Abemaも退場

 細かいデータ開示は来年に持ち越されるようだが、サイクリン依存性キナーゼ阻害薬であるAbemaciclibは、第III相臨床試験でErlotinibに対する優越性を示せなかった。

 予後不良とされるKRAS遺伝子変異に対する治療効果が期待されていたが、残念な結末に終わった。

 この患者群においては、免疫チェックポイント阻害薬を積極的に使うべきだろう。

 ただし、実地臨床でEGFR, ALK, ROS1, PD-L1に加えて、ルーチンでKRASを調べている病院は殆どないだろう。

第III相JUNIPER試験−KRAS遺伝子変異を有する進行非小細胞肺癌に対するAbemaciclibの効果

By The ASCO Post

Posted: 10/12/2017 1:46:52 PM

Last Updated: 10/12/2017 1:48:19 PM

 2017年10月10日、イーライリリー社はサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4 / 6阻害薬であるAbemaciclibの治療効果を評価した第III相JUNIPER試験において、主要評価項目である全生存期間の延長を達成できなかったと報告した。

 しかしながら、副次評価項目である無増悪生存期間と奏効割合では、Abemaciclibの有効性が確認された。加えて、対象群では事前予測よりも良好な生存期間を認めた(ということは、平均的な標準治療の成績よりは優れている可能性がある→詭弁だと思うけど)。イーライリリー社では、2018年中に開催される各種学会においてデータを公表する予定である。

 JUNIPER試験は、国際共同第III相臨床試験だった。対象は、プラチナ併用化学療法施行後に病勢進行に至り、更なる全身薬物療法を受ける余地のある、KRAS遺伝子変異陽性のIV期非小細胞肺癌患者とした。総計453人の患者が、abemaciclib群もしくはerlotinib群に無作為割付された。主要評価項目は全生存期間で、副次評価項目は安全性、奏効割合、無増悪生存割合だった。有害事象は過去のAbemaciclibの臨床試験と概ね同様で、下痢、倦怠感、食欲不振、嘔気が主だった。