ほんのちょっとしたことなのですが、ふと気がついたので書き留めます。
進展型小細胞肺がんに対するIMpower133レジメンとCASPIANレジメンについてのお話です。
IMpower133レジメンは、カルボプラチン+エトポシド+アテゾリズマブ導入療法3週ごと4コース後に、アテゾリズマブ維持療法を3週ごとに行う治療です。
CASPIANレジメンは、カルボプラチン+エトポシド+デュルバルマブ導入療法3週ごと4コース後に、デュルバルマブ維持療法を4週ごとに行う治療です。
かたや3週ごと、かたや4週ごとと、微妙に維持療法の治療間隔が異なっていますね。
それでは、投与間隔や投与回数の点で、デュルバルマブの方が患者負担が少ないので優れるかというと、そう単純な話ではないようです。
薬品コストが大きく異なります。
1コース当たりにかかる薬価を計算してみます。
導入療法終了後、1年間無増悪で維持療法を続けたとすると、アテゾリズマブ投与は計21コース、デュルバルマブは17コースです。
アテゾリズマブ導入療法から1年間無増悪でアテゾリズマブを継続した際のアテゾリズマブの薬価は計21コース分で13,380,192円です。
デュルバルマブ導入療法から1年間無増悪でデュルバルマブを継続した際のデュルバルマブの薬価は計17コース分で23,829,495円です。
1年間では、なんと約10,500,000円もの差です。
デュルバルマブの1コース当たり薬価は1,401,735円、アテゾリズマブの1コース当たり薬価は637,152円と、デュルバルマブの薬価はアテゾリズマブの2.2倍であることが、コスト格差に大きく関わっています。
効果が同等であるなら、患者さんの自己負担分を除いた残価を支える納税者のひとりとして、受け入れがたいコストの差です。
本音を言えば、そもそも患者さんが喫煙経験者なら、どちらも使ってほしくありません。
喫煙経験者が発症した肺がんは、多分に自己責任だと思います。