2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

・免疫チェックポイント阻害薬とHLA

HLA(Human Leukocyte Antigen, ヒト白血球型抗原)は、白血球の血液型と言えるものであり、自己と非自己の識別に関与する重要な免疫機構として働いています。 免疫学の領域では重要なキーワードですが、HLAが話題に上るのは後天性免疫不全症候群(AIDS)や…

・METエクソン14スキップ変異陽性アジア人非小細胞肺がん患者に対するテポチニブの効果

METエクソン14スキップ変異陽性アジア人非小細胞肺がん患者に対するテポチニブの効果についての報告です。 タイトルを考えていて思いましたが、患者さんの背景を説明する修飾語は、年々長くなる一方ですね。 テポチニブが薬事承認されて随分たちますが、まだ…

・EGFR-TKI治療で病勢増悪後のABCP療法の第II相試験

EGFR-TKI治療後に病勢進行に至った患者に対するアテゾリズマブ+ベバシズマブ+カルボプラチン+ペメトレキセド(ABCP)療法の第II相試験です。 効果が同等なら、がん薬物療法はシンプルな方が患者さんにも担当医にも負担が少ない、と考えがちな私にとっては…

・進展型小細胞肺がんにおけるIMpower133レジメンとCASPIANレジメン

ほんのちょっとしたことなのですが、ふと気がついたので書き留めます。 進展型小細胞肺がんに対するIMpower133レジメンとCASPIANレジメンについてのお話です。 IMpower133レジメンは、カルボプラチン+エトポシド+アテゾリズマブ導入療法3週ごと4コース後に…

・抗PD-1抗体のcemipilimab、初回治療で化学療法より生存期間を延長

トルコの先生からの報告です。 新規抗PD-1抗体のcemipilimabが化学療法と比較して、進行非小細胞肺がんの初回治療で有意に生存期間を延長したそうです。 要約を素直に読むと、PD-L1発現状態を考慮しなくても生存期間を延長しているようですが、わざわざPD-L1…

・新型コロナウイルス感染症における重症度と病床使用率

データと実態の乖離が世間の認識をミスリードすることは珍しいことではありませんが、標記の話題は極めて深刻です。 強い危機感を抱いています。 この話題について、朝日新聞デジタルの記事から引用すると、 ・厚生労働省の集計では、新型コロナの重症者は20…

・免疫関連有害事象の起こり方と生存期間延長効果

免疫関連有害事象が発生した方が、免疫チェックポイント阻害薬の生存期間延長効果は強くなる、というお話です。 背景は不明ですが、この報告にある内容は、多かれ少なかれ誰もが実感として感じている内容ではないでしょうか。 免疫関連有害事象のマネジメン…

・RET肺がんとpralsetinib

セルペルカチニブとは異なるもうひとつのRET阻害薬、pralsetinibについて。 有効性はともかく、有害事象に関する注意事項がとても多いようです。 致死的な有害事象が5%で認められたというので、おだやかではありません。 Pralsetinib for NSCLC With RET Gen…

・RET肺がんとSelpercatinib

ROS1肺がん同様、発現頻度は決して高くはないRET肺がん。 新規治療が開発されたとしても、肺がん診療全体に及ぼすインパクトは大きくありません。 そのため、話題に取り上げるのを避けてきましたが、今日は取り上げます。 SelpercatnibはRET融合遺伝子もしく…