・直近1年間の振り返り・・・第62回日本呼吸器学会総会より

　2022年、第62回日本呼吸器学会総会の内容を、暇を見つけてオンライン参加して閲覧していました。

　腫瘍部会の年次集会において、この1年の出来事の振り返りと題した発表がありましたので、ざっと触れておきます。

・ADAURA試験　

　IB-IIIA期のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん完全切除後のオシメルチニブ補助治療

　オシメルチニブを3年間内服

　無増悪生存期間のハザード比0.17、p<0.0001

　全生存期間ハザード比0.40だが、まだまだ最終解析には時間がかかる

・IMPACT試験

　EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん完全切除後のゲフィチニブ補助療法

　有効性は統計学的に確認できず

・IMpower010試験

　IB-IIIA期のドライバー遺伝子変異陰性非小細胞肺がん完全切除後、プラチナ併用補助化学療法を行った後にアテゾリズマブ地固め

　無病生存期間が有意に改善した

・CheckMate-9LA試験

　プラチナ併用化学療法2コース＋ニボルマブ＋イピリムマブ併用療法

　PD-L1発現状態に関係なく有効

・RET融合遺伝子陽性進行非小細胞肺がんに対するセルペルカチニブ

　RET融合遺伝子陽性肺がんは全体の2%弱

　2021年12月13日に薬価収載され、保険診療で使用可能になった　

　LIBRETTO-001試験

・KRAS G12C遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対するソトラシブ

　KRAS-G12C遺伝子変異陽性肺がんは全体の3-4%

　2022年04月20日に薬価収載され、保険診療で使用可能になった

　CodeBreak-100試験

・ラロトレクチニブ

　エヌトレクチニブに続き、２つ目のNTRK融合遺伝子陽性肺がんに対する治療薬

　NAVIGATE試験に参加した患者の中で、非小細胞肺がんは13人

　奏効割合76.9%とまずまずの成績。

・ブリガチニブ

　第III相ALTA-1L試験でクリゾチニブに対して有意に無増悪生存期間を延長した。

　無増悪生存期間中央値はブリガチニブ24ヶ月、クリゾチニブ11ヶ月、ハザード比0.49（95%信頼区間0.35-0.68）、p<0.0001。