進行肺扁平上皮がんに対するペンブロリズマブ+(ナブ)パクリタキセル+カルボプラチンの有効性を検証したKEYNOTE-407試験。
5年間追跡調査後の結果が出てきました。
3点ポイントを上げるならば、
1.生存期間中央値17.2ヶ月
2.5年生存割合18.4%
3.2年間の治療を完遂したら5年生存割合は約70%
というところでしょうか。
進行肺扁平上皮がんの5年生存割合が18.4%、2年間頑張ってペンブロリズマブを使い続けられたらまさかの70%・・・。
とんでもない時代になったものです。
974MO - 5-year update from KEYNOTE-407: Pembrolizumab plus chemotherapy in squamous non-small cell lung cancer (NSCLC)
Silvia Novello et al.
ESMO2022, abst.#974MO
Annals of Oncology (2022) 33 (suppl_7): S448-S554. 10.1016/annonc/annonc1064
背景:
未治療進行肺扁平上皮がんの患者を対象とした第III相KEYNOTE-407試験で、ペンブロリズマブ+プラチナ併用化学療法は、偽薬+プラチナ併用化学療法と比較して有意に全生存期間と無増悪生存期間を延長した。今回は、5年間追跡調査後の治療成績と、ペンブロリズマブ35コースを完遂した患者における治療成績について報告する。
方法:
本試験参加条件を満たした患者は、Pembro群とPbo群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。Pembro群ではペンブロリズマブ200mg、カルボプラチン、パクリタキセルもしくはナブパクリタキセルの併用療法を3週間ごとに、Pbo群ではカルボプラチン、パクリタキセルもしくはナブパクリタキセルの併用療法を3週間ごとに4コース施行した。その後、Pembro群ではペンブロリズマブを、Pbo群では偽薬を、最長35コースまで投与した。Pbo群の患者は、独立委員会により病勢進行が確認されたのちは、盲検化を解除しオープンラベルでクロスオーバーし、ペンブロリズマブ単剤療法を最長35コースまで施行することが許されていた。主要評価項目は全生存期間と無増悪生存期間とし、評価はRECIST ver1.1に基づいて独立委員会が行った。
結果:
Pembro群に278人、Pbo群に281人が無作為割り付けされた。2022年02月23日のデータカットオフ時点までの追跡期間中央値は56.9ヶ月(49.9-66.2)だった。Pbo群のうち117人はペンブロリズマブ単剤療法にクロスオーバーしていた。また、26人はペンブロリズマブ以外の抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体で治療を受けていた。以上から、有効クロスオーバー割合は51.1%だった。生存期間中央値は、Pembro群で17.2ヶ月、Pbo群で11.6ヶ月、ハザード比0.71(95%信頼区間0.59-0.85)だった。5年生存割合はPembro群18.4%、Pbo群9.7%だった。Grade 3-5の有害事象はPembro群の74.8%、Pbo群70.0%で認められた。Pembro群のうち、ペンブロリズマブ投与35コースを完遂した55人では、奏効割合は90.9%、治療完遂後の3年生存割合(≒5年生存割合)は69.5%だった。
結論:
5年間追跡調査の結果、Pembro群はPbo群に対して引き続き全生存期間、無増悪生存期間の延長効果を示し、毒性の増強は認めなかった。35コースのペンブロリズマブ投与を完遂した患者のほとんどは奏功し、データカットオフ時点で存命だった。今回の長期フォローアップ後のデータは、Pembro群の治療が進行肺扁平上皮がん1次治療の標準治療のひとつであることを支持している。