・KEYNOTE-189試験 5年間追跡調査後

 

 進行非扁平上皮非小細胞肺がんに対するペンブロリズマブ+ペメトレキセド+プラチナ製剤の有効性を検証したKEYNOTE-189試験。

 5年間追跡調査後の結果が出てきました。

 

 3点ポイントを上げるならば、

1.取り組みやすい治療

2.PD-L1発現状態によらず有効性が期待できる

3.PD-L1発現<1%の患者集団では、やや効果が物足りない

といったところでしょう。

 PD-L1発現<1%の患者では、ニボルマブ+イピリムマブの方がよいのかも知れません。

 

 RET陽性肺がんの義父が、最初に取り組んだのがペンブロリズマブ+ペメトレキセド+カルボプラチン併用療法でした。

 明らかな腫瘍縮小は得られませんでしたが、本治療で初期を凌いだからこそ、現在使用中のセルペルカチニブが済んでのところで間に合いました。

 セルペルカチニブを開始して、はや10ヶ月が経過しました。

 いまだに腫瘍マーカーの数値は低下し続けています。

 他の治療レジメンのリレーがあったからこそ今があるのだと実感しています。

 

973MO - KEYNOTE-189 5-year update: First-line pembrolizumab (pembro) + pemetrexed (pem) and platinum vs placebo (pbo) + pem and platinum for metastatic nonsquamous NSCLC

 

Marina Garassino et al.

ESMO2022, abst.#973MO

Annals of Oncology (2022) 33 (suppl_7): S448-S554.10.1016/annonc/annonc1064

 

背景:

 第III相KEYNOTE-189試験では、EGFR / ALK遺伝子異常陰性の未治療進行非扁平上皮非小細胞肺がん患者(PD-L1発現状態は問わない)に対して、ペンブロリズマブ+ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法が、偽薬+ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法と比べて、有意に生存期間を延長した。今回は5年間追跡評価後の最新データについて紹介する。

 

方法:

 対象患者は2:1の割合で、ペンブロリズマブ+ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法群(Pembro群)、偽薬+ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法(Pbo群)に無作為に割り付けられた。Pembro群ではペンブロリズマブ200mg/日を、Pbo群では偽薬を、3週間ごとに最長35コース(2年間)投与された。両群ともに、ペメトレキセド+カルボプラチン、あるいはペメトレキセド+シスプラチンを4コース行い、その後はペメトレキセド維持療法を病勢進行に至るか忍容不能の毒性が出現するまで継続した。Pbo群では、病勢進行後にペンブロリズマブ単剤療法にクロスオーバーすることが許容された。主要評価項目は全生存期間と無増悪生存期間だった。

 

結果:

 616人の患者が無作為に割り付けられ(Pembro群410人、Pbo群206人)、無作為割付からデータカットオフ(2022/03/08)までの期間中央値は64.6ヶ月だった(60.1-72.4)。Pbo群において、偽薬+ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法から抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体を用いた治療にクロスオーバーした患者は57.4%(116/202)だった。生存期間中央値はPembro群22.0ヶ月(95%信頼区間19.5-24.5)、Pbo群10.6ヶ月(95%信頼区間8.7-13.6)、ハザード比0.60(95%信頼区間0.50-0.72)、5年生存割合はPembro群19.4%、Pbo群11.3%だった。無増悪生存期間中央値はPembro群9.0ヶ月(95%信頼区間8.1-10.4)、Pbo群4.9ヶ月(95%信頼区間4.7-5.5)、ハザード比0.50(95%信頼区間0.42-0.60)だった。プロトコール治療を受けた全患者を対象に毒性評価をしたところ、grade3-5の有害事象を経験した患者はPembro群では72.8%(295/405)、Pbo群では67.3%(136/202)だった。Pembro群において、ペンブロリズマブを35コース完遂した57人の患者では、奏効割合は86.0%(完全奏効8人、部分奏効41人)で、プロトコール治療終了後の3年生存割合(≒5年生存割合)は71.9%だった。

 

結論:

 1次治療におけるペンブロリズマブ+ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法は、PD-L1発現状態に関わらず、ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法と比較して全生存期間と無増悪生存期間を延長した。35コースのペンブロリズマブ投与を完遂した患者では持続的な治療効果が得られた。EGFR / ALK遺伝子異常のない進行非扁平上皮非小細胞肺がんに対し、ペンブロリズマブ+ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法が標準治療であることに裏付けを加える結果となった。