2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ICIsと分子標的薬の口演発表まとめ

2017年7月29日 日本臨床腫瘍学会総会3日目(神戸市) 口演発表のまとめ O3-1-2: 日本人の非小細胞肺癌患者に対するニボルマブの間質性肺疾患:死亡リスク因子の検討 ・発表内容をはしょりすぎていて、結局結論がわからなかった ・今回の中間解析時点で、間…

BVと腸穿孔、driver変異とNivolumab

2017年7月29日 日本臨床腫瘍学会総会3日目(神戸市) <ポスター発表> P3-138: 非小細胞肺がんにおけるBevacizumabに関連した腸穿孔の臨床背景の検討 ・解析対象患者総数は314人 ・腸穿孔を合併した患者は7人(2.2%) ・7人中6人は、1コース目もしくは2コ…

ASCO / JSMO joint symposium

2017年7月28日 日本臨床腫瘍学会総会2日目(神戸市) AJ-1の講演内容を見ると、欧米と日本でのドラッグ・ラグはだいぶん是正されてきた様子。 ASCO / JSMO Joint Symposium AJ-1: Expanding the Reach of Targeted Therapy in Lung Cancer <EGFR>(in USA…

Durvalumab,Tremelimumab一次治療はPFSを延長せず

Durvalumab単剤療法、あるいはDurvalumab+Tremelimumab併用療法は、プラチナ併用化学療法に対して無増悪生存期間の有意な延長を示せなかったとのこと。 免疫チェックポイント阻害薬は無増悪生存期間を延長せずに全生存期間を延長することがあるので、まだ有…

KEYNOTE-024の日本人サブグループ解析

2017年7月28日 日本臨床腫瘍学会総会2日目(神戸市) KEYNOTE-024の日本人サブグループ解析。 サブグループ解析なので人数は少ないけれど、確かに有望な結果。 Plenary session 3: PD-L1高発現の見治療非小細胞肺がんに対するPembrolizumabの国際共同ランダ…

EGFR遺伝子変異陽性肺癌に対する治療戦略

2017年7月28日 日本臨床腫瘍学会2日目(神戸市) 昨日に続いて、スペインからお越しになった先生のご講演。 Medical Seminer (=Lanchon Seminer) 25 Grobal Strategies for the Treatment of EGFR Mutation Positive Patient ・1st lineとしてErlotinib, Afa…

周術期化学療法におけるがん薬物療法専門医の役割

2017年7月28日 日本臨床腫瘍学会総会2日目(神戸市) 会員委員会企画 周術期化学療法におけるがん薬物療法専門医の役割 ・・・結局のところ、各病院でルールを決めて取り組むべきことだ。 呼吸器内科医と呼吸器外科医は同じ呼吸器センターで働いていることが…

FLAURA positive!

ギリシャで生まれ、スペインでキャリアを積んでいるきれいな先生の講演を伺っていたら、シンガポールからやってきた先生が、 「昨日のプレスリリースで、FLAURAがpositiveになったって聞いたけど、あんたならこれからどうする?」 と質問された。 暑い中、神…

ICIsのシンポジウム

2017年7月28日 日本臨床腫瘍学会2日目(神戸市) 肺癌と免疫チェックポイント阻害薬に関する国際シンポジウム。 遅刻したため、残念ながら最初の2演題は聞き逃してしまった。 ISY 8-3 Possible biomarker for immune checkpoint inhibitor ・CheckMate 071, …

T-DM1 for HER2 positive NSCLC

2017年7月27日 日本臨床腫瘍学会総会(神戸市) O1-5-6:HER2陽性非小細胞肺癌に対するT-DM1の第2相試験 ・HER2陽性の患者はIHC+++ or IHC++かつFISH+ or Exon 20 mutation+の患者 ・主要評価項目は奏効割合 ・副次評価項目は有害事象、全生存期間、無増悪生…

再生検がらみのポスター発表まとめ

2017年7月27日 日本臨床腫瘍学会総会(神戸市) P1-122:当院におけるRe-biopsyの現状と問題点 腫瘍検体を用いたcobas法での検索と、血漿検体を用いたMBP-QP法での検索の比較 結果の一致率は11/20=55% P1-123:EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対する再生検…

分子標的治療薬の臨床試験デザイン

2017年7月27日 日本臨床腫瘍学会総会総会(神戸市) <教育講演1>分子標的治療の臨床試験デザイン ・biomarker driven trial designは治療効果を見るのが常に第一義であり、毒性評価その他は副次的 ・exprolatory phase II ・confirmatory phase III ・seam…

日本臨床腫瘍学会2017日記その1

2017年7月27日 日本臨床腫瘍学会総会(神戸市) ISY 1-1 : Innate resistance in EGFR mutant non-small cell lung cancer patients by co-activation of receptor tyrosine kinases(RTKs). ・演者は、教授の代わりにやってきたスペインの綺麗なお姉さん ・…

lorlatinib phase I / II study

ALK阻害薬の第I世代をcrizotinib、第II世代をalectinib、ceritinibとすると、第III世代のlorlatinibの開発が進んでいるようだ。 ALK阻害薬は、中枢神経移行の良さが問われることが多いのだが、lorlatinibはその点が優れているよう。 一方で、会話障害や注意…

ALK陽性肺がんにALK阻害薬が効かなくなったらどうするか

ALK陽性肺がんの患者さんからご相談があった。 診断がついてからALK阻害薬を順次使用して、現在は治験中のLorlatinibを使っているとのこと。 ただし、治療効果が鈍りつつある様子。 ALK陽性肺がんは、治療が効かなくなった際の耐性化機序が多彩だ。 そして、…

J-ALEX study updated data

J-ALEX試験のupdate data。 1st reportに比べて10ヶ月だけ観察期間が延びたということだが、無増悪生存期間中央値が具体的な数字になっていた。 もともと脳転移がなかった患者の中枢神経病変抑制能には、大きな差がついているようだ。 要点のみ抜粋して記載…

Best of ASCO 2日目 ランチョンセミナー

今年のBest of ASCOの2日目は、モーニングセミナーもランチョンセミナーも、話題は肺癌だった。 私のように肺癌診療を主たる仕事にしているものにとってはいいものの、一般の腫瘍内科医にとってはどうなのだろう。 Best of ASCOに来ると毎年思うのだが、壇上…

Best of ASCO 2017 モーニングセミナー

今年も例年の如く、Best of ASCOが開催された。 Best of ASCOは有明の東京ビッグサイトで開催されることが多い。 豪雨災害の渦中にある大分県から上京してみると、都内は嘘のような日差しで、なんだか拍子抜けしてしまった。 一部の学会・セミナーの2日目の…

Atezolizumab一次治療

AtezolizumabでもPD-L1発現状態で層別化した初回治療の臨床試験が報告された。 第II相試験ではあるが、次につながる有望な結果のようである。 Atezolizumab as First-Line or Subsequent Treatment in PD-L1-Selected Advanced NSCLC By Matthew Stenger Pos…

私の周りのEGFR陽性肺癌のみなさん

今年のASCOの話題を見ていてなんとなく感じたのが、gefitinibの活躍の場が減っていそう、ということだ。 私が医師になったのが1999年。 gefitinibが実地臨床で使えるようになったのが2002年の夏。 思えば、内科医として肺癌の診療をすることの限界というか、…

悪性胸膜中皮腫とPembrolizumab

話題が手元に届いたのが2017年3月なので、いまさらな気がするけれど、悪性胸膜中皮腫とPembrolizumabの話。 Pembrolizumab in PD-L1?Positive Malignant Pleural Mesothelioma By Matthew Stenger Posted: 3/30/2017 9:15:08 AM Last Updated: 3/30/2017 9:1…

結局beyond PD bevacizumabの位置づけは・・・AvaALL study

最近あまり使われなくなったが、一時期のはやり言葉で、"beyond PD"というのがある。 治療中に病勢進行に至ったら、治療法を変えるのが一般的だ。 一方で、病勢進行後もbavacizumabを使い続けることで患者の生命予後延長に寄与することが、進行大腸癌の領域…

遅れてきた第II世代:Dacomitinib

感受性EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌の一次治療において、 「若くて元気なExon 19のEGFR遺伝子変異陽性患者さんにはafatinib」 という考え方が、ずいぶん浸透してきている気がする。 LUX-Lung 3 and 6の統合解析のインパクトは、やはり大きかった。 …

・J-ALEX試験とALEX試験

J-ALEXとALEX。 ASCO 2016と2017で相次いで発表されたこれら2試験の結果から、ALK融合遺伝子陽性肺がん初回治療としてのアレクチニブの位置づけは定まったといっていいでしょう。 とりあえず、無増悪生存期間についてはアレクチニブ群に軍配があがっているよ…