・第II相TROPION-Lung05試験・・・ドライバー遺伝子変異陽性既治療進行非小細胞肺がんに対するDato-DXd

分子標的薬、プラチナ併用化学療法施行後に病勢進行したドライバー遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者を対象に、Dato-DXdの有効性と安全性を検討したTROPION-05試験についての報告です。 治験参加期間中央値15.2ヶ月、という数字が出てきました。 全体と…

・METエクソン14スキップ変異陽性非小細胞肺がんに対するテポチニブ療法の市販後調査

2年前の日本臨床腫瘍学会総会にあわせて、以下のような記事を書きました。 oitahaiganpractice.hatenablog.com 今回は市販後臨床調査結果の報告ですので、より実地臨床を反映した、臨床試験よりも現場の感覚に近い結果が得られているのではないでしょうか。 …

・第II相UNICORN試験・・・uncommonEGFR変異に対するオシメルチニブ

EGFRエクソン19欠失、エクソン20挿入、エクソン21L858R点変異以外の、いわゆるuncommon EGFR変異に対するオシメルチニブは果たして有効なのか。 UNICORN試験は単アーム第II相試験なので結論めいたことは言えませんが、治療選択肢の一つに数えてよさそうです…

・PAPILLON試験の日本人サブグループ解析

EGFRエクソン20挿入変異陽性進行非小細胞肺がんに対するamivantamab+化学療法の有効性と安全性を検証した第III相PAPILLON試験について、以前以下の記事で触れました。 oitahaiganpractice.hatenablog.com 今回は、本試験の日本人サブグループ解析結果が日本…

・第III相PAPILLON試験・・・EGFRエクソン20挿入変異陽性非小細胞肺がんに対するamivantamab+カルボプラチン+ペメトレキセド

EGFRとMETに対する二重特異性モノクローナル抗体であるamivantamab、カルボプラチン+ペメトレキセドと併用することでEGFRエクソン20挿入変異陽性進行非小細胞肺がんの初回治療としての有効性が第III相PAPILLON試験で証明されました。amivantamabを上乗せす…

・EGFR遺伝子変異陽性局所進行非小細胞肺がんに対する化学放射線療法後の取り扱い

2022年08月の適応拡大により、EGFR遺伝子変異陽性切除可能非小細胞肺がんに対し、病理病期II期以降なら術後補助療法としてオシメルチニブが使用可能になりました。 タグリッソ錠40mg/タグリッソ錠80mg (pmda.go.jp) 臨床試験による裏付けはないものの、同じ…

・第III相FLAURA2試験・・・EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対する、オシメルチニブ+ペメトレキセド+プラチナ併用療法

オシメルチニブ単剤療法は、EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者さんの初回治療として本当にベストなのか。 以前、そうした切り口で記事を書きました。 oitahaiganpractice.hatenablog.com 無増悪生存期間中央値、全生存期間中央値はオシメルチニブ単…

・トラスツズマブデルクステカン(T-DXd)、HER2変異陽性非小細胞肺がん適用承認

2023年08月23日付で、トラスツズマブデルクステカン(T-DXd)が「がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対して使用可能となりました。 肺がん領域ではじめて適用される抗体薬物複合体、ということに…

・第II相WU-KONG6試験・・・EGFRエクソン20挿入変異での奏効割合60.8%

EGFRエクソン20挿入変異に対するsunvozertinibの治療開発について、新たな報告です。 2022年の米国臨床腫瘍学会では、第I相試験段階での報告が行われていました。 そのころに作成した以下の過去記事で、sunvozertinibがどういった種類のお薬なのか詳しく触れ…

・AI・・・Autopsy Imaging, 死亡時画像診断

AIといわれて誰もが思い浮かべるのは、Artificial Intelligence、いわゆる「人工知能」ですよね。 日常会話の中で、新聞報道で、ニュースで、ソーシャルメディア上で、AIという言葉を耳にしない日はありません。 しかし、今日の話題は「人工知能」ではなく「…

・気管支カメラが先か、胃カメラが先か

気管支カメラと胃カメラの両方を試みなければならないことがときにあります。 患者さんが口から血をはきだしているとき、それがどこから来ているのか知りたいときです。 口の中か。 鼻からか。 喉からか。 気管・気管支からか。 あるいは食道や胃、十二指腸…

・シングルプレックス(単項目)遺伝子変異検査のおわりのはじまり・・・?

(出典:Invitae Japan株式会社 2023年02月28日付通知より) 原発性肺腺がんの4%、原発性肺扁平上皮がんの1%程度に見つかるとされるMETエクソン14スキップ変異。 2023/03/01現在、METエクソン14スキップ変異に対する分子標的薬として、本邦ではテポチニブと…

・NTRK融合遺伝子陽性肺がんに対するラロトレクチニブ

臓器横断的臨床試験の結果、既に実地臨床で使用できるラロトレクチニブ。 oitahaiganpractice.hatenablog.com 肺がん患者さんだけでの治療成績はどうか、というのが今回の報告の趣旨です。 印象深かったのは、以下の3点でしょうか。 1.対象となったのはNTR…

・甲状腺腫瘍で野口病院を受診

左肺上葉結節影同様、甲状腺左葉にも何かがあることは2016年から分かっていました。 とはいえ、甲状腺腫瘍ならよほど増大速度が速くない限りはしばらく経過観察でいいんじゃないかなあと高をくくっていました。 今年は消化器内科の先生の検査オーダーで撮影…

・仲間の意見を聞く

肺がんの診療を進めるにあたり、常に意識することがあります。 ・その患者さんにとって、肺がんと診断することはどんな意味があるのか ・その患者さんにとって、肺がんの治療をすることはどんな意味があるのか ・その患者さんは、肺がんと診断されることの意…

・DWIBS-MRI、やってみた

以下の記事で取り上げたDWIBS-MRI、入院中の肺がん患者さんの同意を得て行ってみました。 oitahaiganpractice.hatenablog.com 2人とも骨折後のリハビリ目的で入院して来られ、EGFR遺伝子変異陽性の原発性肺腺がん患者さんという点が一致していました。 結論…

・DWIBS法による全身MRI検査・・・FDG-PET検査に代わる存在となり得るか?

FDG-PET検査が普及して、肺がん患者さんの遠隔転移検索は随分とシンプルになりました。 FDG-PET検査以前は、胸腹部造影CT、頭部造影MRIもしくはCT、骨シンチグラフィーが必須検査で、検査枠の確保に苦労したものです。また、これだけ検査をしても胃腸の病変…

・レントゲン撮影とCT撮影

数ヶ月にも及ぶ卒業試験を乗り越え。 国家試験をクリアして医師免許を取得し。 右も左もわからぬままに初期研修を終え。 そして、自分の臓器別専門分野として呼吸器内科を選んだのは。 こんなことを申し上げると怒られるかもしれませんが、一貫して消去法で…

・みんな、初診時の胸部レントゲン写真くらい、ちゃんと撮ろうよ

ここ数年というもの、ずっと感じていることがあります。 CTを撮影しても、胸部レントゲン写真を撮影しない医師が多くなりました。 別に、風邪をひいて受診した患者さん全員に胸部レントゲン写真を撮ろうと言っているわけではありません。 しかし、肺がんの疑…

・過去のレントゲンやCT写真

呼吸器内科医として診療していると 「患者さんの写真を撮ったら影があったので、見てもらえませんか」 と相談を受けることが多々あります。 異常を指摘された際の写真だけだと、いろいろな病気の可能性を考えます。 私はいつも 「無症状で肺にコインのような…

・オンコマインDxTTマルチCDx、コンパニオン診断にブリガチニブ追加承認

非小細胞肺がんのドライバー遺伝子変異を検出するマルチプレックス検査であるオンコマインDxTTマルチCDx、本検査でALK融合遺伝子陽性と判定されても、コンパニオン診断としてはクリゾチニブ、アレクチニブの使用根拠としてしか認められていませんでした。 20…

・METエクソン14スキップ変異、キホンのキ

このところ、METエクソン14スキップ変異に関する記事を書くことが多くなりました。 2020年からテポチニブとカプマチニブが保険診療で使えるようになり、今後臨床の現場で診断される機会も多くなるでしょう。 METエクソン14スキップ変異に関する総説から、ポ…

・METエクソン14スキップ変異に対するテポチニブ、日本人への効果は?

METエクソン14スキップ変異陽性の進行非小細胞肺がん患者さんに対するテポチニブの有効性・安全性を評価したVISION試験。 日本人患者さんに関するサブグループ解析の結果が公表されていました。 全体集団と比較して、 ・65-75歳の患者さんの層が厚く、やや…

・ALK阻害薬とその耐性変化の相互関係

2021年日本肺癌学会総会でALK肺がんのセッションを聴講しました。 ALK肺がんの発見、治療開発の推移、耐性化の問題について広く論じられ、耐性化克服に向けた基礎研究について取り上げられていました。 がん研有明病院の先生から、ALK阻害薬耐性変異に対して…

・完全切除後病理病期IB期のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの術後補助治療としてオシメルチニブを使うか?

随分と長いタイトルになってしまいました。 2021年日本肺癌学会総会でこの件が取り上げられていましたので、復習しました。 そもそも、我が国における完全切除後病理病期I期というのは、2年間UFTを内服することにより5年無病生存割合80%、5年生存割合90%が期…

・METエクソン14スキップ変異治療後の耐性化、その傾向と対策

AmoyDx肺癌マルチパネルIVDが今後普及すると、診断率が高まると見込まれるMETエクソン14スキップ変異を有する非小細胞肺がん。 非小細胞肺がん全体の3%を占めるとされ、その頻度はEGFR、KRASの次くらい、ALKと同等くらいのイメージを持っておくといいのでは…

・METエクソン14スキップ変異に対するカプマチニブの効果

我が国のMETエクソン14スキップ変異陽性非小細胞肺がん患者さんに対する治療薬として保険承認されているカプマチニブ。 過去に学会報告として取り扱ったことがありますが、改めて論文を取り上げておきます。 METエクソン14スキップ変異陽性であっても、他の…

・マルチプレックス変異検索・・・オンコマインDxとAmoyDx、どちらを選ぶ?

初回診断時から複数の肺癌ドライバー遺伝子変異を同時に調べることができるマルチプレックス変異検索検査として、オンコマインDxターゲットテストマルチCDxに加え、AmoyDx肺癌マルチパネルIVDが利用可能になりました。 オンコマインDx Target TestマルチCDx …

・次の肺がん病期分類

2021年の日本肺癌学会総会で、次の肺がん病期分類に向けた取り組みについての講演があり、少しだけ拝聴しました。 おおむね次のようなことが語られていました。 今後は、単に解剖学的な分類に留まらず、薬物療法の効果予測に役立つようなバイオマーカーに関…

・台湾女性における肺がんCT検診と過剰診断

我が国の成人女性の喫煙率は、2018年のデータで8.7%とされています。 1966年には18%だったので、約50年で半減しています。 おとなりの台湾では、成人女性の喫煙率は5%未満とさらに低いんだそうです。 約20年前の報告では、肺がん男性の85%、肺がん女性の…