・ニボルマブ+イピリムマブ+化学療法併用の3年生存割合は25-30%・・・CheckMate9LA試験、3年間追跡調査結果

 CheckMate-227試験の5年追跡調査結果に続き、CheckMate-9LA試験の3年追跡調査結果です。

 ニボルマブ+イピリムマブ+化学療法併用の3年生存割合はおおむね25-30%程度といったところでしょうか。

 奏効割合はPD-L1≧1%の集団でより高いものの、奏効持続期間はPD-L1<1%の集団で長いという興味深い現象が見られています。

 

 

 

First-line (1L) nivolumab (NIVO) + ipilimumab (IPI) + 2 cycles of chemotherapy (chemo) versus chemo alone (4 cycles) in patients (pts) with metastatic non–small cell lung cancer (NSCLC): 3-year update from CheckMate 9LA.

 

Luis G. Paz-Ares et al.

2022 ASCO Annual Meeting, abst.#LBA9026

DOI:10.1200/JCO.2022.40.17_suppl.LBA9026

 

背景:

 CheckMate9LA試験では、進行非小細胞肺がんに対する一次治療としてのニボルマブ+イピリムマブ+2コースの化学療法併用が化学療法単独と比較して生命予後を改善することが示された。今回は、最短3年間追跡調査した上での有効性・安全性データを示すとともに、本試験から得られた探索的バイオマーカー解析の結果も報告する。

 

方法:

  CheckMate9LA試験では、EGFR / ALK遺伝子異常なし、ECOG-PSは1以下のIV期もしくは術後再発の成人非小細胞肺がん患者を対象に、ニボルマブ360mg3週ごと+イピリムマブ1mg/kgを6週ごと+2コースの化学療法を行う群(NI+chemo群、361人)と4コースの化学療法を行う群(chemo群、358人)に1:1の割合で無作為に割り付けた。割り付け調整因子はPD-L1発現状態、性別、組織型とした。非扁平上皮非小細胞肺がん(NSQ-NSCLC)の患者で、chemo群に割り付けられた場合には、ペメトレキセドの維持療法を適用できることとした。評価項目には全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、奏効割合(ORR)を含めた。腫瘍組織検体を利用可能な全てのNSQ-NSCLC患者(313人)に対し、FoundationOne CDxTMを用いてKRAS遺伝子変異の有無とSTK11遺伝子群の同定を行った。こうした遺伝子群の異常と、各治療群におけるOSやPFSの相関に関する検討含め、各種の探索的検討を行った。

 

結果:

 2022年02月15日のデータカットオフまでに最短36.1ヶ月の追跡調査を行った。NI+chemo群ではchemo群に対して長期にわたる持続的なOS延長効果を認めた(ハザード比0.74、95%信頼区間0.62-0.87)。3年生存割合はNI+chemo群で27%、chemo群で19%だった。

 chemo群に対するNI+chemo群の臨床的有用性は、患者集団全体においても、PD-L1発現状態や組織型を含むほとんどのサブグループ別解析においても認められた。

 KRASやSTK11を含む遺伝子変異解析が可能だった患者集団について調べたところ、NI+chemo群ではchemo群に対してOS延長効果を認めた(中央値16.3ヶ月 vs 13.1ヶ月)。同様の傾向はKRAS遺伝子変異の有無(生存期間中央値は変異陽性の患者集団で19.2ヶ月 vs 13.5ヶ月、陰性の患者集団で15.6ヶ月 vs 12.7ヶ月)、STK11遺伝子変異の有無(生存期間中央値は変異陽性の患者集団で13.8ヶ月 vs 10.7ヶ月、変異陰性の患者集団で17.8ヶ月 vs 13.9ヶ月)を問わず認められた。過去に報告のない毒性は認めなかった。

 

結論:

 最短3年間の追跡期間において、未治療進行非小細胞肺がん患者に対するニボルマブ+イピリムマブ+化学療法併用は、化学療法と比較して長期にわたる持続的な有用性を示した。この効果は、KRAS変異やSTK11変異の状態に関係なく認められた。

 

 

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