何の関係があるんじゃ、と言われそう。
最近、Annals of Oncology誌に症例報告が載っていた。
Drastic decrease of the HIV reservoir in a patient treated with nivolumab for lung cancer
Guihot et al., Ann of Oncol 2017
51歳の喫煙男性。
2015年5月にIIIA期の非小細胞肺がん(EGFR遺伝子変異陰性、KRAS遺伝子変異陰性、BRAF遺伝子変異陰性、PD-L1発現陰性)と診断された。
根治的肺葉切除術が行われ、その後にシスプラチン+ペメトレキセドで術後補助化学療法が行われた。
化学療法終了後半年以内に再発し、CANCERVIHの推奨事項に沿って、2016年12月からニボルマブによる二次治療が開始された。
CANCERVIHは、HIV感染症を合併しているがん患者を支援するフランスの組織らしい。
肺がんの治療中も、HIVのDNAやRNAの量を絶えずモニタリングしたのだとか。
面白いのは、ニボルマブによる治療中にHIVのDNA量やRNA量が増減しながら、治療開始から120日目の段階ではかなり低く抑えられたこと。
このことを、著者らは"Shock and Kill Mechanism"と呼んでいる。
1)ニボルマブ投与後のT細胞活性化とともに、HIVに感染したCD4陽性T細胞内におけるHIVウイルス複製の一過性再活性化が起きる
2)CD4陽性もしくはCD8陽性T細胞の枯渇の後に、HIV特異的なCD8陽性T細胞が機能回復し、これがHIV産生細胞を排除する
わかったような、わからんような。
ただ、現実にこうしたことが起こっているのは確か。
フランスでは、もっと大規模に患者の経過調査を行っているらしい(ANRS-CO24, OncoVIHAC cohort study)。
あと、自己免疫疾患と免疫チェックポイントになにか面白い関係がないか、興味がある。
そんな研究、進んでいるんだろうか。