・シングルプレックス(単項目)遺伝子変異検査のおわりのはじまり・・・?

(出典:Invitae Japan株式会社 2023年02月28日付通知より)

 

 原発肺腺がんの4%、原発性肺扁平上皮がんの1%程度に見つかるとされるMETエクソン14スキップ変異。

 2023/03/01現在、METエクソン14スキップ変異に対する分子標的薬として、本邦ではテポチニブとカプマチニブが承認されています。

 テポチニブを使用するにあたりMETエクソン14スキップ変異の有無を判定するための検査として、シングルプレックス(単項目)遺伝子変異検査ではArcherMETコンパニオン診断システムが承認されていました。

(出典:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 「コンパニオン診断薬等の情報」令和4年12月23日版)

 その位置づけについては、日本肺癌学会による「MET遺伝子検査の手引き」に記されています。

MET遺伝子検査の手引き v1.0 2020.09.15.pdf (haigan.gr.jp)

 生検等によるがん組織検体のみならず、血漿検体でもMETエクソン14スキップ変異を検索可能とのことで、好意的に紹介されています。

 カプマチニブを使用するにあたっては、FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルシステムしか承認されていませんでしたので、テポチニブよりも使用までのハードルは高いです。

(出典:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 「コンパニオン診断薬等の情報」令和4年12月23日版)

 

 そんな状況下にあって、ArcherMETコンパニオン診断システムが今後利用できなくなるとのことです。

 複数の遺伝子変異を同時に検出可能(=マルチプレックス/多項目)なAmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネルや肺がんコンパクトパネルDxコンパニオン診断システムが利用できるようになったので、もはやArcherMETコンパニオン診断システムはその役割を終えた、ということなのでしょうね。

 EGFRやALKをはじめとした他の遺伝子異常を有する肺がんでも、同じようにシングルプレックスの遺伝子変異検査が消滅する日は、遠からずやってくるかもしれません。