・過去のレントゲンやCT写真

 呼吸器内科医として診療していると

 「患者さんの写真を撮ったら影があったので、見てもらえませんか」

と相談を受けることが多々あります。

 異常を指摘された際の写真だけだと、いろいろな病気の可能性を考えます。

 私はいつも

「無症状で肺にコインのような影があったら、結核と肺癌の可能性は考えておかないといけませんね」

とお話しすることにしています。

 

 ですが、少なくとも良性か悪性か大雑把に見極めるほう方がひとつあります。

 過去の写真と比較することです。

 一定期間前の写真と比較して、影に変化がないか、もしくは縮んでいれば、それだけで癌ではないだろうと察しがつきます。

 自然に退縮する癌は(全くないとは言いませんが)ほとんどないからです。

 

 肺に影があるといわれたら、詳しい検査を受ける前に、まずは過去の写真を探しましょう。

 健康診断のフィルム、他の病気で病院を受診した際のフィルム、なんでもいいです。

 手元に集めたら、それを病院に持っていって比較してもらいましょう。

 

 いろんな病院にかかっていると、その分過去のフィルムを集める労力も多くなります。

 毎年定例で胸部レントゲンやCTを撮影しておいたり、かかりつけの病院を決めておくと、こんなときに役に立ちます。