2017-01-01から1年間の記事一覧

・PoziotinibとEGFRエクソン20挿入変異

小規模臨床試験ながら、EGFRエクソン20挿入変異を有する進行非小細胞肺癌患者を対象に、これだけの成果を上げられたのは見事です。 一旦は忘れ去られた化学物質に、地道な努力で再び光を当てたMDアンダーソンがんセンターのポスドクの先生に拍手喝采です。 …

EGFR阻害薬のトリセツ

先日、仕事を終えて帰る前にメールボックスをチェックすると、マルタ島から郵便物が届いていた。 "Expert perspectives on Management of EGFR-Mutated NSCLC: Overcoming Resistance to Ensure Active Lines of Therapy"なる題名の小冊子。 ちらっと見てみ…

TPS>50%ならペンブロリズマブ一次治療で30ヶ月!

KEYNOTE-024試験のデータが更新された。 まだまだ最終結果というわけではなさそうだ。 分子標的薬でもないのに、生存期間中央値が30ヶ月を超えるというのは、やはり「恐るべき黒船」だ。 化学療法群の60%以上がPD-1抗体治療にクロスオーバーされているにも拘…

肺小細胞癌とDLL発現

2016年のASCOにおいて、Rova-Tが小細胞癌の治療に有望であると報告された。 http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e858706.html これを受けて、小細胞癌や大細胞神経内分泌癌のDLL3発現状態が患者背景や生命予後にどのように関わっているか、臨床病理…

その後のLorlatinib

ALK阻害薬、Lorlatinibのその後のお話。 2017年世界肺癌会議 <ALK陽性進行肺癌およびROS1陽性進行肺癌におけるLorlatinib療法> By The ASCO Post Posted: 10/17/2017 11:53:11 AM Last Updated: 10/17/2017 5:02:02 PM 2017年世界肺癌会議において、Lorlat…

Lurbinectedin and Doxorubicin in Relapsed SCLC

初回治療後に病勢進行した小細胞肺癌に対する新規二次治療の話。 国内大規模臨床試験の結果、いわゆるsensitive relapseの場合にはイリノテカン+シスプラチン+エトポシド併用療法が標準治療として位置づけられている。 http://oitahaiganpractice.jungleko…

BrigatinibのALTA試験、追跡調査結果

それにしても、ALK肺癌の世界は、開発のスピードが速い。 ALK肺癌の存在が報告されてからまだわずか10年だが、我が国で一次治療から使える薬が既に3種(クリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブ)ある上に、Brigatinib、Lorlatinibの知見も蓄積されつつある…

分子標的薬の最大効果を目指して

日本肺癌学会2017より <ワークショップ16> 分子標的治療の最大効果を目指して WS16-1)血中遊離DNAを用いた遺伝子変異検出結果に影響を与える因子の検討 ・cell free DNA(cfDNA)の問題点 陽性検出率(感度)が低い:通常生検検体でEGFR遺伝子変異陽性…

肺癌治療の費用対効果

高額医療の話をしていて真に恐ろしいと思うのは、薬が登場したときこそ高額だと騒がれるのだが、実地臨床に定着してしまうとあまり話題に上らなくなってしまうことだ。 パクリタキセルしかり、ゲフィチニブしかり、ベバシツマブしかり、ペメトレキセドしかり…

・免疫関連有害事象と治療効果

免疫チェックポイント阻害薬は、我が国の実地臨床で使えるようになってからまだ日が浅いです。 今回の解析も、2015年12月から2016年8月にかけてニボルマブの治療が開始された患者が対象で、2016年12月時点でデータカットオフとのことですから、追跡期間が4ヶ…

ARCHER 1050 論文化

EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌を対象に、一次治療においてダコミチニブがイレッサに対して有意に無増悪生存期間を延長した。 今後、オシメルチニブとどうやって住み分けるか。 EGFR遺伝子変異陽性肺癌の一次治療 By Matthew Stenger Posted: 10/5/20…

オシメルチニブ、EGFR変異陽性肺癌の一次治療としてブレークスルー指定へ

FLAURA試験の結果が出た以上、本承認でもいいと思うのだが、全生存期間の解析結果を待って、ということかも知れない。 初回治療からオシメルチニブを使えば迷うことはないのだが、その一方でゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブでも長期奏効している患…

Abemaも退場

細かいデータ開示は来年に持ち越されるようだが、サイクリン依存性キナーゼ阻害薬であるAbemaciclibは、第III相臨床試験でErlotinibに対する優越性を示せなかった。 予後不良とされるKRAS遺伝子変異に対する治療効果が期待されていたが、残念な結末に終わっ…

モテサニブ、退場

マルチキナーゼ活性を有する小分子VEGFR阻害薬、モテサニブは、残念ながら有意な治療効果を示せなかった。 VEGFやVEGFRをターゲットとした薬は、なかなかうまく行かない。 bevacizumabやramcirumabは、このカテゴリーの薬の中では生存期間延長効果がかろうじ…

減少の兆しなし

このところ、すっかり記載が滞ってしまった。 ESMO 2017で報告されたFLAURA studyのことすら、まだまとめきれずにいる。 EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌一次治療において、いわゆる第1世代のEGFR阻害薬に対し、OsimertinibがPFSで優越性を証明したと…

Durvalumabと局所進行非小細胞肺癌

摂食嚥下機能評価の解析作業に追われて、すっかり本ブログがおろそかになってしまった。 以前一緒に働いた先生から、放射線化学療法について相談を受けて、ちょうどトピックスだったから久しぶりに記事を書くことにした。 2017年7月末に、以下のような…

ICIsと分子標的薬の口演発表まとめ

2017年7月29日 日本臨床腫瘍学会総会3日目(神戸市) 口演発表のまとめ O3-1-2: 日本人の非小細胞肺癌患者に対するニボルマブの間質性肺疾患:死亡リスク因子の検討 ・発表内容をはしょりすぎていて、結局結論がわからなかった ・今回の中間解析時点で、間…

BVと腸穿孔、driver変異とNivolumab

2017年7月29日 日本臨床腫瘍学会総会3日目(神戸市) <ポスター発表> P3-138: 非小細胞肺がんにおけるBevacizumabに関連した腸穿孔の臨床背景の検討 ・解析対象患者総数は314人 ・腸穿孔を合併した患者は7人(2.2%) ・7人中6人は、1コース目もしくは2コ…

ASCO / JSMO joint symposium

2017年7月28日 日本臨床腫瘍学会総会2日目(神戸市) AJ-1の講演内容を見ると、欧米と日本でのドラッグ・ラグはだいぶん是正されてきた様子。 ASCO / JSMO Joint Symposium AJ-1: Expanding the Reach of Targeted Therapy in Lung Cancer <EGFR>(in USA…

Durvalumab,Tremelimumab一次治療はPFSを延長せず

Durvalumab単剤療法、あるいはDurvalumab+Tremelimumab併用療法は、プラチナ併用化学療法に対して無増悪生存期間の有意な延長を示せなかったとのこと。 免疫チェックポイント阻害薬は無増悪生存期間を延長せずに全生存期間を延長することがあるので、まだ有…

KEYNOTE-024の日本人サブグループ解析

2017年7月28日 日本臨床腫瘍学会総会2日目(神戸市) KEYNOTE-024の日本人サブグループ解析。 サブグループ解析なので人数は少ないけれど、確かに有望な結果。 Plenary session 3: PD-L1高発現の見治療非小細胞肺がんに対するPembrolizumabの国際共同ランダ…

EGFR遺伝子変異陽性肺癌に対する治療戦略

2017年7月28日 日本臨床腫瘍学会2日目(神戸市) 昨日に続いて、スペインからお越しになった先生のご講演。 Medical Seminer (=Lanchon Seminer) 25 Grobal Strategies for the Treatment of EGFR Mutation Positive Patient ・1st lineとしてErlotinib, Afa…

周術期化学療法におけるがん薬物療法専門医の役割

2017年7月28日 日本臨床腫瘍学会総会2日目(神戸市) 会員委員会企画 周術期化学療法におけるがん薬物療法専門医の役割 ・・・結局のところ、各病院でルールを決めて取り組むべきことだ。 呼吸器内科医と呼吸器外科医は同じ呼吸器センターで働いていることが…

FLAURA positive!

ギリシャで生まれ、スペインでキャリアを積んでいるきれいな先生の講演を伺っていたら、シンガポールからやってきた先生が、 「昨日のプレスリリースで、FLAURAがpositiveになったって聞いたけど、あんたならこれからどうする?」 と質問された。 暑い中、神…

ICIsのシンポジウム

2017年7月28日 日本臨床腫瘍学会2日目(神戸市) 肺癌と免疫チェックポイント阻害薬に関する国際シンポジウム。 遅刻したため、残念ながら最初の2演題は聞き逃してしまった。 ISY 8-3 Possible biomarker for immune checkpoint inhibitor ・CheckMate 071, …

T-DM1 for HER2 positive NSCLC

2017年7月27日 日本臨床腫瘍学会総会(神戸市) O1-5-6:HER2陽性非小細胞肺癌に対するT-DM1の第2相試験 ・HER2陽性の患者はIHC+++ or IHC++かつFISH+ or Exon 20 mutation+の患者 ・主要評価項目は奏効割合 ・副次評価項目は有害事象、全生存期間、無増悪生…

再生検がらみのポスター発表まとめ

2017年7月27日 日本臨床腫瘍学会総会(神戸市) P1-122:当院におけるRe-biopsyの現状と問題点 腫瘍検体を用いたcobas法での検索と、血漿検体を用いたMBP-QP法での検索の比較 結果の一致率は11/20=55% P1-123:EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対する再生検…

分子標的治療薬の臨床試験デザイン

2017年7月27日 日本臨床腫瘍学会総会総会(神戸市) <教育講演1>分子標的治療の臨床試験デザイン ・biomarker driven trial designは治療効果を見るのが常に第一義であり、毒性評価その他は副次的 ・exprolatory phase II ・confirmatory phase III ・seam…

日本臨床腫瘍学会2017日記その1

2017年7月27日 日本臨床腫瘍学会総会(神戸市) ISY 1-1 : Innate resistance in EGFR mutant non-small cell lung cancer patients by co-activation of receptor tyrosine kinases(RTKs). ・演者は、教授の代わりにやってきたスペインの綺麗なお姉さん ・…

lorlatinib phase I / II study

ALK阻害薬の第I世代をcrizotinib、第II世代をalectinib、ceritinibとすると、第III世代のlorlatinibの開発が進んでいるようだ。 ALK阻害薬は、中枢神経移行の良さが問われることが多いのだが、lorlatinibはその点が優れているよう。 一方で、会話障害や注意…