結局beyond PD bevacizumabの位置づけは・・・AvaALL study

 最近あまり使われなくなったが、一時期のはやり言葉で、"beyond PD"というのがある。  治療中に病勢進行に至ったら、治療法を変えるのが一般的だ。  一方で、病勢進行後もbavacizumabを使い続けることで患者の生命予後延長に寄与することが、進行大腸癌の領域では示されている。  病勢進行後も同じ治療を続けることを、beyond PDという。  いまのところ、肺癌の領域ではbeyond PDの有効性は示されていない。  そして、beyond PDでbevacizumabを使い続けるというコンセプトの今回のAvaALL study。  結果として、beyond PDの有効性は証明されなかった。  beyond PD群、標準治療群の全生存期間をそれぞれ12.8ヶ月、10ヶ月と見積もり、αエラーを0.1、βエラーを0.2、両側検定での有意水準をp<0.1としていたのだが、結果としてはギリギリ有意水準に至らなかった。  予定通り600人まで集積していたらpositiveだったかもしれないが、患者集積が伸びなかったということは多分治療として人気がないということで、実地臨床に持ち込まれてもあまり普及しないだろう。 Efficacy and safety results from AvaALL: An open-label, randomized phase III trial of standard of care (SOC) with or without continuous bevacizumab (Bev) treatment beyond progression (PD) in patients (pts) with advanced non-small cell lung cancer (NSCLC) progressing after first-line Bev and chemotherapy (chemo). Bennouna et al. ASCO 2017, Abst.#9004 背景:beyond PDでのbevacizumab継続の意義は明らかでない。AvaALL studyはオープンラベルの国際共同ランダム化第III相試験である。進行非小細胞肺癌に対し、bevacizumabとプラチナ製剤を含む初回標準治療後の病勢進行(PD1)時に、標準二次治療に加えてbevacizumabを継続投与し、評価した。 方法:bevacizumab、プラチナ併用の初回標準治療4-6コースの後にbevacizumab維持療法を2コース以上施行し、病勢進行に至った(PD1)患者を、標準二次治療(ドセタキセル、ペメトレキセド、エルロチニブ)のみの群とbevacizumabを継続上乗せ投与する群に割り付けた。さらに、二次治療後の病勢進行(PD2)後および三次治療後の病勢進行(PD3)時にも、継続上乗せ群ではそれぞれ三次、四次治療にbevazizumabを併用した。主要評価項目はPD1後の全生存期間とし、副次評価項目は6ヶ月・12ヶ月・18ヶ月生存割合、PD1後のPD2までの無増悪生存期間、PD2後PD3までの無増悪生存期間、奏効割合、病勢コントロール割合、安全性とした。2016年6月24日にデータカットオフを行った。当初は600人を集積する予定だったが、(患者集積不良で)プロトコール改定を行い、500人に減らした。 結果:485人の患者が無作為割付され、そのうち475人が実際にプロトコール治療を受けた。beyond PD群と標準治療群の患者背景に有意差はなかった。beyond PD群の生存期間中央値は11.9ヶ月、標準治療群は10.2ヶ月、ハザード比は0.84(90%信頼区間は0.71-1.00)、p=0.1016で、主要評価項目は達成されなかった。6ヶ月・12ヶ月・18ヶ月時点で、beyond PD群の生存割合は標準治療群より10%高かった。PD2後PD3までの無増悪生存期間(PFS2)はbeyond PD群で4.9ヶ月、標準治療群で3.8ヶ月、ハザード比0.85(90%信頼区間は0.72-1.00)、p=0.0907だった。PD3後の増悪までの無増悪生存期間(PFS3)はbeyond PD群で3.5ヶ月、標準治療群で2.4ヶ月、ハザード比0.65(90%信頼区間は0.51-0.84)、p=0.0047と、beyond PD群で有意に改善していた。Grade 3以上の有害事象はbeyond PD群で78.2%、標準治療群で61.6%に認められた。 結論:bevacizumabをbeyond PDで投与することの意義は示されなかった。