AF-001JP試験、まだ無増悪生存期間、全生存期間ともに中央値未到達

 アレクチニブの位置づけは、J-ALEX試験、ALEX試験でほぼ固まった。

 国粋主義者とのそしりを受けるかもしれないが、日本人が発見したドライバー遺伝子異常に対して、日本の製薬会社が開発した薬を、世界に先んじて日本で第III相臨床試験で効果を明らかにし、米国の追試でその効果が確認された、という一連の出来事は、日本人として快哉を叫ぶべき出来事である。

 臨床の現場では、アレクチニブ投与開始後すでに病勢進行に至った患者さんがいらっしゃるものの、おしなべてALK陽性肺癌に対するALK阻害薬の効果持続期間は長い。

 ALK陽性進行肺癌に対するアレクチニブの第I / II相試験、93.5%というもはや異次元奏効割合を残した臨床試験だが、4年無増悪生存割合が52%、4年生存割合は70%と、無増悪生存期間、全生存期間のいずれも、いまだ中央値に至っていない。

 どこまで行ってしまうのか。

<アレクチニブのALK転座陽性NSCLC対象国内フェーズ2試験の4年PFS率は52%、4年生存割合は70%> 2017年世界肺癌会議

 ALK転座陽性進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対して国内で行われたアレクチニブの第I / II相試験、AF-001JPの第II相部分の最終結果が明らかとなった。

 4年無増悪生存(PFS)率は52%、4年生存割合は70%だった。

 AF-001JP試験の第II相部分は、化学療法歴があるがALK阻害薬未治療のALK転座陽性のIIIB期 / IV期または再発NSCLC患者を対象に、アレクチニブを1日2回300mg投与した。主要評価項目は奏効割合で、副次評価項目は、PFS、全生存期間(OS)、安全性だった。

 試験には2010年9月10日から2012年4月18日まで46人が登録された。2016年12月の試験終了時点で46人中20人で投薬が継続されていた。投薬期間の中央値は46.1ヶ月(1-62)だった。患者の年齢中央値は48歳(26-75)。化学療法歴数が3レジメン以上だったのは32.6%だった。

 PFS中央値は未到達。

 2年PFS割合は76%(95信頼区間:60-87)、3年PFS割合は62%(95%信頼区間:45-75)、4年PFS割合は52%(95%信頼区間:36-66)だった。

 4年非中枢神経系増悪割合は29.1%、4年中枢神経系増悪割合は9.5%だった。ベースラインで脳転移があった患者(14人)のPFS中央値は38.0カ月、なかった患者(32人)のPFS中央値は未到達だった。

 OS中央値は未到達で、4年OS割合は70%(95%信頼区間:54-81)だった。

 グレード4/5の治療関連副作用はなかった。