モテサニブ、退場

 マルチキナーゼ活性を有する小分子VEGFR阻害薬、モテサニブは、残念ながら有意な治療効果を示せなかった。

 VEGFやVEGFRをターゲットとした薬は、なかなかうまく行かない。

 bevacizumabやramcirumabは、このカテゴリーの薬の中では生存期間延長効果がかろうじて示された、稀有な例というべきだろう。

 

東アジア地域の進行非小細胞肺がん患者に対するカルボプラチン+パクリタキセル+モテサニブ併用療法

By Matthew Stenger

Posted: 9/27/2017 11:01:33 AM

Last Updated: 9/27/2017 11:01:33 AM

 MONET-A第III相臨床試験は、東アジア地域の進行 / 再発、非扁平上皮・非小細胞肺がん患者を対象として、マルチキナーゼ活性を有するVEGFR阻害薬のモテサニブをカルボプラチン+パクリタキセル併用療法に追加しても、有意な無増悪生存期間延長効果がないことを示した。本試験の概要はJournal of Clinical Oncology誌に掲載された。第II相試験までの段階では、進行非小細胞肺がん患者のうち東アジア人のサブグループにおいて有望とみなされていた。

 今回の二重盲権試験では、2012年7月から2015年3月にかけて、日本、韓国、台湾、香港の52施設から401人(うち71%は日本から)の患者が2つの治療群に無作為割付された。モテサニブ群(197人)ではモテサニブ+カルボプラチン+パクリタキセル療法が行われ、プラセボ群(204人)ではプラセボ+カルボプラチン+パクリタキセルが投与された。層別化因子はEGFR遺伝子変異の状態、登録地域、登録前6ヶ月間の体重減少とされた。主要評価項目は無増悪生存期間だった。

 経過観察期間の中央値はモテサニブ群で10.3ヶ月、プラセボ群で10.1ヶ月だった。無増悪生存期間中央値はモテサニブ群で6.1ヶ月、プラセボ群で5.6ヶ月だった(ハザード比0.81、p=0.820)。生存期間中央値はモテサニブ群で未到達、プラセボ群で21.6ヶ月だった(p=0.5514)。奏効割合はモテサニブ群で60.1%、プラセボ群で41.6%だった(p<0.001)。奏効までの期間の中央値はモテサニブ群で1.4ヶ月、プラセボ群で1.6ヶ月、奏効持続期間中央値はモテサニブ群で5.3ヶ月、プラセボ群で4.1ヶ月だった。サブグループ解析では、EGFR遺伝子変異陽性集団、5%以上の体重減少を伴っていた集団、術後補助化学療法を行わなかった集団、放射線治療歴のある集団ではモテサニブ群で無増悪生存期間が延長する傾向にあった。

 Grade 3 / 4の有害事象は、モテサニブ群で86.7%、プラセボ群で67.6%で認められた。重篤な有害事象はそれぞれ48%、32.4%で認めた。モテサニブ群における有害事象の主たるものは、胃腸障害、高血圧、胆嚢関連有害事象だった。