アテゾリズマブ+化学療法 IMpower 131 study

 まだ我が国でアテゾリズマブによる二次治療が承認されて間もないが、肺扁平上皮癌に対する初回治療として、アテゾリズマブと化学療法の併用が有効である、との報告が出てきた。

 今のところ無増悪生存期間の改善が認められるが、全生存期間については判断できない、ということらしい。

 こうなると、扁平上皮癌初回治療ならアテゾリズマブ併用療法、非扁平上皮癌ならペンブロリズマブ併用療法ということになるだろうか。

 カルボプラチン+パクリタキセル+アテゾリズマブ併用群のデータはまだ出てきていないが、末梢神経障害のことを考えると、別に出てこなくても私はかまわない。

 どうせ使わないから。

2018 ASCO: IMpower 131 Studies Addition of Atezolizumab to Chemotherapy in Advanced Squamous NSCLC

By The ASCO Post

Posted: 6/2/2018 12:54:55 PM

Last Updated: 6/2/2018 1:57:21 PM

 IM power131試験には、1,021人のIV期肺扁平上皮がん患者が参加した。肺癌組織におけるPD-L1発現状態は、調べられはしたが、発現状態によらず本試験への参加は可能だった。EGFR遺伝子変異やALK融合遺伝子を有する患者では、本試験に参加する前に、対応する分子標的薬の治療を既に受けていたことが前提とされた。

 本試験参加者は、無作為に3治療群のうちの1つに割り付けられた。今回の報告では、このうち2治療群間の比較についてのみ取り扱われた。アテゾリズマブ+化学療法(カルボプラチン+ナブパクリタキセル)併用療法群343人と化学療法群(カルボプラチン+ナブパクリタキセル)340人の比較だった。もうひとつの治療群である、アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル併用療法群のデータについては今回は公表されなかった。

 本試験では、PD-L1発現状態に関わらず、アテゾリズマブ併用療法群において非併用療法群よりも29%の病勢増悪/死亡リスクの低減が認められた。12ヶ月無増悪生存割合はアテゾリズマブ併用群で24.7%、非併用群で12%であり、約2倍の差がついた。

 サブグループ解析では、PD-L1陰性群や肝転移合併群を含め、全てのサブグループでアテゾリズマブ併用群が優れる結果だった。

 重篤な有害事象の発生率はアテゾリズマブ併用群でより高かった(68% vs 57%)が、治療可能な範囲に留まっていた。アテゾリズマブ併用群で頻度の高い有害事象は、発疹、大腸炎甲状腺機能低下だった。

 今回の中間解析の段階では、生存期間中央値はアテゾリズマブ併用群で14ヶ月、非併用群で13.9ヶ月だった。