アブラキサン

 明日はいよいよ、職場を移ってから初めての化学療法目的の入院患者さんがやってきます。

 60歳未満の男性で、局所進行肺扁平上皮癌に対して放射線化学療法施行済みの方です。

 ほぼ緩解の状態となっていましたが、治療終了から7ヶ月強で再燃してしまいました。

 再燃の形式が厄介で、気管分岐部から両側主気管支にかけて、主として気道粘膜に病巣があります。

 初回治療を行った大分大学病院で検討してもらいましたが、現時点でステントを挿入すると、右肺上葉を犠牲にしてしまうので、かえって症状が悪化するだろうとの結論となり、化学療法を先行させる方針となりました。

 放射線化学療法後の局所再燃というわけで、治癒は難しいわけですが、患者さんは咳と労作時呼吸困難でつらい思いをしています まずは、生存期間の延長もさることながら、高い腫瘍縮小効果が期待できる治療を選びたいところです。

アブラキサン奏効率130701

 化学療法としては、カルボプラチン+アブラキサン併用化学療法を予定しています。

 アブラキサンはアルブミン抱合パクリタキセルで、パクリタキセル単体で問題となっていたアレルギー反応や点滴ルートとの相性、末梢神経障害といった点が改善されています。

 しかも、上図に示すように、扁平上皮癌に関しては良好な腫瘍縮小効果が期待されます。

 ベバシツマブ併用療法が使えない扁平上皮癌患者さんにとっては、福音となり得る治療です。

エタノール局注療法治療前と治療後130701

 また、上図は先日の日本呼吸器内視鏡学会で発表があった、腫瘍への気管支鏡下エタノール局注療法の効果を示す写真です。

 穿刺針と無水エタノールのほかに特別な器材は必要ありません。

 

 まずは、患者さんの同意が得られればエタノール局注を施して、ひと段落したら化学療法に入ろうと思っています。