KRAS G12C変異陽性の既治療進行非小細胞肺がんに対するソトラシブ内服療法。
CodeBreaK 200試験において、ドセタキセル単剤療法と比較して無増悪生存期間中央値を1.1ヶ月(5.6ヶ月 vs 4.5ヶ月)、統計学的有意に延長しました。逆に、生存期間中央値は0.7ヶ月短縮しました(10.6ヶ月 vs 11.3ヶ月)。
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今回、アジア人(日本人+韓国人)サブグループ解析結果が示されたわけですが、無増悪生存期間中央値は2.8ヶ月(8.3ヶ月 vs 5.5ヶ月)延長し、全体集団よりも大きな差がついたようです。
しかし、そもそもが全体集団で95%以上、アジア人サブグループでもソトラシブ群は100%、ドセタキセル群でも85%が喫煙者、という患者背景を考えると、ちょっと考えてしまいます。
Sotorasib (soto) vs Docetaxel (doce) for Previously Treated KRAS G12C+ Advanced NSCLC: CodeBreaK 200 Asian Subgroup
JSMO 2024 annual meeting Abst.#PS1-2
背景:
非小細胞肺がんはアジア太平洋地域における主な死因の1つである。KRAS G12C変異は、非小細胞肺がんの治療標的として最近開発が進んでいる。国際共同第III相無作為化比較試験であるCodeBreaK 200試験において、既治療進行KRAS G12C変異陽性非小細胞肺がんに対し、ソトラシブはドセタキセル点滴静注と比較して無増悪生存期間(PFS)や奏効割合(ORR)を改善した初の経口薬となった。今回は、アジア地域からCodeBreaK 200試験に参加した患者について行った後解析について報告する。
方法:
KRAS G12C変異陽性進行非小細胞肺がんで、ECOG-PS 0-1、プラチナ併用化学療法と免疫チェックポイント阻害薬による治療後に病勢進行した患者をソトラシブ群(soto群:960mg/日を連日内服、171人)とドセタキセル群(doc群:75mg/体表面積㎡を3週ごと、174人)に1:1の割合で無作為に割り付けた。脳転移を有していても、治療後で安定した状態であれば参加可能とした。主要評価項目はRECIST ver.1.1準拠で独立委員会が判定したPFSとした。
結果:
日本と韓国から、計37人(soto群18人、doc群19人)が本試験に参加した。追跡期間中央値16.6ヶ月の時点で、PFS中央値はsoto群8.3ヶ月(95%信頼区間2.73-11.07)、doc群5.5ヶ月(95%信頼区間1.54-未到達)だった(ハザード比0.46、95%信頼区間0.18-1.15)。奏効割合はsoto群27.8%(95%信頼区間9.7-53.5、完全奏効1人、部分奏効4人)、doc群15.8%(95%信頼区間3.4-39.6、部分奏効3人)、病勢コントロール割合はsoto群94.4%、doc群57.9%、奏効までの期間中央値はsoto群1.3ヶ月(95%信頼区間1.2-2.8)、doc群2.6ヶ月(95%信頼区間1.5-2.8)だった。プロトコール治療を受けた患者すべてが何らかの治療関連有害事象を経験した。grade3以上の有害事象はsoto群の12人(66.7%)、doc群の11人(68.8%)で認めた。深刻な有害事象はsoto群の11人(61.1%)、doc群の11人(68.8%)で認めた。プロトコール治療中止に至る有害事象はsoto群の1人(5.6%)、doc群の2人(12.5%)で認めた。soto群で頻度が高かった有害事象は食欲不振と下痢(それぞれ8人、44.4%)、AST上昇とALP上昇(それぞれ6人、33.3%)で、doc群で頻度が高かった有害事象は貧血(9人、56.3%)、便秘と脱毛(それぞれ6人、37.5%)、胃炎(5人、31.3%)だった。
結果:
国際共同第III相比較試験であるCodeBreaK 200試験において、アジア人サブグループにおけるソトラシブの有効性と安全性は、全体集団のそれと同様の傾向を示した。