・第II相UNICORN試験・・・uncommonEGFR変異に対するオシメルチニブ

 

 EGFRエクソン19欠失、エクソン20挿入、エクソン21L858R点変異以外の、いわゆるuncommon EGFR変異に対するオシメルチニブは果たして有効なのか。

 UNICORN試験は単アーム第II相試験なので結論めいたことは言えませんが、治療選択肢の一つに数えてよさそうです。

 第III相TORG1834試験の結果を受けてアファチニブを使うのか、第II相UNICORN試験の結果を受けてオシメルチニブを使うのか、あるいはアファチニブ vs オシメルチニブの第III相試験を行ってきちんと結論を出すのか。

oitahaiganpractice.hatenablog.com

 臨床試験原理主義者は、当然現時点ではアファチニブを使うでしょうね。

 当然です。

 言うまでもありません。

 多分。

 

 

 

Phase 2 study of osimertinib for untreated patients with NSCLC harboring uncommon EGFR mutations: UNICORN study

 

JSMO 2024 annual meeting Abst.#MO11-3

 

背景:

 EGFR遺伝子変異のうち、エクソン19欠失変異、エクソン21L858R点変異、エクソン20挿入変異以外の、いわゆるuncommon変異(uC-EGFRm)を有する非小細胞肺がん患者は稀で、かつ多様な一群であり、EGFR遺伝子変異陽性肺がん全体の10%を占める。これまでのところ、uC-EGFRm陽性未治療進行非小細胞肺がん患者に対するオシメルチニブの有効性に関するデータは乏しい。

 

方法:

 UNICORN試験は、多施設共同オープンラベル単アーム第II相試験で、uC-EGFRm陽性未治療進行非小細胞肺がんに対し、オシメルチニブ80mg/日内服の有効性を検証することを目的とした。主要評価項目は奏効割合(ORR)で、副次評価項目として病勢コントロール割合(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効持続期間(DoR)、安全性を評価した。

 

結果:

 2020年04月から2022年05月までの期間に、42人の患者が登録された。そのうち40人が適格基準を満たしており、全体の45.0%が女性だった。年齢中央値は72歳(39-88歳)、42.5%は非喫煙者ないしは軽喫煙者で、92.5%は腺がんだった。検出されたuC-EGFRmは頻度の高い順にG719X(50.0%)、S768I(25.0%)、L861Q(20.0%)で、複数変異併存例を含めて他の変異も認めた。ORRは55.0%(95%信頼区間40.9-68.5)で、DCRは90.0%(95%信頼区間76.3-97.2)、PFS中央値は9.4ヶ月(95%信頼区間3.7-15.2)、OS中央値は未到達(95%信頼区間19.3ヶ月-未到達)、DoR中央値は22.7ヶ月(95%信頼区間9.5-未到達)だった。安全性は既知のオシメルチニブ関連の臨床試験と同様で、Grade 3/4の有害事象は40人中11人(27.5%)で認め、12.5%は薬剤性肺障害を合併した。全ての有害事象は治療対応可能で、治療関連死は発生しなかった。

 

結論:

 uC-EGFRm陽性未治療進行非小細胞肺がんに対し、オシメルチニブは臨床的に有用で、かつ毒性は対処可能な範囲にとどまっていた。この患者群に対するオシメルチニブ投与は、実行可能でかつ有効な治療オプションのひとつとなりうる。