2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ロシアにおけるEGFR遺伝子変異

2017年米国臨床腫瘍学会総会の抄録集を眺めていたら、ロシアにおけるEGFR遺伝子変異の大規模調査に関する報告があった。 ロシアからの報告って、そういえばあまり目にしたことがない。 要点をまとめておく。 ・ロシアでは、非小細胞肺癌のうち扁平上皮癌が60…

NEJ005のupdated data

ASCO 2017でNEJ005のupdated dataが示されていた。 以前取り上げたことがあるので、以下も参照。 http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e794744.html 今回は図表のみ掲示。 第III相のNEJ009試験結果待ち。

ASCOの肺癌ガイドライン更新

IV期非小細胞肺癌に対するASCOの診療ガイドラインが2017年8月14日付けで更新されていた。 前回更新が2015年だったので、2年ぶりの更新となる。 2014年2月から2016年12月までに公表された論文に基づくとのこと。 http://ascopubs.org/doi/full/10.1200/JCO.20…

PACIFIC試験、日本人サブグループ解析

III期は治癒を目指すべき患者集団である以上、今後、長期生存患者がどの程度出てくるかが注目点。 <Stage III肺がんdurvalumab維持療法の日本人解析(PACIFIC)> 2017年日本肺癌学会 PACIFIC試験は、プラチナ・ベースの放射線化学療法後に病勢進行に至って…

OAK試験の日本人サブグループ解析

抗PD-L1抗体、Atezolizumabを二次治療で使用して、ドセタキセルと比較した第III相試験、OAK試験の日本人サブグループ解析結果が2017年日本肺癌学会で公表された模様。 Atezolizumabの効果もさることながら、標準治療のドセタキセル群ですら生存期間中央値が…

・FLAURA試験のまとめ

遅ればせながら、FLAURA試験結果のまとめです。 標準治療と比べて、効果は高く、それでいて有害事象の頻度は低く抑えられています。 試験デザイン上、除外規定が少なく、実臨床に即座に反映できる内容です。 有望な治療であることは間違いありませんし、現時…

AF-001JP試験、まだ無増悪生存期間、全生存期間ともに中央値未到達

アレクチニブの位置づけは、J-ALEX試験、ALEX試験でほぼ固まった。 国粋主義者とのそしりを受けるかもしれないが、日本人が発見したドライバー遺伝子異常に対して、日本の製薬会社が開発した薬を、世界に先んじて日本で第III相臨床試験で効果を明らかにし、…

ARCHER 1050のEGFR変異別サブグループ解析と日本人サブグループ解析

先般行われた世界肺癌会議で、DacomitinibのEGFR変異種別サブグループ解析、日本人サブグループ解析の結果が相次いで発表された様子。 アファチニブと同様に、Exon 19変異の患者の方が、PFSが長い傾向にあるようだ。 また、日本人サブグループ解析では、PFS…

・PoziotinibとEGFRエクソン20挿入変異

小規模臨床試験ながら、EGFRエクソン20挿入変異を有する進行非小細胞肺癌患者を対象に、これだけの成果を上げられたのは見事です。 一旦は忘れ去られた化学物質に、地道な努力で再び光を当てたMDアンダーソンがんセンターのポスドクの先生に拍手喝采です。 …

EGFR阻害薬のトリセツ

先日、仕事を終えて帰る前にメールボックスをチェックすると、マルタ島から郵便物が届いていた。 "Expert perspectives on Management of EGFR-Mutated NSCLC: Overcoming Resistance to Ensure Active Lines of Therapy"なる題名の小冊子。 ちらっと見てみ…

TPS>50%ならペンブロリズマブ一次治療で30ヶ月!

KEYNOTE-024試験のデータが更新された。 まだまだ最終結果というわけではなさそうだ。 分子標的薬でもないのに、生存期間中央値が30ヶ月を超えるというのは、やはり「恐るべき黒船」だ。 化学療法群の60%以上がPD-1抗体治療にクロスオーバーされているにも拘…

肺小細胞癌とDLL発現

2016年のASCOにおいて、Rova-Tが小細胞癌の治療に有望であると報告された。 http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e858706.html これを受けて、小細胞癌や大細胞神経内分泌癌のDLL3発現状態が患者背景や生命予後にどのように関わっているか、臨床病理…

その後のLorlatinib

ALK阻害薬、Lorlatinibのその後のお話。 2017年世界肺癌会議 <ALK陽性進行肺癌およびROS1陽性進行肺癌におけるLorlatinib療法> By The ASCO Post Posted: 10/17/2017 11:53:11 AM Last Updated: 10/17/2017 5:02:02 PM 2017年世界肺癌会議において、Lorlat…

Lurbinectedin and Doxorubicin in Relapsed SCLC

初回治療後に病勢進行した小細胞肺癌に対する新規二次治療の話。 国内大規模臨床試験の結果、いわゆるsensitive relapseの場合にはイリノテカン+シスプラチン+エトポシド併用療法が標準治療として位置づけられている。 http://oitahaiganpractice.jungleko…

BrigatinibのALTA試験、追跡調査結果

それにしても、ALK肺癌の世界は、開発のスピードが速い。 ALK肺癌の存在が報告されてからまだわずか10年だが、我が国で一次治療から使える薬が既に3種(クリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブ)ある上に、Brigatinib、Lorlatinibの知見も蓄積されつつある…

分子標的薬の最大効果を目指して

日本肺癌学会2017より <ワークショップ16> 分子標的治療の最大効果を目指して WS16-1)血中遊離DNAを用いた遺伝子変異検出結果に影響を与える因子の検討 ・cell free DNA(cfDNA)の問題点 陽性検出率(感度)が低い:通常生検検体でEGFR遺伝子変異陽性…

肺癌治療の費用対効果

高額医療の話をしていて真に恐ろしいと思うのは、薬が登場したときこそ高額だと騒がれるのだが、実地臨床に定着してしまうとあまり話題に上らなくなってしまうことだ。 パクリタキセルしかり、ゲフィチニブしかり、ベバシツマブしかり、ペメトレキセドしかり…

・免疫関連有害事象と治療効果

免疫チェックポイント阻害薬は、我が国の実地臨床で使えるようになってからまだ日が浅いです。 今回の解析も、2015年12月から2016年8月にかけてニボルマブの治療が開始された患者が対象で、2016年12月時点でデータカットオフとのことですから、追跡期間が4ヶ…

ARCHER 1050 論文化

EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌を対象に、一次治療においてダコミチニブがイレッサに対して有意に無増悪生存期間を延長した。 今後、オシメルチニブとどうやって住み分けるか。 EGFR遺伝子変異陽性肺癌の一次治療 By Matthew Stenger Posted: 10/5/20…

オシメルチニブ、EGFR変異陽性肺癌の一次治療としてブレークスルー指定へ

FLAURA試験の結果が出た以上、本承認でもいいと思うのだが、全生存期間の解析結果を待って、ということかも知れない。 初回治療からオシメルチニブを使えば迷うことはないのだが、その一方でゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブでも長期奏効している患…

Abemaも退場

細かいデータ開示は来年に持ち越されるようだが、サイクリン依存性キナーゼ阻害薬であるAbemaciclibは、第III相臨床試験でErlotinibに対する優越性を示せなかった。 予後不良とされるKRAS遺伝子変異に対する治療効果が期待されていたが、残念な結末に終わっ…

モテサニブ、退場

マルチキナーゼ活性を有する小分子VEGFR阻害薬、モテサニブは、残念ながら有意な治療効果を示せなかった。 VEGFやVEGFRをターゲットとした薬は、なかなかうまく行かない。 bevacizumabやramcirumabは、このカテゴリーの薬の中では生存期間延長効果がかろうじ…

減少の兆しなし

このところ、すっかり記載が滞ってしまった。 ESMO 2017で報告されたFLAURA studyのことすら、まだまとめきれずにいる。 EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌一次治療において、いわゆる第1世代のEGFR阻害薬に対し、OsimertinibがPFSで優越性を証明したと…