TPS>50%ならペンブロリズマブ一次治療で30ヶ月!

 KEYNOTE-024試験のデータが更新された。

 まだまだ最終結果というわけではなさそうだ。

 分子標的薬でもないのに、生存期間中央値が30ヶ月を超えるというのは、やはり「恐るべき黒船」だ。

 化学療法群の60%以上がPD-1抗体治療にクロスオーバーされているにも拘らず、生存期間中央値がダブルスコアになっているというのも恐るべき事実だ。

 もはや、TPS>50%の患者に対して初回治療でペンブロリズマブを使い損ねると、訴訟問題になりかねないレベルである。

 ただし、身近なところでペンブロリズマブの初回治療を受けている患者さんたちでは、まだそこまでのインパクトは感じない。

 まずは過去記事のおさらいをして、本題へ。

KEYNOTE-024 初回公表データ

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e874097.html

KEYNOTE-024 日本人サブグループ解析

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e906138.html

2017年世界肺癌会議

KEYNOTE-024試験データ更新>

By The ASCO Post

Posted: 10/20/2017 9:49:13 AM

Last Updated: 10/20/2017 9:49:13 AM

 EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子のいずれも伴わず、腫瘍細胞のPD-L1発現割合(TPS)が50%以上の進行非小細胞肺癌患者を対象に、ペンブロリズマブの初回治療効果を検討した第III相KEYNOTE-024試験の、全生存期間に関する更新データが2017年世界肺癌会議で公表された。今回の更新データは、2年以上の追跡期間を経て解析された。

今回の発表は、本試験に参加した305人に対し、25.2ヶ月の経過観察期間中央値を経てからのものである。305人の中には、化学療法群に割り付けられた患者のうち、病勢進行後にプロトコール治療上のクロスオーバーとしてペンブロリズマブの投与を受けた82人と、プロトコール治療終了後に何らかの形でPD-1抗体の治療を受けた12人を含んでおり、化学療法群からPD-1抗体療法へのクロスオーバー割合は62.3%に及んだ。

 前回の解析から6ヶ月間追跡期間が延長されたが、2年以上の追跡期間中央値を経ても、化学療法に対するペンブロリズマブの死亡リスク低減効果(37%)は維持された(ハザード比0.63、95%信頼区間は0.47-0.86、p=0.002)。加えて、ペンブロリズマブは生存期間中央値を1年以上延長し、化学療法群と比較して2倍以上に及んでいた(30ヶ月(95%信頼区間は18.3ヶ月から未到達) vs 14.2ヶ月(95%信頼区間は9.8ヶ月から19.0ヶ月))。1年生存割合、2年生存割合はペンブロリズマブ群で70.3%、51.5%で、化学療法群で54.8%、34.5%だった。奏効割合はペンブロリズマブ群で45.5%(95%信頼区間は37.4%から53.7%)、化学療法群で29.8%(95%信頼区間は22.6%から37.8%)、奏効持続期間中央値はペンブロリズマブ群では未到達(95%信頼区間は1.8ヶ月から20.6ヶ月)、化学療法群では7.1ヶ月(95%信頼区間は2.1ヶ月から18.1ヶ月)だった。

 ペンブロリズマブ群では、31.2%にGrade 3-5の治療関連有害事象が認められ、主なものは下痢、疲労、発熱、食欲不振、発疹だった。免疫関連有害事象としては、甲状腺機能低下症、肺臓炎、甲状腺機能亢進症、重篤な皮膚障害、infusion reactionだった。1例のみ、ペンブロリズマブ群に治療関連死を認めた。