・免疫関連有害事象と治療効果

 

 免疫チェックポイント阻害薬は、我が国の実地臨床で使えるようになってからまだ日が浅いです。

 今回の解析も、2015年12月から2016年8月にかけてニボルマブの治療が開始された患者が対象で、2016年12月時点でデータカットオフとのことですから、追跡期間が4ヶ月程度しかない患者も含まれているはずで、結果の解釈には慎重であるべきです。

 それでも、免疫関連有害事象を合併したときの、全生存期間に関するハザード比が0.282というのは、無視できない驚異的な数字です。

 ペンブロリズマブを投与している患者さんに、

 「目立った副作用が出ずに済んで、今のところは一安心ですね」

と話しているものの、お互いに微妙な空気を感じながら日々を過ごしています。

 

 

免疫関連有害事象と治療効果

 

By Matthew Stenger

Posted: 10/9/2017 9:52:08 AM

Last Updated: 10/9/2017 9:52:08 AM

 

https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/article-abstract/2654556?resultClick=1

 

 進行・再発非小細胞肺癌患者にニボルマブを使用した際、免疫関連有害事象の出現が生存期間延長に関連していることについて、日本の研究結果がJAMA Oncology誌上に報告された。

 本研究では、2015年12月から2016年8月にかけて、日本の4施設において二次治療意向でニボルマブを使用された134人の患者を対象とした。2016年12月31日時点までのデータが用いられた。無増悪生存期間および全生存期間に関するカプランマイヤー生存曲線を作成し、治療開始から6週間時点における免疫関連有害事象発現との関連性について、ログランク検定を用いて検証された。患者の年齢中央値は68歳で、全体の67%が男性だった。

 免疫関連有害事象は69人(51%)に認められた。そのうち、Grade 3 / 4の有害事象を伴ったのは12人(9%)だった。24人(18%)は副腎皮質ステロイドによる治療が必要だった。免疫関連有害事象合併群と非合併群を比較したところ、無増悪生存期間中央値は合併群で9.2ヶ月、非合併群で4.8ヶ月(p=0.04)だった。また、全生存期間中央値は合併群では未到達、非合併群では11.1ヶ月だった(p=0.01)。多変数解析でにおいても、免疫関連有害事象合併は無増悪生存期間(ハザード比0.525、p=0.03)、全生存期間(ハザード比0.282、p=0.003)のいずれにおいても生存期間延長に有意に相関していた。