・第III相CheckMate 722試験・・・EGFR-TKI耐性化後のニボルマブ+プラチナ併用化学療法

 

 ドライバー遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がんには、免疫チェックポイント阻害薬は効果が低い、というのが通説で、学会においても論文においてもよく言及されます。

 しかし、免疫チェックポイント阻害薬と殺細胞性抗腫瘍薬を併用した場合には、必ずしもそうではない、という報告が散見されるようになりました。

 今回のCheckMate 722試験は全体の結論としては無効です。

 しかし、以下の点から、今回の試験治療は十分考慮に値する治療だと思いました。

・EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者さんの大多数がエクソン19ないし21のcommon mutationを有する患者さんである

・そのほとんどがオシメルチニブによる(1レジメンの)治療後病勢進行をいずれ迎える

・副次評価項目の全生存期間では試験治療群が3.5か月の中央値延長を達成している

 

 臨床試験開始前から想定してたのがどうか分かりませんが、Tony Mok先生の転んでもただでは起きない結論の導き出し方は、第III相IPASS試験を思い出させてくれます。

 

 

 

 

Nivolumab Plus Chemotherapy in Epidermal Growth Factor Receptor-Mutated Metastatic Non-Small-Cell Lung Cancer After Disease Progression on Epidermal Growth Factor Receptor Tyrosine Kinase Inhibitors: Final Results of CheckMate 722

 

Tony Mok et al. J Clin Oncol. 2024 Jan 22:JCO2301017. 
doi: 10.1200/JCO.23.01017. Online ahead of print.

 

目的:

 第III相CheckMate 722試験(NCT02864251)は、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)治療後に病勢進行したEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者を対象に、ニボルマブ+化学療法群(NC群)と化学療法単独群(C群)を評価した。

 

方法:

 T790M耐性変異(-)で第1/ 第2世代のEGFR-TKIを使用、あるいはT790M耐性変異の有無を問わずオシメルチニブを使用したのちに病勢進行に至った患者を対象に、NC群とC群に1:1の割合で無作為割付した。NC群ではニボルマブ(360mg/回、3週ごと)とプラチナ併用化学療法(3週ごと)を併用し、C群ではプラチナ併用化学療法のみを3週ごとに行い、いずれも治療は4コースまでとした。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)とした。副次評価項目には、9ヶ月PFS割合、12ヶ月PFS割合、全生存期間(OS)、奏効割合(ORR)、奏効持続期間(DoR)を含めた。

 

結果:

 294人の患者が無作為割付された。追跡期間中央値38.1ヶ月の時点で最終解析を行った。NC群における有意なPFS改善効果は認められなかった(PFS中央値はNC群5.6ヶ月、C群5.4ヶ月、ハザード比0.75(95%信頼区間0.56-1.00)、p=0.528)。9ヶ月PFS割合はNC群25.9% vs C群19.8%、12ヶ月PFS割合はNC群21.2% vs C群15.9%だった。爾後解析としてPFSについてサブグループ解析を行ったところ、エクソン19欠失変異 / エクソン21L858R点突然変異(感受性EGFR変異)を有した患者集団(ハザード比0.72(95%信頼区間0.54-0.97))、本試験参加前にEGFR-TKIを1レジメンだけ使用していた患者集団(ハザード比0.72(95%信頼区間0.54-0.97))、これら両条件ともに満たす患者集団(ハザード比0.64(95%信頼区間0.47-0.88))ではNC群が優れる傾向が見られた。OS中央値はNC群19.4ヶ月 vs C群15.9ヶ月、ORRはNC群31.3% vs C群26.7%、DoR中央値はNC群6.7ヶ月 vs C群5.6ヶ月だった。grade 3/4の治療関連有害事象はNC群44.7% vs C群29.4%だった。

 

結論:

 EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)治療後に病勢進行したEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者に対し、ニボルマブ+プラチナ併用化学療法はPFSを有意に延長しなかった。安全性の面では想定の範囲内だった。