日本呼吸ケア・リハビリテーション学会に続いて、大分県病院学会に参加しました。
これらの学会は医療に関わる様々な職種のスタッフが参加するもので、公的医療機関に勤めているときは参加する機会がありませんでした。
それだけに、いざ参加してみると新たな学びや気づきに出会います。
学会シンポジウムを聴講しながら、PS不良の進行肺がん患者さんに対して、早期緩和ケア導入に加えてリハビリを導入することで症状の緩和とPS改善を同時に図り、がん薬物療法導入の可能性を引き出すことができないかと思い描きました。
しかし、座長もパネリストも、進行がんを対象としたリハビリの取り組みが乏しいのか、歯切れの悪い発現が目立ちました。
残念に思っていたのですが、ポスター会場では興味深い発表がありました。
内容を概観すると、対象となった延べリハビリ処方件数の約6割が食道がん患者さんで、約7割ががん薬物療法対象者だったようです。
また、食道がん化学療法施行時のリハビリ処方件数211件のうち、165件は周術期以外ということなので、局所進行もしくは進行食道がんに対する化学療法時のリハビリと考えて差し支えないでしょう。
また、緩和治療・ケア対象の患者さんに対しても、67件のリハビリ処方がされていて、全体の約1/6を占めていました。
進行がんや緩和治療・ケアを必要とするがんの患者さんに対して、リハビリを行ううえで動機づけをするのは簡単なことではないはずです。
演者に質問してみたところ、
「患者さんやご家族の願い・思い・希望を丁寧にヒアリングして、それを達成するためのリハビリを組み立てるように心がけている」 とのことでした。
教科書どおりの回答ですが、実績を伴っているので説得力があります。
がん薬物療法対象者の9割超、緩和治療・ケア対象者の6割がPSを維持・向上できたというのは、すばらしい成果です。
ことに、緩和治療・ケアを必要とする患者さんにあって、PSが低下した患者さんよりも改善した患者さんの方が多いというのは、特筆すべきです。私自身の経験上、簡単なことではありません。
とても有意義な発表でした。
今週末は学会で全て潰れてしまいましたが、出席した甲斐がありました。
是非、もっと大きな舞台でもこの成果を示して欲しいものです。