2013-01-01から1年間の記事一覧

誰がために・・・

今日12月30日。 巷には、27日で年内の仕事を追えて、暦通りに行けば9連休を満喫中、という方もいらっしゃると思います。 私はというと、日中の通常業務を終えて、当直中です。 新たな職場に移り、9ヶ月を終えようとしていますが、12人の肺癌患者さんを担当し…

融合遺伝子って、そんなにたくさんあるんですか・・・。

EML4-ALKの融合遺伝子が報告されてからというもの、血液内科領域さながらにこの手の話がたくさん出てくるようになりました。 RET、ROS1の話が昨年登場して、癌研有明病院の竹内先生をお招きしてお話を伺ったのは以前本ブログで触れたとおりですが、ぽつぽつ…

腫瘍縮小効果を急ぐとき

静岡県立がんセンターの報告から。 Comparison of the time-to-response between radiotherapy and epidermal growth factor receptor--tyrosine kinase inhibitors for advanced non-small cell lung cancer with EGFR mutation. Imai H, Shukuya T, Takaha…

頭痛・生理痛にノーシン、胸腹水にアバスチン

2008年、がんセンターから大分へ帰ってきてからずっとお付き合いしている患者さんが、いま腹水貯留で苦しんでいます。 2007年末に局所進行原発性肺腺癌と診断されましたが、放射線治療不能でシスプラチン+ジェムザール併用療法を施行され、有害事象(副作用…

最近の肺癌患者管理

最近の出来事について。 ・2007年11月診断の肺腺癌、EGFR遺伝子変異陽性患者。 最近毒性のためにErlotinibを中止したところ胸腹水貯留が出現。 腹水穿刺で腺癌検出。 主治医との面談でBest supportive careとなり、自宅から近い当院へ転院。 相談の末、Erlot…

アファチニブ=ジオトリフ

去る11月18日、「第3のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬」アファチニブ(商品名ジオトリフ)の承認申請が、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会において了承されました。効能・効果は「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺癌」です。 …

第54回日本肺癌学会総会

11月21日から22日にかけて、東京のホテルニューオータニで第54回日本肺癌学会総会が開催されました。 今回の学会長は、国立がん研究センター東病院呼吸器外科の永井完治先生で、私が東病院に在籍していたころ非常にお世話になった先生です。 キツキツのスケ…

担当患者さんたちの近況

肺がん診療以外の仕事が多くて、なかなかブログの更新が進みません。 本当は最近の話題に触れたいのですが、今回は担当患者さんの近況について覚書を。 1)放射線化学療法後再燃した局所進行扁平上皮癌の方、PS1 途中、帯状疱疹に見舞われて治療延期を余儀…

PS2の患者さんのためのカルボプラチン+ペメトレキセド併用療法

脳転移に対する全脳照射後に転院してきた患者さんの診断がようやくつきました。 9月10日に気管支鏡をして、遺伝子変異検査結果まで判明したのが27日。 診断作業については、大学病院より時間がかかってしまいました。 結論は、原発性肺腺癌、IV期、EGFR遺伝…

イソバイドからメニレットへ

肺癌に関わる内科診療には、いろいろと患者さんに不評なものがあります。 中でもしばしば悩むのは、脳転移による脳浮腫対策です。 肺癌の組織が脳に転移すると、ときに脳がひどくむくみ、それによって頭痛・嘔吐・麻痺といった症状が出ます。 点滴あるいは内…

ついに扁平上皮癌にも有効な抗体医薬が登場・・・Necitumumab

約1ヶ月前のことですが、進行期の扁平上皮癌に対して行われた第III相試験 "SQUIRE Study"において、抗EGFR抗体医薬品Necitumumabの生存期間延長効果が確認されたと、イーライリリー社からプレスリリースがありました。 いわゆる分子標的薬、抗体医薬が扁平上…

黒木記念病院のCTデータでBF-Navi再構成をしてみました。

先日、当院1例目の気管支鏡をしました、という報告をしました。 しかし、事前に予想していた気管支からのアプローチでは病巣に到達できず、思ったより長い時間がかかりました。 反省をこめて、当院のCTデータを用いてBF-Naviの画像を再構成し、復習してみま…

経気管支肺生検1例目

当院に異動して6ヶ月目を迎えますが、今日ようやく1例目の経気管支肺生検にこぎつけました。 左肺尖部腫瘤、転移性脳腫瘍、全脳照射後の状態で紹介された方です。 治療後の脳浮腫で一過性に失語、右上肢片麻痺に陥っておられましたが、ステロイドの増量で…

抗がん薬混注用のクリーンベンチを整備しました。

私ががんセンターにいた2006年-2008年当時は、抗がん薬の調整は医師が行っていました。 毎朝病棟を回診して、その日に治療を受ける患者さんの抗がん薬を調整するのが日課でした。 最近では、薬剤部で薬剤師が調整するのが一般的になっています。 当初は薬剤…

肺がん疑い、脳転移疑い、全脳照射後

今日は、肺がん疑い、脳転移疑い、全脳照射後の患者さんが転院してきました。 片麻痺で神経内科を受診し緊急入院、胸部異常陰影と脳腫瘤を指摘され、呼吸器内科へ紹介。 精査を勧めるものの、本人は検査・薬物療法ともに拒否。 かといって脳の病変をそのまま…

EGFR遺伝子変異陽性の肺扁平上皮癌

ここ数年、わが国の肺癌診療ガイドラインは毎年更新されています。 NCCNガイドライン様に樹形図方式になり、臨床判断には便利です。 ただし、ガイドライン作成委員の先生方の考え方もあってか、やや"not evidence based"な部分が増えつつあるように感じるこ…

大分県内のALK阻害薬動向

お昼過ぎ、ファイザー社のMRさんがお越しになって、大分県内におけるクリゾチニブの使用状況ほかについて意見交換をしました。 大分・別府の主要施設を中心に、ALK陽性肺がんは少しずつ発見されてきているようです。 大分県立病院(呼吸器外科)、大分赤十字…

初盆会

4月に亡くなった叔母の初盆会で、昨日から実家で過ごしています。 昨日は病院で通常業務後に仏間で正座。 今日は朝から正座。 足が痺れまくっています。 しかし、いつもお世話になっている方から数十年ぶりにお目にかかる方まで、様々なお客様が叔母のために…

アブラキサン

先々週から、エタノール局注で気管内腫瘤を削った患者さんに、カルボプラチン+アブラキサン併用化学療法を行っています。 昨今、抗がん薬調整が医師の手を離れ、薬剤師の業務になりつつあります。 今のところ、当院では医師自ら抗がん薬調整を行っています…

最近のPICCカテーテル

通常の点滴で対応が出来ないときに僕らが利用するものとして、中心静脈路カテーテルというものがあります。 手先、足先の血管では、その細さゆえ、一定量以上のカロリーを使うことが出来ません。 刺激が強すぎて、静脈炎を起こしたり、血管が閉塞したりする…

エタノール局注2回目

本日、2回目のエタノール局注を行いました。 なんのことかさっぱりわかんない、という方は、以前の記事を読んでください。 だいぶん右主気管支をこじ開けることが出来ました。 あと1回くらいやったらしばらくは閉塞の危険はないでしょうから、その後は化学…

Best of ASCO 2013

Best of ASCO 2013に参加するため、関東に来ています。 1日目を消化し、今日の日程が終われば地元に帰る予定です。 ASCOの年次総会で発表された演題のうち、注目すべきものをピックアップして各分野の識者が解説を加えて講演します。 初日は血液腫瘍、脳腫…

大分大学呼吸器・感染症内科学講座研究室でのひとコマ

昨日は木曜日でしたので、いつもの通り大分大学病院に行って、若手の気管支鏡指導と肺癌患者さんの動向確認を行ってきました。 どちらも順調に終わりましたが、 「串間先生が肺病理の講義をしてくださるそうなので、研究室に集まってください」 との4年目の…

気管内腫瘍エタノール局注

本日、腫瘍性気道狭窄患者さんの気管支鏡検査を行いました。 腫瘤により気管および左右の主気管支が狭窄していて、ことに右の主気管支は近い将来閉塞してしまいそうなほど高度に狭窄していました。 残念ながら大分大学病院ではステント挿入などの適応はない…

アブラキサン

明日はいよいよ、職場を移ってから初めての化学療法目的の入院患者さんがやってきます。 60歳未満の男性で、局所進行肺扁平上皮癌に対して放射線化学療法施行済みの方です。 ほぼ緩解の状態となっていましたが、治療終了から7ヶ月強で再燃してしまいました。…

いきいき健康塾でのたばこのお話

論文作成やら患者管理やらで忙殺されて、更新が滞ってしまいました。 久し振りに書くとなると、何から書いたらいいやら困ってしまいますね。 6月5日に、当院最上階の大会議室で、近隣にお住まいの方(主として別府市内)から希望者を募って、いきいき健康塾…

竹の内公民館にて

5月25日土曜日に、別府市内の竹の内地区公民館にお邪魔して、地域住民の方々を対象に小さな講演会をしてきました。 添付の写真にあるとおり、スライドスクリーン、プロジェクター、パソコンを公民館に持ち込んでの、完全に手弁当の講演会です。 これまで、研…

サイバーナイフで定位照射

昨夜、別府市内の鶴見病院の放射線部長とお話しする機会がありました。 私が大分に帰って来た頃からときどきお世話になっている先生で、初めてゆっくりお話が出来ました。 話題は初期の肺癌に対する定位照射についてでした。 大分県内には数ヶ所、定位照射が…

100歳!

私が医師になりたての頃は、まだ明治生まれの患者さんを拝見する機会もありました。 最近ではとんと拝見しなくなりました。 それもそのはず、明治生まれとなるとみなさん100歳以上です。 今朝診療依頼を受けた患者は、丁度100歳の方でした。 連休の合間に腰…

気管支鏡診断の戦略

最近、身内に不幸があって、更新が滞ってしまいました。 昨日、2週間ぶりに大分大学病院へ行って気管支鏡の指導をしてきました。 肺癌の気管支鏡診断には、一度の検査で最大限の情報を得るために戦略が必要で、気管支鏡をする前から勝負が始まっているのです…