ARCHER 1050 論文化

 EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌を対象に、一次治療においてダコミチニブがイレッサに対して有意に無増悪生存期間を延長した。

 今後、オシメルチニブとどうやって住み分けるか。

EGFR遺伝子変異陽性肺癌の一次治療

By Matthew Stenger

Posted: 10/5/2017 10:32:59 AM

Last Updated: 10/5/2017 10:32:59 AM

http://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(17)30608-3/fulltext

 ARCHER1050第III相臨床試験で、EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌患者に対する一次治療として、第2世代の非可逆性EGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるダコミチニブがゲフィチニブに対して、有意に無増悪生存期間を延長した。今般、The Lancet Oncology誌に掲載された。

 今回のオープンラベル試験では、EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌と診断された20歳以上の患者452人が中国、香港、日本、韓国、ポーランド、イタリア、スペインから参加し、2013年5月から2015年3月までにダコミチニブ群(277人)とゲフィチニブ群(255人)に無作為割付された。割付調整因子は人種、EGFR遺伝子変異のタイプ(Exon 19 or 21)だった。主要評価項目は無増悪生存期間だった。ダコミチニブ群、ゲフィチニブ群のそれぞれ75%、78%がアジア人で、25%、22%が白人だった。両群ともに、59%がExon 19変異、41%がExon 21変異だった。

 追跡期間中央値は22.1ヶ月だった。無増悪生存期間中央値はダコミチニブ群で14.7ヶ月(95%信頼区間は11.1-16.6ヶ月)、ゲフィチニブ群で9.2ヶ月(95%信頼区間は9.1-11.0ヶ月)だった(ハザード比0.59、p<0.0001)。2年無増悪生存割合はダコミチニブ群で30.6ヶ月、ゲフィチニブ群で9.6ヶ月だった。サブグループ解析では、アジア人におけるハザード比は0.51(95%信頼区間は0.39-0.66)、白人では0.89(95%信頼区間は0.57-1.39 )、Exon 19遺伝子変異では0.55(95%信頼区間は0.41-0.75)、Exon 21遺伝子変異では0.63(95%信頼区間は0.44-0.88)だった。

 ダコミチニブ群、ゲフィチニブ群で、奏効割合はそれぞれ75%、72%(p=0.423)、奏効持続期間中央値はそれぞれ14.8ヶ月、8.3ヶ月(p<0.0001)だった。全生存期間の解析はいまだ不十分で、データカットオフ時点でダコミチニブ群の33%、ゲフィチニブ群の40%が死亡していた。

 全グレードの有害事象として頻度が高かったのは、ダコミチニブ群で下痢(87%)、爪囲炎(62%)、挫創(49%)、胃炎(44%)だった。ゲフィチニブ群では下痢(56%)、ALT上昇(39%)、AST上昇(36%)だった。Grade 3 / 4の有害事象は挫創(14% vs 0%)、下痢(8% vs 1%)、ALT上昇(1% vs 8%)を認めた。治療に関連した重篤な有害事象はそれぞれ9%、4%に確認された。治療関連死はダコミチニブ群で2人、下ふぃ地位部群で1人だった。