2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧
先だって悪性黒色腫の症例が間質性肺炎を発症したという日記を書いたが、肺がん患者でも間質性肺炎を発症したという話は聞くし(残念ながら詳しい検査は行われずにステロイドが投与されたようだが)、そのほかにもブドウ膜炎、腸炎、胆管炎、甲状腺機能障害…
LUX-Lung 7試験に関連したweb講演会があったので、ちょっと顔を出してきた。 はっきり言って、混乱した。 LUX-Lung 7試験はsEGFRm陽性非小細胞肺がんに対して初回治療を行うに当たり、afatinibとgefitinibのどちらかを投与するランダム化第II相試験であった…
コンセプトが面白い臨床試験は、仮に残念な結果に終わったとしても、何がしかのインパクトを世の中に残していく。 IMPRESS試験も、そうした臨床試験に含まれる。 sEGFRm陽性の進行非小細胞肺がんに対して一次治療でgefitinibを投与し、病勢進行を迎えた後に…
FDAが進行非小細胞肺がんの初回治療として、Pembrolizumabを承認した。 データ公表から承認まで、異例のスピードと言っていい。 ただし、以下の記事の最後に記されているように、対象となる患者は進行非小細胞肺がん患者のうちわずか10%と見積もられている。…
2016年欧州臨床腫瘍学会の話題で、Pembrolizumabの一次治療の話題ばかり取り上げているが、CheckMate-026試験も別の意味で注目されている。 既にNivolumabが二次治療以降で臨床導入されている我が国では、Nivolumabがそのまま一次治療へupfrontに使えるよう…
進行非小細胞肺がんに対する一次治療でpembrolizumabがプラチナ併用化学療法を凌駕したのはとてもインパクトが大きな出来事だが、実際に2016年欧州臨床腫瘍学会後はいろんな人がコメントを発している。 非小細胞肺がんの薬物療法の領域で、実地臨床に大きな…
周到な準備の下に、という印象だが、ESMO2016での発表に合わせて、FDAが既治療非小細胞肺がんに対する治療薬としてatezolizumabを承認した。 抗PD-L1抗体が承認されるのは初めての出来事である。 承認条件はニボルマブやペンブロリズマブを髣髴とさせる。 現…
1、2年前のこと、大分で行われた講演会の席上である先生が、 「もうプラチナ併用化学療法の時代は終わったかもしれない」 と話していた。 EGFR阻害薬に関する講演の席上だったので、確かにドライバー遺伝子変異を有する肺がんの患者さんではそういうことも…
今年の欧州臨床腫瘍学会は注目される発表が多かったようだが、まずは我が国の実地臨床へのインパクトが大きいものとして、あえてS-1を取り上げたい。 S-1は内服の殺細胞性抗腫瘍薬でありながら有効な薬であり、これまでは初回化学療法での治療開発が主だった…
9月の下旬に以下リンクのような体幹部定位照射による成績向上の記事を書いたが、今回取り上げる報告の方が、より直接的で分かりやすい。 後方視的な検討とはいえ、早期肺がんに対する体幹部定位照射の位置づけはほぼ定まったといっていいのではないだろうか…
III期までは根治の可能性がある病態としてcurative intent(治癒を目指す)の治療を、IV期では治癒不能の病態としてpalliative intent(症状緩和・延命を目指す)の治療を提供するのが基本で、両者の間にはとても深い溝がある。 今回の報告では、病期II期も…
病気の発症率や治療成功率には性差や人種差、そして国家間差や地域差がある。 病気そのものの性質にもよるだろうし、国家間、地域間の医療インフラの水準にもよるだろう。 たとえば、原発性肺腺癌におけるEGFR遺伝子変異陽性割合は、日本ではおしなべて30-40…