・CheckMate9LA試験 脳転移の有無でサブグループ解析

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 後付けのサブグループ解析であるため、エビデンスとしての質はそれほど高くないかもしれません。

 それでも、この報告を見ると、脳転移を有する進行非小細胞肺がんの方にはニボルマブ+イピリムマブ+化学療法を第一選択としたくなります。

 そのくらい、生存期間、無増悪生存期間、奏効割合、奏効持続期間の差は圧倒的です。

 

First-line Nivolumab + Ipilimumab + Chemo in Patients With Advanced NSCLC and Brain Metastases: Results From CheckMate 9LA

 

David Carbone et al.

WCLC2021 Abst.#OA09.01

 

背景:

 脳転移を伴う進行非小細胞肺がん患者の診療はまだ満足できるものではなく、免疫チェックポイント阻害薬が有益な可能性がある。第III相ランダム化比較試験であるCheckMate9LA試験において、ニボルマブ+イピリムマブ+化学療法(N+I+Cx)は化学療法単独と比較して、進行非小細胞肺がん患者の生存期間を有意に延長した。その効果は、腫瘍病巣のPD-L1発現状態や腫瘍組織型と関係なく認められた。今回は、後付けではあるが、治療開始前の脳転移の有無によるサブグループ解析を行った。

 

方法:

 IV期あるいは術後再発の成人非小細胞肺がん患者で、ECOG-PSは0もしくは1、EGFRやALKの遺伝子異常を持たない者を適格とした。適切な治療を受けた脳転移合併患者も、初回のプロトコール治療開始に先立つこと2週間以上無症状であれば適格とした。この際、副腎皮質ステロイドプレドニゾロン換算で10mg/日以下の量で維持中、あるいは漸減中の状態にあってもよいとされた。対象患者はN+I+Cx群(ニボルマブ360mgを3週ごと、イピリムマブ1mg/kgを6週ごと、化学療法を当初2サイクル)とCx群(化学療法を4サイクル)に1:1の割合で無作為に割り付けられた。プロトコール治療は、病勢進行、忍容不能の毒性、免疫チェックポイント阻害薬治療開始から2年間を経るまでは継続された。頭部MRI / CTは治療開始前の時点で全ての患者について行われ、脳転移の病歴がある患者や脳転移にまつわる症状が治療経過中に認められた患者では既定の外来受診時に2回、加えて病勢進行に至るまで3ヶ月ごとに再検した。頭蓋内病変の画像評価は、脳転移巣評価用にアレンジしたRECIST基準に基づき、独立効果判定員会で行った。

 

結果:

 719人の患者がランダム割り付けされ、そのうち101人(14%)は治療開始前に脳転移を合併していた。背景因子は脳転移のあり、なしを問わずバランスがとれており、これは各治療群間の比較でもほぼ同様だった。ただし、N+I+Cx群に喫煙歴のない患者が多かったとか、Cx群に肝転移を有する患者が多かったといった若干の偏りが、脳転移を有する患者において認められた。脳転移の有無を問わず、N+I+Cx群の方がCx群よりも生存期間、効果のいずれにおいても優れていた。治療開始前に脳転移を合併していた患者で、全てのGradeの治療関連有害事象を算出すると、N+I+Cx群で20%、Cx群で10%だった。そのほとんどはGrade 1ないしは2の有害事象だった。