に直接携わる呼吸器内科医、呼吸器外科医、腫瘍内科医、放射線治療医のみならず、…

・第II相UNICORN試験・・・uncommonEGFR変異に対するオシメルチニブ

EGFRエクソン19欠失、エクソン20挿入、エクソン21L858R点変異以外の、いわゆるuncommon EGFR変異に対するオシメルチニブは果たして有効なのか。 UNICORN試験は単アーム第II相試験なので結論めいたことは言えませんが、治療選択肢の一つに数えてよさそうです…

・RELAY試験の最終生存期間解析および日本人サブグループ解析

EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対する1次治療はオシメルチニブ一択でいいのか。 そうした視点から、たびたび記事を書いてきました。 oitahaiganpractice.hatenablog.com oitahaiganpractice.hatenablog.com 今回は、エルロチニブ+ラムシルマブ併…

・CodeBreaK 200試験、アジア(日韓)人サブグループ解析

KRAS G12C変異陽性の既治療進行非小細胞肺がんに対するソトラシブ内服療法。 CodeBreaK 200試験において、ドセタキセル単剤療法と比較して無増悪生存期間中央値を1.1ヶ月(5.6ヶ月 vs 4.5ヶ月)、統計学的有意に延長しました。逆に、生存期間中央値は0.7ヶ月…

・PAPILLON試験の日本人サブグループ解析

EGFRエクソン20挿入変異陽性進行非小細胞肺がんに対するamivantamab+化学療法の有効性と安全性を検証した第III相PAPILLON試験について、以前以下の記事で触れました。 oitahaiganpractice.hatenablog.com 今回は、本試験の日本人サブグループ解析結果が日本…

・CheckMate816試験、幻の術前ニボルマブ+イピリムマブ併用療法の評価は?

実家の庭のサクランボの花が咲いていました。 サクラの開花も、もうすぐです。 母が最後のニボルマブ+イピリムマブ併用療法を受けたのが2021年05月でしたから、あと2ヶ月で3年を迎えます。 術前薬物療法について検証したCheckMate816試験、ニボルマブ+化学…

・第III相CheckMate 722試験・・・EGFR-TKI耐性化後のニボルマブ+プラチナ併用化学療法

ドライバー遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がんには、免疫チェックポイント阻害薬は効果が低い、というのが通説で、学会においても論文においてもよく言及されます。 しかし、免疫チェックポイント阻害薬と殺細胞性抗腫瘍薬を併用した場合には、必ずしもそう…

・第III相TROPION-Lung01試験・・・ドライバー遺伝子異常のない既治療進行非小細胞肺がんに対するDato-DXdの効果

datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)は以前少しだけ触れたことがあります。 oitahaiganpractice.hatenablog.com Trophoblast cell surface antigen 2 (TROP2) 、直訳すれば胚盤胞栄養膜細胞表面抗原2、はTacstd2遺伝子によりコードされる膜貫通型の糖タンパ…

・CoVIDいまだ健在なり

今日はがんとは関係ない話題です。 ここ1週間くらい、CoVIDに翻弄されています。 訪問診療先の患者さんが発症したかと思えば、週半ばから病棟クラスターが拡大し、自分の担当する入院患者さんだけでも水曜日に2人、金曜日に1人、土曜日に1人、今日は3人が発…

・第III相CheckMate 77T試験・・・切除可能非小細胞肺がんに対するニボルマブ併用周術期補助療法

oitahaiganpractice.hatenablog.com KEYNOTE-671試験は、II-IIIB期の切除可能非小細胞肺がんにおける周術期ペンブロリズマブ+プラチナ併用化学療法の意義を検証する試験でした。 今回のCheckMate 77T試験は、IB-IIIB期の切除可能非小細胞肺がんにおける周術…

・第III相ALINA試験の中間解析結果・・・切除可能ALK肺がんに対する術後補助アレクチニブ療法

ALK陽性の進行非小細胞肺がんに対し、アレクチニブは極めて有効です。 有害事象も軽微ですし、肺がんのみならず、固形がん全般として俯瞰しても、治療効果と安全性がアレクチニブほど高いレベルで両立するがん薬物療法はそうそうありません。 当然、術後補助…

・第III相RATIONALE-312試験・・・進展型小細胞肺がんに対するTislelizumab+カルボプラチン+エトポシド併用療法

進展型小細胞肺がんに対する治療といえば、カルボプラチン+エトポシド+抗PD-L1抗体(アテゾリズマブ、デュルバルマブ)が標準治療です。 アテゾリズマブを使う根拠はIMpower133試験、デュルバルマブを使う根拠はCASPIAN試験ですね。 大分での肺がん診療:免…

・第I / II相TRIDENT-1試験・・・ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がんに対するrepotrectinib

ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がん。 いまだにお目にかかったことがないのですが、クリゾチニブ、エヌトレクチニブに続く次世代治療薬であるrepotrectinibの有効性について論文化されていました。 ROS1-TKI治療歴なしとありのコホートについて、無増悪生存曲…

・高齢進行がん患者さんご夫妻の老々介護と、周囲からの「温かい励ましに感謝」

常々、医師は現場に立って患者さんに接してナンボの職業だと思っています。 どんなに学会発表や研究会発表を視聴したり、論文を読んだりしてもほとんどの場合、そこには数字や画像しか出てきません。 しかし、実際の診療には患者さんやご家族のいたみ、つら…

・ETER701試験・・・進展型小細胞がんに対するBenmelstobart+Anlotinib+カルボプラチン+エトポシド併用療法の第III相試験

benmelstobartは中国のApollomics/Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Groupが権利を有するマウス由来のIgG1κクラスの抗PD-L1抗体なんだそうです。 また、anlotinibは、VEGFR、FGFR、PDGFR、c-kitを阻害するチロシンキナーゼ阻害薬なんだそうで、こちらも調べ…

・第III相INSPIRE試験・・・中国発のALK阻害薬の実力は?

近年、中国発の臨床試験結果が数多く報告されるようになりました。 その多くは、既に実地臨床で使用されている性質の薬品と同様の作用機序の薬品を中国国内で新たに開発し、とても短い開発期間で第III相試験結果公表までつなげていく、という内容です。 本当…

・第III相APPLE試験・・・ABCPem療法はABCPac療法のようには行かず

本ブログでは、幾度か進行非小細胞肺がん患者さんに対するアテゾリズマブ+ベバシズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル併用療法、いわゆるABCP療法について触れました。 oitahaiganpractice.hatenablog.com oitahaiganpractice.hatenablog.com oitahaigan…