それにしても、ALK肺癌の世界は、開発のスピードが速い。
ALK肺癌の存在が報告されてからまだわずか10年だが、我が国で一次治療から使える薬が既に3種(クリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブ)ある上に、Brigatinib、Lorlatinibの知見も蓄積されつつある。
そして、先進的な取り組みをしている施設では、耐性化機序に基づいた薬剤選択が行われ、治療効果に直接反映されているようだ。
ドライバー遺伝子異常に基づく肺癌とは言いながら、EGFR遺伝子変異陽性肺癌とALK融合遺伝子肺癌、ROS1融合遺伝子肺癌は、その振る舞いにやや違いがあるように感じられる。
2017年世界肺癌会議
ALK陽性非小細胞肺癌に対するBrigatinib療法
By The ASCO Post
Posted: 10/16/2017 12:09:57 PM
Last Updated: 10/16/2017 12:40:29 PM
クリゾチニブによる治療後に進行したALK融合遺伝子陽性の局所進行あるいは進行非小細胞肺癌患者に対するBrigatinib療法の効果を検証した第II相ALTA試験の結果が、第18回世界肺癌会議で報告された。今回は、2017年2月21日時点までの有効性・安全性データに基づく追跡調査結果だった。
過去のデータは以前のブログを参照。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e896908.html
2017年2月21日までの経過観察期間中央値は、90mg群で16.8ヶ月、180mg群で18.6ヶ月で、90mg群の32%、180mg群の41%が治療を継続していた。
主要評価項目である「担当医評価による」奏効割合は、90mg群で46%、180mg群で55%だった。一方、「独立評価委員会評価による」奏効割合は、90mg群で51%、180mg群で55%だった。同様に、「担当医評価による」奏効持続期間は90mg群で12ヶ月、180mg群で13.8ヶ月、「独立評価委員会評価による」奏効持続期間は90mg群で13.8ヶ月、180mg群で14.8ヶ月だった。
「担当医評価による」無増悪生存期間中央値は90mg群で9.2ヶ月、180mg群で15.6ヶ月、「独立評価委員会評価による」無増悪生存期間中央値は90mg群で9.2ヶ月、180mg群で16.7ヶ月だった。生存期間中央値は90mg群では未到達、180mg群では27.6ヶ月だった。1年生存「しそうな」割合は90mg群で70%、180mg群で80%だった。
測定可能な脳転移巣を有する患者群(90mg群26人、180mg群18人)では、「独立評価委員会評価による」頭蓋内奏効割合は90mg群で50%、180mg群で67%だった。頭蓋内奏効持続期間は90mg群では未到達、180mg群では16.6ヶ月だった。治療開始時点で脳転移巣を有していた患者全てにおける「独立評価委員会評価による」頭蓋内無増悪生存期間中央値は90mg群で12.8ヶ月、180mg群で18.4ヶ月だった。
Grade 3以上の高頻度の有害事象は、A群、B群それぞれで、血中クレアチンキナーゼ上昇(3%、11%)、高血圧(4%、4%)、血中リパーゼ上昇(4%、4%)、肺臓炎(2%、4%)、発疹(1%、4%)だった。有害事象による減量措置はそれぞれ9%、30%で、有害事象による治療中止はそれぞれ4%、11%だった。