・第II相WU-KONG6試験・・・EGFRエクソン20挿入変異での奏効割合60.8%

 

 EGFRエクソン20挿入変異に対するsunvozertinibの治療開発について、新たな報告です。

 2022年の米国臨床腫瘍学会では、第I相試験段階での報告が行われていました。

 そのころに作成した以下の過去記事で、sunvozertinibがどういった種類のお薬なのか詳しく触れています。

 

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 今回は第II相試験の結果が中国からもたらされました。

 以下の要約に記載されているように、sunvozertinibの治療開発における中国の先生方の気合の入り方は格別のようで、中国人のみを対象とした臨床試験(WU-KONG6試験)と中国以外の国を対象とした国際共同試験(WU-KONG1試験)が同時並行で進められ、WU-KONG6試験の方が先に主要評価項目の公表に辿り着いた模様です。

 以下にEGFRエクソン20挿入変異の治療開発に関する過去記事を記載しますが、これらを見る限りamivantamabの奏効割合40%が過去最高であり、今回のWU-KONG6試験でもたらされた60.8%という奏効割合は明らかに一歩抜きんでているようです。

 

 

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Sunvozertinib for the treatment of NSCLC with EGFR Exon20 insertion mutations: The first pivotal study results.

 

Mengzhao Wang et al.
ASCO2023 Abst.#9002
DOI: 10.1200/JCO.2023.41.16_suppl.9002

 

背景:

 sunvozertinib(DZD9008)は、EGFRエクソン20挿入変異(exon20ins)に対する選択的・非可逆的阻害薬で、野生型EGFRへの選択性も持っている。今回はEGFRexon20insを有する既治療非小細胞肺がんに対し、sunvozertinibを用いた最初のpivotal studyであるWU-CONG6試験の結果を報告する。

 

方法:

 WU-KONG6は多施設共同第II相試験で、対象はEGFRexon20insを有する非小細胞肺がん患者で、プラチナ併用化学療法後に病勢進行に至った患者とした。腫瘍組織におけるEGFRexon20insの状況は、各参加施設の検査部、あるいは臨床試験事務局による中央評価で検討した。主要評価項目は奏効割合(ORR)、副次評価項目は奏効持続期間(DoR)とし、評価は臨床試験事務局で行った。対象となった患者は、1日1回300mgのsunvozertinibを服用し、中止基準を満たすまで継続した。

 

結果:

 2021/07/19から2022/05/06までの間、計104人の中国人患者がWU-KONG6試験に参加した。有効性評価対象には、事務局による中央評価で後方視的にEGFRexon20insが確認された97人が含まれた。EGFRexon20insの亜型は、計30種にのぼった。患者の年齢中央値は58歳、59.8%(58/97)が女性、95.9%(93/97)が腺がんで、95.9%(93/97)が試験参加登録時に遠隔転移を有していた。前治療歴中央値は2レジメンだった。2022/10/17のデータカットオフ時点までで、奏効割合は60.8%(59/97)だった。試験参加登録時に脳転移を合併していた患者における、中枢神経系病変の奏効割合は48.5%(15/31)だった。抗腫瘍効果は年齢、性別、喫煙例、前治療歴、免疫チェックポイント阻害薬使用歴、EGFRexon20ins亜型、脳転移の有無といった背景因子に関わらず認められた。データカットオフ時点における奏効患者の観察期間中央値は7.1ヶ月で、この時点で64.4%(38/59)の患者で奏効が持続していた。奏効持続期間の最長値は11ヶ月を超え、中央値にはいまだ達していなかった。104人の患者が安全性評価対象とされ、緊急対応が必要な有害事象(TEAE)はsunvozertinibについて過去に報告されたものと同様で、他のEGFR阻害薬のそれと類似していた。TEAEのほとんどはgrade 1もしくは2相当で、臨床的に対応可能だった。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       

 

結論:

 EGFRexon20ins陽性非小細胞肺がん患者に対し、sunvozertinibは既存の適用可能な治療と比較して抗腫瘍活性が優れていることを、WU-KONG6試験で確認した。安全性は既報と同等だった。同じ試験デザインの国際共同第II相試験であるWU-KONG1試験も、米国、オーストラリア、アジア、欧州、南米を舞台として継続されている。