・次の肺がん病期分類

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 2021年の日本肺癌学会総会で、次の肺がん病期分類に向けた取り組みについての講演があり、少しだけ拝聴しました。

 おおむね次のようなことが語られていました。

 今後は、単に解剖学的な分類に留まらず、薬物療法の効果予測に役立つようなバイオマーカーに関する表記をより強く意識していく、ということですね。

 

 

・そもそも「病期分類」とはなんなのか?

→「病期」は、「病気(ここでは肺がん)の解剖学的な進展範囲を指す」

 

・なぜ「病期分類」をするのか?

→病気の解剖学的な進展範囲は、

 1)生命予後

 2)治療計画

に大きく関わるからである。

 

・「病期分類」は、がん患者さんを診療するにあたり、欠くことができないステップである

 

・現在の「病期分類」はあくまでも「病気の解剖学的な進展範囲」の表現に基づいていて、「TNM分類」として表記される

 T:がん原発巣の大きさ、部位、隣接臓器との関係性で規定される

 N:所属リンパ節への進展範囲で規定される 

 M:主に他臓器への転移について規定される

 

・大規模な調査結果に基づいて規定されている

 

・世界中のどこでも活用可能な汎用性がある

 

・これからは、より予後予測を意識した分類へと進化していく

 

・今後は「TNMX分類」として表記されることになるだろう

 T:がん原発巣の大きさ、部位、隣接臓器との関係性で規定される

 N:所属リンパ節への進展範囲で規定される 

 M:主に他臓器への転移について規定される

 X:そのがんがもつ分子生物学的バイオマーカーで規定される

 

・解剖学的な進展範囲のみならず、分子生物学的バイオマーカーにも言及する

 

・個別の予後予測をより正確に行えるようにする

 

・治療効果(意義)をより正確に予測できるようにし、治療の最適化に役立てる

 

 

 関連記事です。

 正確な予後予測にこだわり過ぎてあまりに細分化されてしまったため、実務的にはあまりよろしくない現行の第8版です。ここまで細かい分類は、肺がん内科診療にはほぼ必要ないですね。個人的には第6版程度の内容が好みです。

oitahaiganpractice.hatenablog.com