・CheckMate-227試験の3年追跡後アジア人サブグループ解析結果、論文化

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 CheckMate-227試験 3年経過後のアジア人および日本人サブグループ解析結果

 

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 CheckMate-227試験 日本人サブグループ解析結果

 

 進行非小細胞肺がん患者さんを対象に、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法等の有効性と安全性を評価したCheckMate-227試験。

 今となっては、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法の意義を確認するための臨床試験だったと言っていいでしょう。

 この報告自体は、2020年秋に開催された日本肺癌学会総会で既に報告されていましたが、今回論文化されていたので改めて掲載します。

 

 本治療は、私個人としても思い入れの強いものです。

 当初は局所進行肺腺がんと診断された後期高齢者の母が、図らずもニボルマブ+イピリムマブ併用療法を受けることになったからです。

 カルボプラチン分割連日投与+根治的胸部放射線照射で治療導入し、デュルバルマブ地固め療法への移行を目指していたのですが、デュルバルマブ開始前に頸部リンパ節への転移のため病勢進行となってしまいました。

 担当医と協議したところ、二次治療として提案されたのは、

1)ナブパクリタキセル単剤療法

2)ニボルマブ+イピリムマブ併用療法

3)S-1単剤療法

でした。

 これから放射線性肺臓炎が起こる、という時期にあって、どの治療にもリスクはあるわけですが、長期生存を目指すなら選択の余地はない、ということで2)をお願いしました。

 結局、2コース治療した時点で放射線肺臓炎(+薬剤性肺障害)に見舞われて中断したままとなっていますが、幸いこれまでのところ完全緩解の状態を維持しています。

 こうした個人的経験もあり、特に何らかの放射線治療歴のある方、これから予定している方には、チャンスがあれば本治療を含めた免疫チェックポイント阻害薬を検討して頂きたいと願っています。



First-line nivolumab + ipilimumab in advanced NSCLC: CheckMate 227 subpopulation analyses in Asian patients - ScienceDirect

 

K.J.O’Byrne et al.
ESMO Open. 2022 Feb 11;7(1):100394. 
doi: 10.1016/j.esmoop.2022.100394. Online ahead of print.

 

背景:
 CheckMate-227試験において、がん細胞のPD-L1発現状態にかかわらず、進行非小細胞肺がん患者に対するニボルマブ+イピリムマブ併用療法は、化学療法と比較して臨床的に意味のある効果優位性を示し、安全性の面でも管理可能だった。今回は、アジア人サブグループの有効性と安全性に関する解析結果を報告する。

 

方法:

 臨床病期IV期、もしくは術後再発の非小細胞肺がん患者を対象とした。がん細胞のPD-L1発現≧1%の患者はニボルマブ+イピリムマブ併用群(NI群)、ニボルマブ単剤群(N群)、化学療法群(C群)に1:1:1の割合で無作為割り付けした。また、PD-L1発現<1%の患者はNI群、ニボルマブ+化学療法群(NC群)、C群に1:1:1の割合で無作為割り付けした。全生存期間、無増悪生存期間、奏効割合、奏効持続期間、安全性について日本・大韓民国・台湾の患者について評価した。

 

結果:

 PD-L1≧1%のアジア人サブグループでは、NI群81人、C群81人がプロトコール治療を受けた。生存期間中央値はNI群では未到達、C群では24.8ヶ月だった。3年生存割合はNI群で53%、C群で37%だった(ハザード比0.72、95%信頼区間0.47-1.11)。3年無再発生存割合はNI群26%、C群7%だった(ハザード比0.65、95%信頼区間0.45-0.96)。奏効割合はNI群56%、C群37%だった。奏効持続期間中央値はNI群29.0%(95%信頼区間15.0-未到達)、C群6.9ヶ月(95%信頼区間3.9-11.1)だった。同様の結果はPD-L1発現状態によらず、日本人患者だけの解析でも確認された。アジア人サブグループ全体の解析で、Grade 3-4の治療関連有害事象はNI群の40%、C群の36%で認めた。過去に類例のない有害事象の報告はなかった。

 

結論:

 CheckMate227試験におけるアジア人(日本人を含む)サブグループ解析の結果、3年間の追跡期間において、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は化学療法と比較してPD-L1発現状態によらず長期的な有用性を示した。全体集団と同様アジア人患者集団においても、進行非小細胞肺がん患者に対するニボルマブ+イピリムマブ併用一次療法の有用性を指示する結果となった。

 

 

 関連記事です。

 

 CheckMate227試験の日本人サブグループ解析結果について、学会後にまとめた記事です。論文化を待つよりも旬をとらえられる、という感はありますね。

oitahaiganpractice.hatenablog.com

 

 CheckMate227試験は、全体集団としては既に4年追跡後の結果が報告されています。

oitahaiganpractice.hatenablog.com

 

 CheckMate227試験の概要はこちらでご覧ください。

oitahaiganpractice.hatenablog.com

 

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