・CheckMate-227試験 4年追跡後

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 以下のごとく、進行非小細胞肺がんに対するニボルマブ+イピリムマブ併用療法の意義を検討したCheckMate-227試験については、幾度となく取り上げてきました。

 いまだに試験デザインについては眉唾ものと思っていますが、そうはいっても私の母が実際に受けた治療でもあり、長期追跡結果には大変興味があります。

 今回の報告から、進行・術後再発非小細胞肺がん患者に対する一次治療としてニボルマブ+イピリムマブ併用療法を行った場合、4年生存割合はPD-L1発現状態によらず25-30%と見積もって良さそうで、勇気づけられる結果です。

 

 

・CheckMate227試験・・・試験デザインに極めて難あり

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e968110.html

 

・CheckMate227試験とCheckMate9LA試験

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e976407.html

 

ニボルマブ+イピリムマブ±プラチナ併用化学療法 適応追加

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e982891.html

 

・CheckMate-227試験 日本人サブセット解析

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e988334.html

 

 

 

 

First-Line Nivolumab Plus Ipilimumab in Advanced Non-Small Cell Lung Cancer: 4-Year Outcomes From the Randomized, Open-Label, Phase 3 CheckMate 227 Part 1 Trial

 

Luis G.Paz-Ares et al., J Thorac Oncol. 2021 Oct 11;S1556-0864(21)03207-X.

doi: 10.1016/j.jtho.2021.09.010. Online ahead of print.

 

背景:

 CheckMate 227試験では、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法がPD-L1≧1%の患者集団に対して(主要評価項目)も、<1%の患者集団に対して(事前設定の記述統計)も、化学療法に対して生存期間を延長した。今回は4年追跡後の更新データを報告する。

 

方法:

 未治療のIV期、もしくは術後再発の成人非小細胞肺がん患者を対象に、PD-L1≧1%の患者集団はニボルマブ+イピリムマブ群(NI群)、ニボルマブ群(N群)、化学療法群(C群)に、PD-L1<1%の患者集団はニボルマブ+イピリムマブ群(NI群)、ニボルマブ+化学療法群(NC群)、化学療法群(C群)に1:1:1の割合で無作為割付した。有効性の評価項目には全生存期間その他の判定項目を含めた。安全性の評価には、免疫関連有害事象発現のタイミングや対処法も含めた。後付けの解析として、治療関連有害事象のためにニボルマブ+イピリムマブ併用療法を中止した患者における有効性評価を行った。

 

結果:

 追跡期間中央値は54.8ヶ月で、PD-L1≧1%の患者集団においてNI群はC群に対して全生存期間の延長を維持していた(ハザード比0.76、95%信頼区間0.65-0.90、4年生存割合はNI群29%、C群18%)。また、PD-L1<1%の患者集団においても同様だった(ハザード比0.64、95%信頼区間0.51-0.81、4年生存割合はNI群24%、C群10%)。NI群の生存期間延長効果は、扁平上皮がんでも非扁平上皮がんでも同様に認められた。記述統計において、PD-L1≧1%の患者集団ではN群よりもNI群の方が、PD-L1<1%の患者集団ではNC群よりもNI群の方が、有効性が高かった。安全性は既報と変わるところはなかった。NI群、N群、NC群において頻度の高かった免疫関連有害事象は皮疹だった。ほとんどの免疫関連有害事象(内分泌異常を除く)はプロトコール治療開始から6か月以内に発生し、副腎皮質ステロイドを主とした治療介入により発生から3か月以内には寛解した。NI群のプロトコール治療を有害事象により中止した患者では、全体集団と同様に長期的な生存期間延長効果が認められた。

 

結論:

 4年追跡調査後、さらに言えば全ての対象患者において免疫チェックポイント阻害薬最終投与から2年以上経過した状況下で、進行非小細胞肺がんに対するニボルマブ+イピリムマブ併用療法は持続的長期効果を維持していた。新種の有害事象は認めなかった。免疫関連有害事象は比較的早い段階で発生し、ガイドラインに基づいた治療対応で速やかに改善した。治療関連有害事象によりニボルマブ+イピリムマブ併用療法の中止を余儀なくされた場合にも、全患者集団と同様に長期的な治療効果が得られた。