・Brigatinib、進行ALK肺がんの一次治療でクリゾチニブを凌駕 ALTA-1L study

 希少疾患で、肺がん診療全体に対するインパクトは大きくないものの、ALK肺がんの話題が続いています。

 Brigatinibがクリゾチニブに対して、無増悪生存期間で上回ったとのことです。

 第III相試験の結果であるため、素直に捉えれば、進行ALK肺がんの初回治療ではクリゾチニブよりもBrigatinibを選ぶべき、ということになります。

 じゃあアレクチニブとどっちがより推奨されるのか、とか、二次治療では何がいいのか、となると、これはまた別の話です。

 今の流れからすると、当面我が国ではアレクチニブで初回治療、ロルラチニブで二次治療、というのが標準になるのでしょう。

 

 NEJ009試験を踏まえると、ペメトレキセド併用化学療法とALK阻害薬を一緒に使うと、さらに良い結果が出そうな気がします。

 誰かそんな臨床試験に取り組んでくれないでしょうか。

 

 

 

Brigatinib versus Crizotinib in ALK-Positive Non?Small-Cell Lung Cancer

 

Camidge et al., N Engl J Med. 2018 Sep 25. [Epub ahead of print]

DOI: 10.1056/NEJMoa1810171

 

背景:

 次世代ALK阻害薬であるBrigatinibは、クリゾチニブ治療後に耐性となったALK陽性肺がん患者に対して有効である。しかし、未治療ALK肺がん患者に対し、クリゾチニブと比較してどの程度の効果を示すのかははっきりしていない。

 

方法:

 オープンラベル、第III相無作為化比較試験(ALTA-1L study)において、ALK陽性未治療進行非小細胞肺癌患者をBrigatinib群とクリゾチニブ群に1:1の比率で無作為に割り付けた。Brigatinib群では、Brigatinib180mgを1日1回(治療初期7日間は90mgを1日1回)で連日服用し、クリゾチニブ群ではクリゾチニブ250mgを1日2回連日服用した。主要評価項目は独立した効果判定委員会により評価された無増悪生存期間とした。副次評価項目は奏効割合、頭蓋内病変奏効割合とした。解析に必要な病勢増悪もしくは患者死亡のイベントを198件と見積もり、その約50%が発生した時点で中間解析を行うこととした。

 

結果:

 計275人の患者が各治療群に無作為割り付けされた。137人がBrigatinib群に、138人がクリゾチニブ群に割り付けられた。99件のイベントが発生した時点で初回の中間解析を行った。Brigatinib群の経過観察期間中央値は11.0ヶ月、クリゾチニブ群の経過観察期間中央値は9.3ヶ月だった。

 ログランク検定で解析したところ、12ヶ月無増悪生存割合はBrigatinib群で67%(95%信頼区間は56-75%)、クリゾチニブ群で43%(95%信頼区間は32-53%)で、ハザード比は0.49(95%信頼区間は0.33-0.74)、p<0.001とBrigatinib群で有意に優れていた。

 奏功割合はBrigatinib群で71%(95%信頼区間は62%-78%)、クリゾチニブ群で60%(95%信頼区間は51-68%)だった。頭蓋内病変の奏功割合はBrigatinib群で78%(95%信頼区間は52-94%)、クリゾチニブ群で29%(95%信頼区間は11-52%)だった。

 

結論:

 ALK陽性未治療進行非小細胞肺癌患者において、Brigatinibはクリゾチニブに対して優位に無増悪生存期間を延長した。