2017-01-01から1年間の記事一覧
結局、ペンブロリズマブ投与継続中の患者さん、インフルエンザワクチンを接種した。 その翌日から感冒様症状と右下腹部痛が出現した。 ちょっと薄気味悪い。 ペンブロリズマブを使用していなければ、副反応として片付けられるが、「右下腹部痛」というのはな…
現在担当している患者さんのお話を少し。 もともと、うつ状態で神経内科に、高血圧で当科に、膵臓良性腫瘍で消化器内科に定期受診していた女性の患者さん。 ご主人も肺気腫を患っておられるとのことで、数年前から一緒に通ってくるようになった。 ご本人は不…
2017年版肺癌診療ガイドラインが公表された。 https://www.haigan.gr.jp/modules/guideline/index.php?content_id=3 昨年の内容に比べると、やや抑制的にまとめられているような印象を受ける。 まだざっとしか眺めていないが、以下の治療については、記…
ペンブロリズマブを使っている患者さんから、 「インフルエンザワクチン、うっていいですか?」 と聞かれた。 困ってしまった。 免疫を賦活する治療をしている最中に、ワクチンをうったらどうなるのか。 ブースト効果っぽく、効果が高まるのか。 過剰な免疫…
黒柳徹子さんの「窓際のトットちゃん」を読んだ。 感想を書いて送ってくださった方だけでも、読者は5歳のお子さんから、103歳のお年寄りにまで及んだそうだ。 自分のために書いてるブログ、と最近しょっちゅう言っているけれど、こういう本との出会いが…
新しい治療が開発されて、古い標準治療にとってかわる。 裏を返せば、新しい標準治療が確立されれば、古い治療は埋もれていく。 だけど、実際にはそうならないこともある。 誰も表立って言わないけれど、治療選択する上で、臨床試験における治療成績の好悪と…
2016年末は、KEYNOTE-024とCheckMate-026の話題で暮れていった。 今年はIMpower150で暮れていく。 Atezolizumab+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブという、国民医療費をさらに跳ね上げて末梢神経障害に苦しむ患者を大量生産しそうな治療の話題だが…
11月の半ば、上司(厳密に言うと職場がかわったので上司ではないのだけれど、個人的に尊敬の念を込めて今でも勝手に上司と言っている)から本ブログについてご指摘を頂いた。 「先生のブログ、怪しい免疫療法の宣伝に利用されてるけど、知ってる?」 「ど…
完全切除後のEGFR変異陽性非小細胞肺がんに対する術後補助EGFR阻害薬療法の位置づけは、まだ定まらず。 しかし、完全切除後の非小細胞肺がんに対する術後補助ベバシズマブ療法は要らないみたい。 そんな臨床試験結果が、以下の論文に報告されていた。 https:…
EGFR遺伝子変異陽性で、同側肺門もしくは同側縦隔リンパ節転移陽性が確認された完全切除後非小細胞肺がん患者に対し、術後補助化学療法としてのゲフィチニブとシスプラチン+ビノレルビンを比較する第III相試験、ADJUVANT / CTONG1104試験。 ASCOでの発表後…
HIVとニボルマブ。 何の関係があるんじゃ、と言われそう。 最近、Annals of Oncology誌に症例報告が載っていた。 Drastic decrease of the HIV reservoir in a patient treated with nivolumab for lung cancer Guihot et al., Ann of Oncol 2017 51歳の喫煙…
修行先から持ち帰ったおみやげはいろいろある。 その中でも、今でも現役で役立てているのが、肺がん患者管理用のデータベース書式だ。 少しずつ手を加えながら使い続けている。 そろそろ運用開始から10年を迎える。 ときどき、ふと立ち止まるのだ。 局所進行…
あまり我が国の実臨床に影響を与えるデータとは思いませんが、参考までに。 欧州臨床腫瘍学会 in アジア2017 アジア人のALK陽性非小細胞肺がん患者において、アレクチニブはクリゾチニブより有効 By The ASCO Post Posted: 11/20/2017 10:51:43 AM Last Upda…
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会に続いて、大分県病院学会に参加しました。 これらの学会は医療に関わる様々な職種のスタッフが参加するもので、公的医療機関に勤めているときは参加する機会がありませんでした。 それだけに、いざ参加してみると新た…
小児がんのため、10歳で亡くなった患者さんの作品です。 ある生命保険会社主催の展覧会に出品されていたもののようです。 数年前から、肺がん関連の学会・講演会でときおり引き合いに出されるようになりました。 なぜこうした作品が取り上げられるのかという…
学会備忘録です。 確定診断時点のPSが2よりも悪く、がん薬物療法の治療対象になりにくい患者さんを、治療開始前のリハビリでPS 0-1に出来たら、それはとても意義があることだと思います。 ただし、がん診療連携拠点病院のがん専門外来やリハビリ部門に、そう…
非小細胞肺がんの薬物療法にかかる費用が高騰しているのは、次々に出てくる高額な薬のせいだ、とよく言われます。 確かにその通りです。 あちこちで論じられているので、いまさら言うまでもありません。 また、薬の単価だけではなくて、治療期間も長くなる傾…
J-ALEX試験とALEX試験については、以前の記事にまとめた。 http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e902483.html ALEX studyにおいて、治療開始時点で脳転移のあった人、なかった人それぞれの解析が行われ、ESMO2017で発表されていた様子。 あってもなく…
がん細胞がもっている遺伝子異常の総量が、免疫チェックポイント阻害薬の効果予測に有用であるという。 現在実地臨床で用いられているPD-L1発現よりも、より正確に治療効果を反映すると。 小細胞癌に対してニボルマブ+イピリムマブ併用療法を行うCheckMate-…
最近の学会は、国内のものですら、英語によるプレゼンテーション・質疑応答のセッションが増えてきた。 あまりにも内容が分からないので危機感をもち、この5月からNHK第2ラジオの一連の英語番組を聞きかじっている。 始めてみるとわかるのだけれど、番組は…
それほど頻繁には遭遇しないものの、遭遇したらすこぶる難渋する肺癌の合併症に、中枢気道狭窄がある。 気管や左右の主気管支が腫瘍によって狭くなり、呼吸困難を起こす。 主気管支が完全閉塞してしまえば、片側の肺がつぶれる「無気肺」を起こし、呼吸状態…
気持ちの整理がつきません。 90代の男性、肺がん患者さんです。 右肺に腫瘤影があり、本人・家族と相談の末、気管支鏡検査をすることになりました。 診断はついたのですが、気管支鏡検査直後に心肺停止に陥り、救命措置を行いました。 救命はできたのですが…
2017年米国臨床腫瘍学会総会の抄録集を眺めていたら、ロシアにおけるEGFR遺伝子変異の大規模調査に関する報告があった。 ロシアからの報告って、そういえばあまり目にしたことがない。 要点をまとめておく。 ・ロシアでは、非小細胞肺癌のうち扁平上皮癌が60…
ASCO 2017でNEJ005のupdated dataが示されていた。 以前取り上げたことがあるので、以下も参照。 http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e794744.html 今回は図表のみ掲示。 第III相のNEJ009試験結果待ち。
IV期非小細胞肺癌に対するASCOの診療ガイドラインが2017年8月14日付けで更新されていた。 前回更新が2015年だったので、2年ぶりの更新となる。 2014年2月から2016年12月までに公表された論文に基づくとのこと。 http://ascopubs.org/doi/full/10.1200/JCO.20…
III期は治癒を目指すべき患者集団である以上、今後、長期生存患者がどの程度出てくるかが注目点。 <Stage III肺がんdurvalumab維持療法の日本人解析(PACIFIC)> 2017年日本肺癌学会 PACIFIC試験は、プラチナ・ベースの放射線化学療法後に病勢進行に至って…
抗PD-L1抗体、Atezolizumabを二次治療で使用して、ドセタキセルと比較した第III相試験、OAK試験の日本人サブグループ解析結果が2017年日本肺癌学会で公表された模様。 Atezolizumabの効果もさることながら、標準治療のドセタキセル群ですら生存期間中央値が…
遅ればせながら、FLAURA試験結果のまとめです。 標準治療と比べて、効果は高く、それでいて有害事象の頻度は低く抑えられています。 試験デザイン上、除外規定が少なく、実臨床に即座に反映できる内容です。 有望な治療であることは間違いありませんし、現時…
アレクチニブの位置づけは、J-ALEX試験、ALEX試験でほぼ固まった。 国粋主義者とのそしりを受けるかもしれないが、日本人が発見したドライバー遺伝子異常に対して、日本の製薬会社が開発した薬を、世界に先んじて日本で第III相臨床試験で効果を明らかにし、…
先般行われた世界肺癌会議で、DacomitinibのEGFR変異種別サブグループ解析、日本人サブグループ解析の結果が相次いで発表された様子。 アファチニブと同様に、Exon 19変異の患者の方が、PFSが長い傾向にあるようだ。 また、日本人サブグループ解析では、PFS…